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2014(H26)年 <  2015(H27)年 年報  > 2016(H28)年
目次 I.概要 II-1.発生状況の解析と評価 II-2.定点把握疾患発生状況 III.検査情報
全数把握 週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点) 月報(STD・基幹定点) 精度評価
1.2015(平成27)年感染症発生状況の解析と評価 発生状況 表1.全国 表2.月別 表3.保健所別 表4.過去
1.2015(平成27)年感染症発生状況の解析と評価
1)全数把握疾患の発生状況:表1〜3
(1)一類感染症
 一類感染症は、全国及び島根県ともに報告がなかった。
(2)二類感染症
 二類感染症は、結核のみ全国で23,880件、島根県で131件の報告があった。結核の報告数は、全数把握対象疾患のうち最多である。
(3)三類感染症
 全国では、コレラ7件、細菌性赤痢156件、腸管出血性大腸菌感染症3,561件、腸チフス36件及びパラチフス31件の報告があった。
 島根県では、腸管出血性大腸菌感染症83件(益田圏域74件、出雲圏域5件、松江圏域4件)及び腸チフス1件(松江圏域:推定感染地域国外)の報告があった。
 全国の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、近年4,000件前後で推移している。2015年(3,561件)は、過去10年間と比較して最少であった。
 厚生労働省は、腸管出血性大腸菌による食中毒の発生を受け、2011年10月から生食用食肉の規格基準を定め、2012年7月からは牛の肝臓を生食用として販売・提供することを禁止している。さらに、2012年10月には漬物の衛生規範を改正しているが、食中毒事例は依然として多い。
 島根県の2015年の腸管出血性大腸菌感染症は、家族内感染事例や散発事例のほか、8月から9月に益田圏域の高校の寮で提供された食事が原因となったO157による食中毒事例(患者35名及び無症状病原体保有者:35名)が発生したことから、報告数は過去10年間と比較して最多の83件となり、人口10万対では12.0と全国で最も多かった。血清型別は、O157が80件(※)と最も多く、次いでO26が3件であった。
 なお、腸管出血性大腸菌感染症による溶血性尿毒症症候群(HUS)1件の報告があった。
 ※印:HUS発症による届出受理患者(血清:O157LPS抗体陽性)1件を含む
 
