ウエルシュ菌による食中毒とは?
平成20年9月、当所管内でカレーライスが原因となった食中毒が発生しました。「カレーで食中毒?」って思われる方も多いのではないでしょうか。
実は、ウエルシュ菌による食中毒は、カレーやシチュー、豚汁などグツグツ煮込む食品で食中毒が起こっています。
なぜ、このような食品でウエルシュ菌による食中毒が起こっているのでしょうか。ウエルシュ菌による食中毒の発生メカニズムを考えてみましょう。
ウエルシュ菌の特徴は?
- 芽胞を形成します。
ウエルシュ菌は、乾燥した場所や高温の場所など、過酷な環境におかれた時に「芽胞」を作って、生き延びようとします。
芽胞を形成した菌は、100℃で5時間から6時間加熱しても死にません。普通の菌では考えられない生命力です。- 嫌気性菌(空気のないところを好みます)です。
一般的に食中毒菌は、空気のあるところを好んで、そうした場所で増えます。しかし、ウエルシュ菌は、まったく正反対で空気のないところで増えます。ウエルシュ菌の消長は?
ウエルシュ菌が、食品の調理の課程でどのようにして増えていくのか、そしてどのような時に食中毒が起こるのか考えてみましょう。
図を参照してください。
大きな鍋を使って、豚汁を調理します。
- 様々な具を鍋に投入します。具には、それぞれ原料由来の細菌が付着しています。その中に、芽胞を形成したウエルシュ菌も入っています。
- 鍋を加熱します。時間をかけてじっくりと煮込むと、熱に弱い一般的な細菌は死んでしまいますが、芽胞を形成したウエルシュ菌は生き残ります。
また、グツグツ煮込むことで、鍋の底からは、空気が押し出されて、空気のない状態(嫌気性)になります。- 調理が終わった豚汁を、そのまま台所で放置します。すると、次第に温度が下がっていき、40℃前後になると、ウエルシュ菌が芽胞を脱ぎ捨てます(発芽と言います)。
この時、ライバルの細菌はみんな死んでいますし、鍋の底は空気がありません(嫌気性)。まさに、ウエルシュ菌にとって、とても良い環境が整っていることになり、どんどん増えることになります。- この豚汁を十分再加熱することなく摂取すると、ウエルシュ菌による食中毒が起こることになります。
予防対策は?
- 食肉の取扱いに注意する(注意事項はカンピロバクターの予防対策を参照)
- 加熱後は、熱いままでできるだけ早く食べる
- すぐに食べない時は、早く冷まして冷蔵保管する(大鍋のままでは、すぐに冷えない!小さな容器に移し替えをして冷ます)
- 再加熱する場合も、しっかりと熱をとおす
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