平成16年度当初予算の概要
1.平成16年度地方財政対策等の概要
- 平成16年度の地方財政計画では、歳出について、国の歳出予算と歩を一にして、徹底して見直すこととし、中期的な目標の下で、定員の計画的削減等による給与関係経費や地方単独事業費の抑制を図り、これらを通じて、地方財政計画の規模の抑制に努めることにより、財源不足額の圧縮を図ることを基本として地方財政対策が講じられた結果、地方財政計画の規模は、84兆6,669億円となり、対前年度比で3年連続のマイナス(△1.8%程度)となった。
- なかでも、投資的経費に係る地方単独事業については、「基本方針2003」(H15.6.27閣議決定)において、平成18年度までに景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安に事業規模の抑制を図ることとされていたが、平成16年度地方財政計画では、縮減目標を1年前倒しすることにより対前年度比9.5%の減となっている。
- 地方財政対策においては、経費全般についての徹底した節減合理化に努めた上でなお、通常収支で約12兆2,530億円という財源不足が生じる見込みとなったため、平成16年度から平成18年度までの間においては、交付税特別会計借入金の償還を平成22年度以降に繰り延べることとした上で、なお生ずる財源不足(10兆1,723億円)のうち建設地方債(財源対策債)の増発等を除いた残余について、引き続き国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については国の一般会計加算(臨時財政対策分)により、地方負担分については臨時財政対策債(赤字地方債)により、その全額を補てんすることとされた。
- なお、既往の臨時財政対策債の利払い及び平成14年度補正予算に係る地方財政措置において臨時財政対策債に代わるものとして措置することとされた交付税特別会計借入金の元利償還等に起因する財源不足額3,029億円については、臨時財政対策債の発行により対処することとされた。
- この結果、地方交付税は対前年度比6.5%減の16兆8,861億円、臨時財政対策債は対前年度比28.6%減の4兆1,905億円となり、合計では、対前年度比11.9%の大幅減となった。
- また、「平成16年度予算編成の基本方針」(H15.12.5閣議決定)において、地方団体に対する国庫補助負担金について1兆円規模の廃止・縮減等を行うこととし、引き続き地方が主体となって実施する必要のある事業については、平成15年度に行われた一般財源化分(義務教育費国庫負担金のうち共済長期負担金、公務災害負担金)と併せ、所得譲与税として税源移譲された。
- 義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金のうち退職手当及び児童手当にかかる部分(2,309億円)については、今後、その所要額が大きく増加することが見込まれること等から、暫定的に一般財源化を行うこととし、税源移譲予定特例交付金により財源措置された。
2.平成16年度当初予算編成の考え方
(本県の財政状況)
- 本県の財政は、次のような収入・支出両面にわたる複合的な要因により極めて厳しい状況にあり、昨年10月公表した「中期財政見通し」(H16〜H20)によれば、150億円程度の構造的な収支不足を抱えているものと見込まれた。
- 収入面においては、長引く景気の低迷による県税の減少に加え、国・地方を通じた長期債務残高の累増等を背景とした財政構造改革により、地方交付税についても公債費等歳出に連動するものを除いた実質的に自由に使える部分が平成13年度以降減少に転じるなど、本県の生命線とも言える経常的一般財源収入が予想を超えて大きく減少していること。
- 支出面においては、我が国が本格的な高齢社会を迎える21世紀初頭までの期間が国・地方を通じて高い投資水準を維持できる最後の貴重な期間と位置付け、長期計画等に登載された戦略プロジェクトや立ち遅れた社会基盤の整備を促進するための公共投資を積極的に行ってきたことなどにより、県債残高が累増し、その償還が本格化するのに伴い公債費が高水準にあること。
(予算編成の基本的考え方)
- このような本県の厳しい財政状況を踏まえ、構造的な収支不足のうち100億円程度を平成16年度からの3年間で圧縮し、本県の財政健全化の道筋をつけていくことを最大の目標とした。
- 平成16年度当初予算においては、このうち50億円程度の削減目標を設定し、歳出全般にわたる聖域なき見直しを行い、歳出構造改革を強力に推進することとした。
- 財政健全化と同時に、真に県民が必要とする施策への重点投資が可能となるよう、政策企画会議を中心とした政策主導型の新しい予算編成手法を導入することとした。
- 政策企画会議で決定された「施策重点化方針」により、産業の振興や少子化対策など地域の自立や活性化に資する施策については、全庁的な視点で「選択と集中」を徹底するとともに、予算編成権限の移譲により、各部局においてもこれまで以上に事業の取捨選択と優先順位付けを徹底することとした。
(平成16年度地方財政計画への対応)
- 昨年12月下旬に判明した地方財政対策の結果、地方交付税(臨時財政対策債を含む。以下同じ)が対前年度比10.9%の大幅な減というかつてない厳しい状況となり、本県にとっては、構造的な収支不足が150億円程度から400億円程度に拡大することを意味するものとなった。