血清型毒素型1月2月3月4月5月 6月7月8月9月10月11月 12月
O26:H11VT1        21   3
O157:H7VT2        1557(36)2(1)  74(37)
VT1VT2   4  1      5
O157:不明 ※不明            11
   4  11758(36) 2(1) 183(37)
( )内数字:無症状病原体保有者を再掲
HUT:H型別 UnTyped    HNM: H型別 NoMove
※印:HUS発症による届出受理患者(血清:O157LPS抗体陽性)1名
(4)四類感染症
 四類感染症は、島根県でE型肝炎1件(出雲圏域)、A型肝炎2件(松江圏域)、つつが虫病4件(出雲圏域2件、雲南圏域1件、益田圏域1件)、日本紅斑熱10件(出雲圏域6件、浜田圏域2件、益田圏域2件)、レジオネラ症9件(松江圏域5件、出雲圏域3件、大田圏域1件)、レプトスピラ症2件(出雲圏域)の報告があった。
 全国では、レジオネラ症の1,587件が最も多く、次いで、つつが虫病の報告が415件、デング熱の報告が292件あった。(上位3位)
 レジオネラ症は、年々増加傾向を示しており、全国及び島根県ともに1999年に感染症法上の全数把握対象疾患となって以降、最多であった。
 デング熱は、2014年に東京都内など国内での感染事例が160件あり、海外感染事例を含めると、全国で340件と増加したが、2015年は海外感染事例のみ292件の報告であった。
 2013年に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が感染症法上の全数把握疾患対象となったことから、ダニ媒介性疾患は全国的に注目されている。全国では、つつが虫病415件、日本紅斑熱212件、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)60件等の報告があった。
 レプトスピラ症は、島根県では2003年以降、2011年1件(大田圏域)、2014年1件(出雲圏域)、2015年2件(出雲圏域)の患者発生報告となっている。
(5)五類感染症
 五類感染症は、島根県でアメーバ赤痢5件(出雲圏域2件、松江圏域1件、大田圏域1件、益田圏域1件)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症8件(出雲圏域6件、松江圏域2件)、クロイツフェルト・ヤコブ病3件(出雲圏域2件、松江圏域1件)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症5件(出雲圏域3件、松江圏域1件、益田圏域1件)、侵襲性インフルエンザ菌感染症1件(浜田圏域)、侵襲性肺炎球菌感染症13件(出雲圏域7件、松江圏域6件)、水痘(入院例)1件(益田圏域)、梅毒8件(松江圏域3件、出雲圏域2件、浜田圏域2件、益田圏域1件)、破傷風1件(出雲圏域)の報告があった。
 梅毒は、全国的に年々増加傾向を示しており、2015年(2,660件)は2014年(1,661件)を大きく上回った。島根県(8件)も例年(1〜4件)に比べ急増しており、2015年の患者報告数は、全国、島根県とも、感染症法上の全数把握疾患となった1999年以降、最多であった。
(6)動物の感染症
動物の感染症は、島根県では報告がなかったが、全国ではサルの細菌性赤痢6件の報告があった。
2)県内の結核の発生状況
(1)保健所別の発生状況
 結核は131件(患者103件・無症状病原体保有者27件・死体1件)の報告があり、内訳は、肺結核70件(53.4%)、肺結核及びその他の結核11件(8.4%)、その他の結核23件(17.6%)及び無症状病原体保有者27件(20.6%)であった。
 罹患率(総数 注1)は2015(平成27)18.9(人口10万対) となり、2014(平成26)年 22.0(人口10万対) に比べ減少したものの、罹患率(患者 注2)は 2015(平成27)年 15.0(人口10万対) と、2014(平成26)年 13.5(人口10万対) に比べ増加した。 
 圏域別の患者報告数は、出雲圏域が46件と最も多く、次いで松江圏域34件、浜田圏域14件、益田圏域14件、大田圏域10件、隠岐圏域8件、雲南圏域5件であった。なお、罹患率(総数 注1)は、隠岐圏域が39.6(人口10万対)で最も高く、次いで出雲圏域27.0(人口10万対)、益田圏域22.7(人口10万対)であった。
 なお、2015年は、結核集団発生事例の報告はなかった。
@診断(検案)した者(死体)の類型
 松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐島根県
患 者26332914136103
無症状病原体保有者82131-1227
死 体--1----1
345461014148131
A病型(再掲)
 松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐島根県( % )
肺結核201215125670(53.4)
肺結核及びその他の結核3-4211-11(8.4)
その他の結核328217-23(17.6)
無症状病原体保有者82131-1227(20.6)
345461014148131(100.0)
(%)(26.0)(3.8)(35.1)(7.6)(10.7)(10.7)(6.1)(100.0) 
松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐島根県
2010(H22)年5710401823116165
2011(H23)年9850302037353273
2012(H24)年5836553139148241
2013(H25)年437292018175139
2014(H26)年71736514156154
2015(H27)年345461014148131
(罹患率)
罹 患 率松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐2015年2014年
罹患率(総数 注113.98.727.018.316.922.739.618.922.0
罹患率(患者 注210.65.219.416.416.921.129.715.013.5
(2014年10月1日現在の推計人口により算出:人口10万対)
注1:届出総数/推計人口×10万
注2:(届出総数−無症状病原体保有者)/推計人口×10万
※届出された患者の住所を基準にしています。
(2)性別・年齢区分別の発生状況
 性別では、男性73件(55.7%)が女性58件(44.3%)に比べやや多かった。
 年齢区分別では、例年、高齢者の占める割合が高く、2015年は70歳以上74件が全体の56.4%を占めた。
 乳児の報告は無かった。
 年代別の罹患率(総数 注1)は高齢者で高く、90歳以上:103.2(人口10万対)、80歳代:61.5(人口10万対)であった。
 乳児1〜9歳10歳代20歳代30歳代 40歳代50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜 全年齢
男 性-1-14291692011 73
女 性--1839217207 58
-1197111117164018 131
 
