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■平成18年度当初予算の概要

1.平成18年度地方財政計画の概要

  • 平成18年度の地方財政計画では、歳出について、国の歳出予算と歩みを一つにして見直すこととし、定員の純減や給与構造改革等による給与関係経費の抑制や地方単独事業費の抑制を図り、これらを通じて、地方財政計画の規模の抑制に努めることにより、財源不足額の圧縮を図ることとする一方、国と地方の信頼関係を維持しながら「三位一体の改革」を着実に推進するため、安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保することを基本として地方財政対策が講じられた結果、地方財政計画の規模は、83兆1,508億円となり、対前年度比で5年連続のマイナス(△0.7%程度)となった。

  • 地方財政計画においては、経費全般についての徹底した節減合理化に努めたが、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が回復傾向にある一方、公債費が依然高水準であることや社会保障関係経費の自然増などにより、通常収支で約5兆7,044億円の財源不足が生じる(平成8年度以降11年連続)こととなった。

  • このため、平成16年度に講じた平成18年度までの制度改正に基づき、建設地方債(財源対策債)の増発等を除いた残余については、国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については国の一般会計加算(臨時財政対策分)により、地方負担分については臨時財政対策債(赤字地方債)により、その全額を補てんすることとされた。

  • なお、地方財政計画歳出の投資的経費(地方単独事業)と一般行政経費(地方単独事業)の一体的かい離是正分の一般財源に相当する地方財源不足分1兆円については、他の財源不足対策と同様、基本的にはその2分の1を国が、2分の1を地方が負担することとしているが、平成18年度は平成17年度是正分の2,800億円と平成18年度是正分の全額1兆円を臨時財政対策債により措置することとし、その差額は後年度に調整することとされた。

地方財政財源不足額データ

  • この結果、地方交付税は対前年度比5.9%減の15兆9,073億円、臨時財政対策債は対前年度比9.8%減の2兆9,072億円となり、合計では、対前年度比6.5%の減となった。

  • また、「三位一体の改革について」(H17.11.30政府・与党合意)及び「平成18年度予算編成の基本方針」(H17.12.6閣議決定)を踏まえ、平成16年度から平成18年度までの国庫補助負担金改革の合計額は4兆6,661億円となった。

  • このうち、税源移譲に結びつく改革は、3兆1,176億円であり、これについては、その全額を地方財政計画に計上するとともに、施設整備費の一般財源化に伴い特別の地方債が充てられるものを除き地方交付税の基準財政需要額に全額が算入された。

  • これに伴い税源移譲されることとなった3兆94億円については、平成19年度以降、所得税から個人住民税への恒久措置として行うこととした上で、平成18年度は、所得譲与税により措置し、全額を地方交付税の基準財政収入額に算入することとされた。

  • なお、施設整備費の一般財源化に伴う特別の地方債については、補助率嵩上げ分を含めた従来の補助金相当分に充当できることとされた。

2.平成18年度当初予算編成の背景

(本県の財政状況)

  • 本県の財政は、次のような歳入・歳出両面にわたる複合的な要因により極めて厳しい状況にある。
  1.  いわゆるバブル経済の崩壊以降、長期にわたる我が国の景気低迷を受け、国・地方をあげて公共投資や減税等の経済対策を行ったが、期待したように景気回復(=税収増)に繋がらず、国・地方を通じた厳しい財政状況が続く中で、本県においても、近年県税や地方交付税などの一般財源が大幅に減少してきたこと。
  2.  特に、平成16年度の地方財政対策を受けて、本県財政の生命線である地方交付税が大幅に削減され(いわゆる地財ショック)、今後も地方交付税の抑制傾向が続くと見込まれること。
  3.  国の経済対策を背景に、これまで遅れていた道路整備など社会資本の整備や県勢の発展に資する戦略的なプロジェクトの推進に積極的に取り組んできたが、こうした投資的経費を本県の財政力からすれば高い水準で維持してきたことに伴い、公債費や施設の維持管理費が増大してきたこと。

(中期財政改革基本方針に基づく財政改革の取り組み)
  • このような厳しい財政状況を踏まえ、平成16年10月に、「中期財政改革基本方針」(以下「基本方針」という。)を策定し、構造的収支不足を圧縮するための財政改革を強力に進めることとした。

  • 改革の目標
    1. 構造的収支不足額450億円のうち、まず、300億円程度を圧縮し、財政再建団体への転落を回避する。
      〈年度別収支改善目標〉平成17年度:200億円
      平成18年度:100億円
    2. 起債制限比率が、毎年度20%に達しないよう起債発行額を抑制する。

  • 改革の期間
    • 概ね10年後における収支均衡体質への転換を視野に、当面、平成16年度から平成18年度(いわゆる三位一体改革の完成年度)までの3カ年間

3.平成18年度当初予算の概要

(予算編成の基本的考え方)

  • 平成17年度当初予算では、基本方針に基づく最初の予算編成として、200億円程度の収支改善目標を達成したが、平成18年度当初予算においても、100億円程度の更なる収支改善目標を設定し、人件費総額の抑制や公共事業費をはじめとする各種事業費の削減、事務事業の抜本的見直しなど、歳出全般にわたる聖域無き見直しを行い、財政改革を強力に推進することとした。

  • 一方、産業の振興や少子化対策など、本県の自立的な発展に資する重点プロジェクト事業や、児童生徒の学力向上、中山間地域や離島における医師確保など、社会情勢の変化に伴い緊急な対応を要する課題については、厳しい財政状況の中でも重点的に予算計上することとした。

