協議第1号
(伊藤総務課長)
協議第1号「しまね教育ビジョン21」の改訂についてご説明する。
資料の4ページと5ページの施策体系図についてである。教育ビジョン21は平成16年3月に策定し、平成16年度から平成25年度までの10年計画である。基本理念に基づき基本目標が2点、基本目標に従い施策が6点、施策に従い具体的な取組が13点ある。
今回、改訂に当たり特に見直した点は具体的な取組で24項目あったが、項目数を整理統合し、また県民に対してわかりやすい計画を記述するよう心がけたところである。この具体的な取組が2章の各論で記載している。この教育ビジョンは2章までで、総論、各論から構成している。総論については理念、目標についてであり、様々な体制、学校、家庭、地域の役割分担、三位一体の連携について記載している。2章については、その1章を踏まえて具体的に教育委員会として、また学校、家庭、地域がどのような取り組みを進めていくべきなのかについて記述をしている。
この具体的な取組には、数値目標を定めている。数値目標について、現行の教育ビジョンにおいては、平成16年度から平成19年度までの4カ年の数値目標を定めていたが、この数値目標についても整理し、100近い項目数があったが整理統合し16項目にした。
第1章については、平成16年策定当時から状況が変わっているので、状況を踏まえた修正をしているが、特に今回見直しに当たり重点的に第2章の整理をしたのでその説明をする。
教育ビジョンの施策は大きく6点あるが、1点目は「心身の健康を大切にした教育の推進」についてである。「(1)生活習慣の改善」の今後の取組であるが、生活習慣をしっかり確立していこうということで、学校教育においても取り組むが、家庭、地域がしっかり取り組む必要があると考えており、家庭、地域への啓発活動を行うことにより、県民運動としての機運を醸成をしていきたい。数値目標としては、朝食を項目として、小学生、中学生の数値を上げている。
食育であるが、栄養教諭の配置を現在進めており、栄養教諭を中心として指導を充実していき、あわせて学校給食の安全・安心の確保、また地産地消の推進に取り組んでいきたい。
「(2)体力・運動能力の向上」であるが、具体的には3点あり、1点目は教科体育、体育の授業の指導を充実していきたい、2点目は運動部活動を活性化していくことであり、外部指導者にも入ってもらって部活動の活性化を図っていきたい、3点目が総合型地域スポーツクラブの設置の推進である。それぞれ数値目標を定めており、特に体力を引き上げていきたい。
「(3)心の教育の推進」の基本的な考え方について、規範意識や善悪を判断する力、忍耐力や生命を大切にする心、社会性や他人を思いやる心を育むことが大事であると考えている。
そのための道徳教育の推進について、学校だけではなく、家庭における幼児期のしつけが極めて大切であると考えている。学校においては保護者や地域で活躍する人々を講師として様々な考え方や生き方に触れる機会や交流、ボランティア活動の体験活動をすることにより心の教育を推進していきたい。あいさつが道徳教育、心の教育の推進の一つの大きな事柄であると思う。
自然や文化を愛し、生命を大切にする心の育成について、本県の豊かな自然・歴史・文化を活用して、様々な体験活動を取り入れていきたい。
施策の2点目は「夢を描き、その実現に向かっていく教育の推進」であるが、「(1)学力の向上」の基本的な考え方について、子どもの学力の向上を図る上で、知ることや学ぶことの楽しさ、面白さを実感することが大切である。
一人一人の状況に応じて個々を支援していく指導を充実させる取り組みをしていくこととしている。具体的には少人数指導や習熟度別指導、小学校低学年における少人数学級編成や複数教員による指導を通じ一人一人の学習課題の克服に努めていきたい。数値目標項目は全国の学力調査・学習状況調査の全国比較で全国を上回る103で設定している。
家庭での学習習慣を確立していくということが学力の向上には不可欠である。子供が自主的に取り組むことができる教材、これはプリント発信システムで現在事業を進めているが、このような事業を活用することにより、家庭での学習時間の確保を促していきたい。数値目標項目は学校以外で1日当たり60分以上学習している児童生徒の割合を掲げており、現在、全国平均に比べて低い状況なので、数値を上げていく目標を掲げている。