割合(%):20100.60.63.64.212.76.111.55.520.027.9 7.3100.0
割合(%):20110.70.71.86.611.012.516.912.511.418.4 7.4100.0
割合(%):2012-0.81.612.211.811.411.49.811.423.7 5.7100.0
割合(%):20130.7-1.45.02.96.58.611.523.729.5 10.1100.0
割合(%):20141.3-1.37.815.011.111.19.213.122.2 7.8100.0
割合(%):2015-0.80.86.95.38.48.413.012.230.5 13.7100.0
(罹患率:総数 注1)
 〜9歳10歳代20歳代30歳代40歳代 50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜全年齢
男 性3.4-3.710.64.721.328.824.885.4285.3 22.0
女 性-3.331.88.422.04.71.815.248.051.5 16.1
1.81.617.39.513.213.015.419.461.5103.2 18.9
 
2010年3.38.811.825.412.719.58.537.276.785.9 23.1
2011年6.87.431.536.142.948.731.435.481.4133.3 38.2
2012年3.56.054.935.835.230.822.032.592.492.7 34.8
2013年1.73.013.15.111.213.614.638.864.288.4 19.9
2014年3.53.122.730.220.719.712.823.752.572.3 22.0
2015年1.81.617.39.513.213.015.419.461.5103.2 18.9

(2015年10月1日現在の推計人口により算出:人口10万対)
(3)年齢区分別病型分類
年齢区分別では、20歳代及び50歳代以上では肺結核が半数以上を占めた。30歳代はその他の結核が、40歳代は無症状病原体保有者が半数以上を占めた。
区分病型〜9歳10歳代20歳代30歳代 40歳代50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜 全年齢
実数肺結核--5316910 241270
肺結核及びその他の結核-----12143 11
その他の結核-121312283 23
無症状病原体保有者1-2373434- 27
割合
(%)
肺結核--55.642.99.154.552.9 62.560.066.753.4
肺結核及びその他の結核-----9.111.86.310.016.7 8.4
その他の結核-100.022.260.027.39.111.812.520.0 16.717.6
無症状病原体保有者100.0-22.242.963.627.323.518.810.0 -20.6
全体100.0100.0100.0100.0100.0100.0100.0100.0 100.0100.0100.0

(4)自覚症状
 肺結核では、自覚症状あり84.3%(主な症状:咳64.45%、痰57.6%、発熱50.8%等)、自覚症状なし15.7%であった。
 肺結核及びその他の結核では、自覚症状あり100.0%(主な症状:発熱63.6%、呼吸困難36.4%等)であった。
 その他の結核では、自覚症状あり100.0%(主な症状:咳17.4%、発熱17.4%等)であった。
区分病型患者数症状無し症状有り 主な症状(重複あり)
発熱胸痛呼吸困難食欲不振
実数肺結核701159383430216 5
肺結核及びその他の結核11-11117141
その他の結核23-23424122
無症状病原体保有者2727-------
割合
(%)
肺結核100.015.784.364.457.650.83.4 27.18.5
肺結核及びその他の結核100.0-100.09.19.163.69.136.49.1
その他の結核100.0-100.017.48.717.44.38.78.7
無症状病原体保有者100.0100.0-------
*症状無し及び症状有りの割合については、患者数で割ったもの。
*症状(重複あり)の割合については、咳等自覚症状の数を症状有りの数で割ったもの。
(5)その他
 結核研究所のホームページに2015年の島根県の結核管理図が掲載されており、患者発見の遅れや治療期間、治療成績などの記載があります。
 結核研究所の管理図のページはこちらを、島根県の2015年管理図はこちらをご覧下さい。
 なお、統計の違いがあるため、結核登録者情報調査による結核新登録者数については、感染症発生動向調査による患者数と異なります。

島根県感染症情報センター