(行政の効率化・スリム化)
  • 人件費については、職員の給料・報酬のカット(一般職6%〜10%・諸手当に連動、特別職15%〜20%・期末手当に連動)を継続して抑制を図る他、職員定員の削減(H15〜H24:△1,000人)及び給与制度改革による給与水準の引き下げ等を反映させた。対前年度比較では、職員定員の削減や給与制度改革等により約16億円が減となる一方で、退職者の増加に伴い退職手当については約17億円の増を見込んでいる。

  • 県の外郭団体については、経営評価の実施により指導監督体制を強化するとともに、公の施設における指定管理者制度の導入や県に準じた事業費の削減等を実施した。
(事務事業の見直し・削減)
  • [特別需要枠]については、県立学校や警察署の再編に係るものを除いて、施設建設・整備の新規着工を平成18年度まで凍結していることに加え、再編関連の施設整備についても、事業内容の精査や年度間調整を行い、また、各種の情報システム整備について、システムの統合やリース制度への切り替えを進めること等により、全体の抑制を図った。

  • [義務的経費等]については、病院会計や中小企業近代化資金特別会計等の特別会計への繰出し金の見直し等により、全体の抑制を図った。

  • [部局調整枠]については、平成17年度に引き続き、一般施策経費はマイナス30%、経常経費についてはマイナス5%のシーリングを設定した。これにより、一般施策経費は、平成18年度の一般財源総額を平成16年度の概ね50%に、経常経費等は、平成18年度の一般財源総額を平成16年度の概ね90%に削減した。

  • 一般施策経費については、シーリングの範囲内で施策の優先順位付けにより予算枠を傾斜配分した。予算編成に当たっては、行政評価や重点見直しなどの状況を踏まえ、県の果たすべき役割を再検証するとともに、最小の費用で最大の効果が発揮できるよう、成果重視の取組を積極的に推進し、徹底した見直しを図った。また、新規事業については、真に県民福祉の向上に繋がるか否か、どうしても今実施する必要があるかどうかについて十分検討、厳選するとともに、既定経費の見直し等による対応を行った。

  • [公共事業]については、一部の所要額要求を認める事業を除き、補助事業・単独事業を合わせて地方負担額でマイナス17%のシーリングを行うこととし、公共事業の優先順位付けに基づき予算枠を傾斜配分した。これにより、補助・単独の公共事業は、地方負担額で平成16年度の概ね70%となった。また、公共事業全体としては、単独事業から地方負担の少ない国庫補助事業へのシフトを図ったほか、国直轄事業負担金の増等もあり、公共事業全体では対前年度比で13.3%の減となった。

  • [普通建設単独事業]については、公共事業の減に加え、合併市町村支援交付金、古代出雲歴史博物館整備事業の減などにより、対前年度比で24.6%の減となった。

(財源の重点配分)
  • 平成16年度の施策重点化方針において、「産業の振興」「人材の育成」「安心快適な地域づくり」の三つの基本政策を実現するために取り組んでいる重点プロジェクトについては、計画の最終年度であり、計画している成果があがるよう、厳しい財政状況の中にあっても重点的に措置した。

     【重点プロジェクト】

     1新産業・新事業の創出と、経営力・技術力の高度化による産業の振興
    2地域資源の産業化と地域産品の高付加価値化
    3地域全体が支える子育て・子育ちの推進

  • また、社会情勢の変化などに伴い、一両年中に緊急かつ集中的な対応が必要と考えられる課題に対処するために「緊急課題対応枠」を創設し、これについても、重点的に予算措置した。

     【緊急課題】

     1緊急的な人材育成・確保対策
    2緊急的な産業・雇用対策
    3緊急的な安全・安心対策
    4世界的な文化遺産、自然環境の保全・活用対策

(財源の確保)
  • [地方交付税]については、全国総額では対前年度6.5%の減となったが、本県は、全国の減少幅より小さい、対前年度比3.0%減と推計している。これは、本県の場合、県税収入の増が期待できないことや、三位一体改革による国庫補助負担金の廃止・縮減額について所得譲与税で補填しきれない額が地方交付税により措置されたこと等によるものである。

  • なお、三位一体改革による国庫補助負担金の廃止・縮減等による影響を除いた、実質的な地方交付税の額は、中期財政見通しの推計とほぼ同額の、対前年度比5.0%減となる見込みとなった。

  • [その他の歳入]では、税収が、昨年度導入した産業廃棄物減量税及び水と緑の森づくり税の収入の平年度化や核燃料税の増収見込み等による増要素があるものの、景気の回復の遅れから法人関係税や地方消費税等で引き続き減収が見込まれ、全体では伸びが見込まれない(対前年度比±0.0%)状況にある。

  • 一方で、県有財産の売却促進や外郭団体の貸付金の返還等により財源の確保に努めた。この結果、三位一体改革による一般財源化の影響を除いた一般財源総額は中期財政見通しに比べ10億円程度の増収となる見込みとなった。
(緊急避難措置)
  • 「基本方針」に基づく緊急避難措置として、平成18年5月に最終償還を迎える銀行等引受債37億3千3百万円を借換えすることとした。
(当初予算の規模)
  • 基本方針及び予算編成方針に基づき、予算要求・査定を通じ全庁を挙げて収支不足の圧縮に向けた取組みを強力に推進した結果、平成18年度当初予算の規模は、対前年度比5.5%減の5,232億円余と平成17年度に続き大幅な減となり、減少幅で地方財政計画の0.7%減を大きく上回った。

(財源不足への対応)
  • この結果、目標としていた100億円程度の収支改善を達成でき、平成18年度の収支不足は、107億円程度となる見通しとなった。

  • この不足する財源については、減債基金の取崩しにより対応することとした。

  • なお、今後の予算執行にあたっては、経費節減を徹底して行うことにより、更なる収支不足の圧縮に努めることとしている。


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