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---------年 <  2000(H12)年 年報  > 2001(H13)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析と評価II-2.定点把握疾患発生状況III.検査情報
ウイルス検査情報流行予測検査細菌検査情報
1-2. 感染症流行予測調査 (感受性調査)
−風疹HI抗体調査 (表23)−
 調査は風疹流行の影響を最も受けやすく,流行の増幅と、その規模を左右する年齢層でもある14歳以下を中 心とし、出雲、浜田保健所管内で平成12年9月から12月に採取した321名の血清についてガチョウ血球を 用いた風疹ウイルスM33株に対するHI抗体を測定した.
 14歳以下の年齢層の抗体陰性率を男女別で表すと,4歳以下では女43.8%、男72.7%、5-9歳 で女19.4%、男39.0%、10-14歳では女16.7%、男20.0%と、昨年と同様にいずれも女性 の抗体陰性率が低い傾向にある.年別にみると、昨年まで、これらの3つの年齢階層の抗体陰性率は低下傾向に あったが、本年は抗体陰性率の鈍化あるいは上昇がみられている.これは最近流行がみられず、小児の抗体保有 者の多くは自然感染による抗体獲得よりはワクチン接種による効果と考えられているが、しかし、抗体陰性率の 鈍化傾向はワクチン接種率の頭打ちを反映しているものと考えられる。同様に、流行の拡大を左右すると考えら れている5〜9歳(定期ワクチン接種経過後の年齢)の抗体陰性率も平均30.5%(女19.4%、男39.0%)であり、 昨年の29.2%、一昨年の31.9%と同程度であった.
 一方中学生女子に定期接種されていた年齢層(15歳〜34歳以上)では、女40名中2名が抗体陰性(陰性率 5%)であったのに対し、男は30名中11名が抗体陰性(36.6%)であり、ワクチンの効果がみられている。
表23 風疹HI抗体保有状況(2000年度)
年令検査数HI抗体価陰性率(<1:8)
<88163264128256≧5122000年1999年1998年1997年1996年
0-4M4432  2325 72.756.459.661.482.6
F3314  11106143.841.7
5-9M4116  31444 3940.531.926.331.4
F316  57101219.421.2
10-14M153  83 1 206.35.823.135
F244  3853116.710
15-19M51   121 207.117.6  
F5    131 07.112.5024.1
20-24M62  1111 33.3    
F11  2 32310    
25-29M94 1 13  44.4    
F101   342 10    
30-34M94   1 4 44.433.3   
F141  232517.10   
35-39M1      1 0    
F2     2  0    
40-M304  4397313.3    
F312 246710 6.5    

−麻疹PA抗体調査(表24)−
 出雲、浜田保健所管内で平成12年9月から12月に採取した321名の血清について麻疹ウイルス粒子分画を 寒作した担体(ゲラチン粒子)の凝集反応法(PA法)に抗体を測定した.
 これによると自然感染の頻度の少ないと考えられる0歳、1歳の抗体保有率は、それぞれ0%、42.3%と 低率であるが、自然感染あるいはワクチン接種既往年齢の経過とともに抗体保有率は上昇し、2歳以上83.3%、 3歳以上では88.2%以上であった。
表24 麻疹PA抗体保有状況(2000年)
年令検査数PA抗体価陽性率
<16163264128256512102420484096≧8192(≧16)
077          0
12615 11 1142 142.3
2183   1 2425183.3
3172    22224388.2
491 1    313 88.9
5121    12422 91.7
6193  2 235 3184.2
7-9411    68976497.6
10-14394   464837389.7
15-1910     13222 100
20-29362  2352982394.4
30-3926     426842100
≧4061  14449116913100
32139 391232386743473187.9

−日本脳炎中和抗体調査(表25)−
 出雲、浜田保健所管内で平成12年9月から12月に採取した202名の血清についてVero細胞を用いた日 本脳炎ウイルスJaGAr01株に対する50%プラック抑制抗体価を測定した。
 中和抗体保有率(1:10倍以上)は低年齢の0〜4歳で20%と低いものの、加齢とともに抗体保有率は上 昇し、5歳〜19歳では90%以上の抗体保有率であった。その後年齢が進むにつれて抗体保有率は低下し40 〜49歳では最低の27.3%を示した。また、平均抗体価も年齢別抗体保有率と同様な推移を示した。
 これはワクチン接種を受けた学童期に高く、加齢とともに抗体価は低下減少するものと考えられる。
日本脳炎中和抗体保有率(2000年)
年齢検査数50%プラック減少抗体価陽性率(%)平均抗体価
<1010204080160320640≧640
0-42520111  1 120340
5-9252 1 25111392≧640
10-14251  4112 1696≧640
15-19101 2112  390503
20-2930659343   8070
30-39261353221   5054
40-492216221 1   27.348
50-592211132311  5090
60-177322111  58.8112
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島根県感染症情報センター