- このため、予算編成方針に掲げた50億円程度の収支不足圧縮という目標の達成はもとより、厳しい歳出抑制対策や財源確保対策をさらに追加して実施することにより所要一般財源を圧縮し、平成16年度における基金の取崩し額を最小限度に留めるとの方針の下に予算編成を行った。
3.平成16年度当初予算の概要
(施策重点化方針に基づく施策)
- 平成16年度施策重点化方針において、「産業の振興」「人材の育成」「安心快適な地域づくり」の三つの基本政策を実現するため、「緊急」かつ「重点的」に取り組むべきものとして重点化施策を厳選し、これらの施策を実現する事業として政策企画会議で決定した事業(重点プロジェクト)については、厳しい財政状況のなかではあるが重点的に措置した。
【重点化施策】
- 新産業・新事業の創出と、経営力・技術力の高度化による産業の振興
- 地域資源の産業化と地域産品の高付加価値化
- 地域全体が支える子育て・子育ちの推進
(歳出の効率化と質的改善)
- 既存事業については、部局調整経費の一般施策経費にマイナス25%シーリング、経常経費等にマイナス5%シーリングを設定し、経費の大幅な節減合理化を図るとともに、行政評価やサマーレビュー等における見直し状況を踏まえ、県の果たすべき役割を再検証するとともに、最小の費用で最大の効果が発揮できるよう、成果重視の取組みを積極的に推進し、徹底した見直しを図った。また、新規事業については、真に県民福祉の向上に繋がるか否か、どうしても今実施する必要があるかどうかについて十分検討、厳選するとともに、既定経費の見直し等による対応を行った。
- 県の外郭団体については、包括外部監査や行政監査の報告、県議会行財政改革調査特別委員会の報告等を踏まえ、平成15年度において、組織体制・事業内容等を十分チェックした上で、団体のあり方、県の人的、財政的関与のあり方について一斉見直しを行うとともに、県に準じた事業費の削減を実施した。平成16年度以降も、引き続き見直しを行うとともに、経営評価の実施や「外郭団体指導監督指針(仮称)」を策定して、指導監督体制を強化していく。
- 補助金については、「補助金見直し基準」に基づき、廃止を含め徹底した見直しを実施し、可能なものから予算に反映させた。
【主な見直し補助金】
- 私立学校振興費補助金
- 合併市町村支援交付金
- 民間社会福祉施設整備資金元利補給金
- 小規模事業経営支援事業費補助金(商工会・商工会議所人件費補助)
- 下水道普及促進対策交付金
- 平成16年度地方財政計画における地方交付税の大幅な減額を受け、内部管理的な経費について、上記のマイナスシーリングに加えて、さらなる縮減を図った。
(投資的経費の抑制による県債の適切な管理の推進)
- 公共事業については、公債費の増こう抑制等の観点から、財政健全化指針で示した集中改革期間(H15〜H17)において、地域経済・県民生活への影響に配慮しつつ、他県に比べ高い水準にある投資規模を本県の財政力に見合った水準まで引き下げることとしている。平成16年度は、特に財政負担の重い単独事業を中心に、大幅なマイナスシーリングを設定した。(補助△10%、単独△30%、単独の合併推進分はゼロシーリング)しかしながら、平成16年度地方財政計画における地方交付税の大幅な減額を受けて、単独事業についてはさらに20%削減した。(公共事業全体の対前年度比:△11.7%)
- 普通建設単独事業については、県単公共事業を大幅に縮減したことにより、合併市町村支援交付金を除けば、地方財政計画(△9.5%)を上回る減少幅(△13.7%)となった。
(人件費総額の抑制による行政のスリム化)
- 人件費については、簡素で効率的な行政運営を行うための「新行政システム推進計画」に基づく職員定員の削減(H15〜H24:△500人)、県民の理解を得ながら財政健全化に取り組んでいくための職員・議員の給料・報酬のカット(H15〜H17:一般職3%〜5%、特別職・議員等7%〜10%)、平成15年度における諸手当の見直し等により、対前年度比4.6%減となった。
(当初予算の規模)
- 予算編成方針に基づき、また、地方交付税が対前年度比10.9%の大幅な減となるかつてない厳しい状況を受けて、予算要求・査定を通じ収支不足の圧縮に向けた取組みを強力に推進した。その結果、平成16年度当初予算の規模は、対前年度比3.4%減(対前年度6月補正後比3.8%減)の6,057億円余となった。これは、減少幅で地方財政計画の1.8%減を大きく上回った。また、公債費除きの対前年度比では、4.4%減(地財△2.0%)となった。
(財源不足への対応)
- 平成16年度地方財政計画により明らかとなった収支不足の大幅な拡大をいかに圧縮するかが、平成16年度当初予算の最大の課題となったため、歳出については、年度間調整を含むあらゆる歳出抑制対策を行うとともに、歳入面においても、可能な限り財源確保対策を行ったが、地方交付税の大幅な減額(△10.9%)に加え、長引く景気の低迷により、県税収入も引き続き減少(△4.3%)が見込まれる状況となった。その結果、337億円余の収支不足(中期財政見通し:345億円、予算編成方針のH16目標:295億円)が生じる見通しとなった。
- この不足する財源については、減債基金及び大規模事業等基金の取崩しにより対応することとした。その結果、平成16年度末の基金残高は、380億円程度となる見込みである。
- なお、平成16年度の予算執行にあたっては、経費節減を徹底して行うことにより、さらに収支不足の圧縮に努めることとしている。
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