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2007(H19)年 <  2008(H20)年 年報  > 2009(H21)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析と評価II-2.定点把握疾患発生状況III.検査情報
全数把握週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点)月報(STD・基幹定点)精度評価
1.発生状況の解析と評価 |精度評価
8)島根県感染症発生動向調査の精度評価:表5〜9、14〜16、図11〜14
突発性発しんの患者数
サーベイランスの精度評価は例年、総報告患者数、インフルエンザを除く患者数、および突発性発しん(年次と季節による変動の少ないことが立証されており、モニターとして適切である)の患者数を目安にし、さらに、出生数、幼児人口(毎年の出生数から計算した0〜5歳に属する児の数)を考慮しておこなってきた。


本年も感染性胃腸炎の流行が特に大きく、地区差も大きかった。
水痘は不顕性感染がなく、年間発症者数は地域の出生児数に近似するとされ、予防接種率に変動がなければ、vaccine failureも考慮して、わが国では年間出生数の80〜85%程度が罹患すると推定される。これと突発性発しんの報告数について検討する。定点のあり方に関する決まりはないが、定点当りの報告数が出生数と連動することを理想として考えるのが現実的であろう。

幼児人口と報告患者数
島根県の1998年から2000年(A)の出生数の平均6,511人を1とした場合、2003年〜2007年(B)は平均0.92(幅0.91〜0.96)である。2008年は0.88で、ここ6年間はほぼ横這いないし微減である。
突発性発疹の期間(A)の報告数の平均747件を1とした場合、これに対する期間(B)の各年の比率は平均1.21(1.03〜1.46)で、2008年は1.23であった。出生1万に対する(A)の報告数の平均は1,129件で、(B)の比率は平均1.34(1.10〜1.61)で、2008年は1.42であった。


水痘の(A)の報告数の平均は1,704件で、(B)の比率は平均1.12(0.94〜1.27)で、2008年は0.93であった。出生1万に対する(A)の報告数の平均は2,580件で、(B)の比率は平均1.23(1.00〜1.39)で2008年は1.07であった。2008年がやや小さかったのは、2005年(件数1.20、対1万出生1.33)と2006年(同1.27と1.39)の流行が大きかったことの影響かもしれない。
平均9年前頃と比べ、乳児人口は減っているが、突発性発疹と水痘の報告状況はむしろ増加している。

地区別の患者数推移
地区別に出生数をみると、東部(隠岐を含む)の期間(A)の平均は2,534人で、期間(B)の比率は平均0.93(0.91〜0.98)、2,008年は0.91、中部の期間(A)の平均は2,169人で、期間(B)の比率は平均0.94(0.91〜0.96)、2,008年は0.90、西部の期間(A)の平均は1,763人で、期間(B)の比率は平均0.92(0.88〜0.96)で2,008年は0.83であった。西部は2007年も0.88で、ここ2年、出生数は他地区より大きく減少している。


地区別の突発性発疹の件数は、東部の期間(A)の平均は265件で、期間(B)の比率は平均1.60(0.71〜1.63)、2,008年は1.73、中部の(A)の平均は246件、(B)の比率は平均1.35(1.15〜1.63)、2,008年は1.17、西部の(A)の平均は235件、(B)の比率は平均0.80(0.52〜1.11)であった。西部は2006年0.58、2007年0.52、2008年0.72と低下が大きい。 出生1万当りの件数でみると、東部の(A)の平均は1,048件で、(B)の比率は平均1.57(0.73〜1.91)、2008年は1.91、中部の(A)の平均は1,137件、(B)の比率は平均1.44(1.19〜1.78)、2008年は1.30、西部の(A)の平均は1,333件で、(B)の比率は平均0.86(0.59〜1.17)で、2008年は0.85であった。西部は2006年、2007年はそれぞれ0.64、0.59であった。

地区別の突発性発しん患者数推移
地区別の水痘の件数は、東部の(A)の平均は516件で、(B)の比率は平均1.51(0.96〜2.14)で、2008年は1.74、中部の(A)の平均は507件、(B)の比率は平均1.19(1.04〜1.29)で、2008年は0.73、西部の(A)の平均は679件で、(B)の比率は平均0.79(0.59〜0.92)で、2008年は0.45であった(2006年、2007年はそれぞれ0.59、0.76)。 出生1万当りの件数でみると、東部の(A)の平均は2,036件で、(B)の比率は平均1.62(1.15〜2.34)で2008年は1.92、中部の(A)の平均は2,339件で、(B)の比率は平均1.26(1.10〜1.41)で、2008年は0.82、西部の(A)の平均は3,851人で、(B)の平均は0.86(0.64〜1.02)で2008年は0.55であった(2006年と2007年はそれぞれ0.64、0.86)。
中部の2008年の水痘の件数は低下したが、突発性発疹の報告は良好に保たれており、水痘の流行状況に特別の変化がみられたと推測される。西部の突発性発疹の低下は2006年、2007年は顕著であったが、2008年は人口の減少の度合いと近似している。西部の水痘に関しては中部と同様の推測が可能であろう。
西部の圏域別の突発性発疹の2004年より2008年までの各1年間の報告件数は大田圏域68、70、37、33、71件、浜田圏域、77、64、44、38、39件、益田圏域、79、61、56、52、59件であり、大田圏域は2006年、2007年の低下より復したが、浜田圏域は2006年より低下が続いている。
結論として、東部は患児の把握の状態は近年、増していることを加味して評価する必要がある。中部の精度は概して良好である。西部は出生数の減少が他地区よりやや大きい。西部の精度は、特に浜田圏域での低下と大田圏域での変動が危惧される。

島根県感染症情報センター