平成13年度は感染源調査としてインフルエンザ（ブタ：抗体調査），日本脳炎（ブタ：抗体調査）、ポリオ（ウイルス分離）及び感受性調査として風疹（抗体調査）、麻疹（抗体調査）の５疾患５項目について実施したうち、感受性調査の２項目について記載する。

　調査は風疹流行の影響を最も受けやすく，流行の増幅と、その規模を左右する年齢層でもある９歳以下を中心とし、出雲、浜田保健所管内で平成13年７月から12月に採取した322名の血清についてガチョウ血球を用いた風疹ウイルスＭ３３株に対するＨＩ抗体を測定した。
　14歳以下の年齢層の抗体陰性率を男女別で表すと，４歳以下では女45.5％、男48.6％、５〜９歳で女20.0％、男16.0％、10〜14歳では女7.5％、男7.7％と男女間の陰性率の差が少なくなった。年別にみると、これらの３つの年齢階層の抗体陰性率の低下は本年も鈍化傾向がみられている。これは最近流行がみられず、小児の抗体保有者の多くは自然感染よりはワクチン接種による抗体獲得と考えられ、抗体陰性率の鈍化傾向はワクチン接種率の頭打ちを反映しているものと考えられる。同時に風疹ウイルス抗体陰性者は今後自然感染、ワクチン接種による抗体獲得の機会がない場合、成人期に抗体陰性の状態で蓄積されることになる。
　同様に流行の拡大を左右すると考えられている５〜９歳（定期ワクチン接種経過後の年齢）の抗体陰性率は女20.0％、男16.0％であり、昨年、一昨年と同程度で推移している。
　一方中学生女子に定期接種されていた年齢層（15歳〜34歳以上）では、女81名中２名が抗体陰性（陰性率2.4％）であり、ワクチンの効果がみられている。

　出雲、浜田保健所管内で平成13年７月から12月に採取した323名の血清について麻疹ウイルス粒子分画を寒作した担体（ゲラチン粒子）の凝集反応法（PA法）に抗体を測定した。
　これによると自然感染の頻度の少ないと考えられる０歳、１歳の抗体保有率は、それぞれ33.3％、38.1％と低率であるが、自然感染あるいはワクチン接種既往年齢の経過とともに抗体保有率は上昇し、２歳以上80.0％、３歳以上では86.4％以上であった。