学校間の連携であるが、幼稚園、保育所から高校までが連携することにより、子供が次の学校段階への学習にスムーズに対応できるよう努めていきたい。
授業力の向上であるが、そのための研修に努めていきたい、また充実させていきたいと考えている。
「(2)キャリア教育」であるが、職業観・勤労観を育むという観点から、どのような職業・業務があって、自分がどのような適性があって、どのような仕事に向いているのかということについて理解を深めていくということが大切であるので、キャリアカウンセリングプログラムを事業として現在行っており、活用していきたい。
県内就職の促進について、地域の産業を支える人材の育成と専門高校の教育の内容を産業界や地域の要望も踏まえて対応していく取り組みを推進をしていきたい。現在、県内就職者の割合では、平成18年度60%、平成23年度は10%アップの70%を目標にしている。単に量だけではなく生徒のニーズに応じた質について職場体験、また専門高校における授業と指導の展開といったことが必要になると考えている。
施策の3点目は「創造性や個性の基礎となる感性を育む教育の推進」についてである。
「(1)読書活動の推進」の基本的な考え方について、読書は読解力や思考力、表現力の向上につながるものである。
読書を推進していくに当たり、その習慣を確立することが大事である。習慣の確立においては、まず家庭で幼児期から親子で読書に親しむことが大切であり、また読書の楽しさを子供が実感すること、また親もあわせて読書の楽しさを実感することが、子供の読書習慣の確立につながると考えている。学校においても、ボランティア団体などの協力を得ながら読み聞かせを行ったり、朝読書、詩の朗読といった時間を設けた取り組みを充実し、あわせて図書館や公民館において読書活動の推進を図っていきたい。現在、1日に30分以上読書する子供の割合は資料のとおりとなっており、全国平均より若干低くなっているので全国平均以上に上げていきたい。
学校図書館の充実と活用であるが、蔵書を整備するとともに関係職員の資質向上、また保護者や地域の人々の協力を得て、学校図書館の運営の充実を図り、教員だけでは図書館の運営ができない状況もあるので有識者の協力も得ながら図書の貸し出し等、運営の充実を図っていきたい。また、調べ学習や課題解決的な学習について学校図書館の活用を図っていきたい。
「(2)文化活動の活性化」であるが、学校教育において文化に親しむ機会の確保をするとともに、文化部活動を地域社会と連携して推進をしていきたい。
文化部活動については、社会人指導者を積極的に活用をするとともに様々な練習機会や日頃の活動成果の発表機会を充実していきたい。昨年、全国高等学校総合文化祭があったが、引き続き成果を発表する機会を設けていきたい。
「(3)ものづくり活動の推進」であるが、ものづくりの楽しさや面白さを実感をするとともに、ものを大切にする心を育む必要がある。
具体的な取り組みとしては、小・中学校において専門高校の生徒と一緒になってものづくり活動に取り組むことを通じ、それぞれが刺激を受けて意欲を高めていくことになる。
専門高校においても、様々な技術、技能といったものがあるので、それの着実な習得や多様な検定があるので、資格取得を目指して支援することを通じ、地域産業を担う人材育成を進めていきたい。
施策の4点目は「4互いの人権を尊重する教育の推進」であるが、今後の取組として、人権を尊重した学校づくりを進めるとともに、学校教育における指導の充実を図っていきたい。
施策の5点目は「5地域への愛着と誇りを育む教育の推進」であるが、「(1)学校・家庭・地域の連携協力による教育力の充実」について、特にふるさと教育を平成17年度から推進しているが、引き続きすべての公立小・中学校で実施し、数値目標は現在すべての公立小・中学校において実施しているので100%になっている。平成23年度においても100%であるべきであるが、今後はその質が問われるので、ふるさと教育の内容の充実についても努めていきたい。
放課後の子どもの居場所づくりであるが、放課後や休日に年齢の異なる子どもが群れて遊ぶ、また体験・交流できる場を確保することについて、市町村の理解も得ながら進めていきたい。子供の自発的なグループ活動、団体活動について、様々な方々の協力を得ながら支援していきたい。
公民館活動の充実であるが、今年度から公民館の事業として実施しているが引き続き公民館活動の活性化を通じ、地域力を醸成していきたい。
学社連携・融合の推進であるが、学校教育、社会教育の連携をさらに推進していくことであるが、県の社会教育主事を地域教育コーディネーターとして市町村に派遣することにより、様々な地域、学社連携を進めていきたい。
「(2)社会教育の振興による生涯学習社会の実現」について、生涯学習推進センターや社会教育施設、青少年教育施設において、それぞれの機能の強化、充実を図っていきたい。
施策の6点目は「6すべての子どもたちの学びを支える取組の推進」であるが、「(1)不登校の子どもに対する取組の充実」について4つあり、1つ目は「(ア)教職員の資質向上を図る研修の充実」である。
2つ目は、「(イ)組織的な支援体制の充実」で、学級担任が1人で対応するのではなく、学校組織として対応し、関係機関と情報を共有し、支援をしていくことが大事である。
3つ目は、「(ウ)教育相談体制の充実」で、スクールカウンセラーの配置や中一ギャップと呼ばれている環境の急激な変化に対応するための中学校第1学年の学級に対するクラスサポートティーチャーの配置、子供と親の相談員の小学校への配置、県警や児童相談所、民間が実施している電話相談との連携による電話による相談体制の充実を図っていきたい。
4つ目は、「(エ)多様な学びの場や居場所の充実」で、不登校の子どもに対して多様な学びの場や居場所を確保していくことであるが、比較的家庭の外に出られる子供に対しては教育支援センターを活用して集団生活などの機会を提供する。また家庭に閉じこもっている子どもに対しては、できる限り安心して過ごせるような外の居場所をつくっていくことで、行動範囲や活動を広げるきっかけづくりを整えていきたい。
「(2)特別支援教育の充実」について、今後の取組として3つあり、1つ目は「(ア)一人一人の教育的ニーズに応じた指導の充実」であるが、一人一人の状況が違うので、そのニーズに応じた指導を充実させていくことである。校内体制を整備し個別の計画を策定することにより指導・支援を行う。また、関係機関と連携して必要な支援をしていく。
2つ目は「(イ)社会的・職業的自立の促進」について、職場体験の充実や進路開拓が大事である。
3つ目は「(ウ)特別支援学校のセンター的機能の充実」であるが、特別支援学校が幼稚園、保育所から小・中・高校に在籍する子どもや保護者に対して支援していくということで、障害者教育についての中心的な役割を担っており、その役割を充実させていくものである。
以上、今回第2章を中心に見直しをしたが、見直し当たっては総合教育審議会を3回開催したところである。今後、パブリックコメントの手続を経て3月26日の教育委員会会議において附議したいと考えている。本日は附議に先立ち委員の意見をお伺いしたい。
(渋川委員)
地域力のところで、生まれてから3歳くらいまでは乳幼児検診で、市の健康推進課の母子担当が例えば虐待など気をつけないといけない子は見守られているが、保育園が終わって幼稚園や学校に行く段階になったときに教育と保健の横の連携ができていないようである。予備軍の対応はとても大事で、その子たちをどうやって地域で見守って、何かあったときにすぐに助けてもらうことができるのかがとても気になっている。子どもは地域で見守って育ててほしいので横の連携を考えてもらいたいと思う。
(北島委員長)
家庭の教育力を何とかして上げる必要があると思うので、親に対して働きかけていく姿勢が、具体的に示されると良いと思う。
(石井委員)
私が現場にいたときに悩んだのが、生きる意義を子どもたちにどうやって伝えるかということであった。自分が存在している意義や人間として生まれた意義についての文言を加えてほしいと思う。
(山根委員)
資料の3ページに「島根の特色を生かした教育」で3本柱が掲げてあるが、具体的な活動の中に書き込みが表れてこないように思う。島根の特徴的な取り組みや目標の記載に工夫が要るのではないかと思う。
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