財政改革に関する県民意識調査結果のポイント
1.実施概要
対象:県内在住の15歳以上の男女
サンプル数:1,500うち有効回収数946(63.1%)
調査方法:郵送法
調査期間:平成13年12月1日〜14日
調査機関:社団法人中央調査社(東京都品川区)
調査内容:以下の3点についてアンケート形式で16問
(ア)本県の財政状況についての認識、今後の対応等
(イ)公共事業の評価、改善点等
(ウ)財政に関する情報の入手手段等
2.調査結果のポイント
(ア)本県の財政状況についての認識、今後の対応等
(1)県財政に関する関心度
関心層は3人に2人の割合、ただし年齢別では10代、20代では無関心層が関心層を上回るのに対し、30代から上の年齢層では関心層が無関心層を上回り、50代の関心層は76.1%と最も高い割合となっている。
(2)県の歳入予算構成の認知(交付税、国庫支出金など依存財源7割、県税1割)
「知らなかった」が44.0%と一番多く、「知っていた」「多少は知っていた」を合わせると54.8%とかろうじて半数を上回っている。
県財政への関心度が比較的高い割には、県の財政基盤が脆弱であることの認識が十分でないことに留意する必要がある。【資料1】(pdf:17KB)
(3)地方交付税制度の認知(交付税の財源保障機能など)
「知っていた」「多少は知っていた」を合わせると79.1%と8割近い高比率を示しており、地域別でも概ね各地域とも同様の傾向となっている。【資料2】(pdf:6KB)
(4)地方交付税制度の今後のあり方
「現行のまま維持するのがよい」の意見が39.3%で最も多く、次いで「もっと拡充するほうがよい」が19.5%、もう少し縮小する方がよいは15.6%となっている。昨年9月に日本世論調査会が全国対象に行った同趣旨のアンケート結果では、現行維持が42.2%で最も多いのは同様であるが、次いで削減すべきが37.5%、増やすべきは9.9%となっており、交付税制度の維持、拡充の意識が県民の間ではかなり高く表れている。
(5)島根県の県債残高の状況の認知(平成12年度末で8705億円)
県が借金を抱えているという認知は82%と極めて高い率であるが、うち金額まで知っていたという人は6.7%と少ない。【資料3】(pdf:8KB)
(6)県財政の将来に不安を感じるか(県債発行額、公債費の推移から)
「とても不安を感じる」が最も多く61.7%、「少し不安を感じる」が32.2%で両方合わせた不安を感じるは94.0%、と大多数が不安を感じているという結果になっている。県債残高、県債発行額、公債費のいずれも近年の伸びの高さがグラフから読みとれる状況が影響していると考えられる。【資料4】(pdf:8KB)
(7)県が保有する貯金(基金)活用の考え方
「緊急かつ不測の事態に備える財源として、極力取り崩さないようにすべきだ」が37.3%で最も多く、次いで「景気対策、新規プロジェクト計画など必要に応じて柔軟に取り崩してもよい」が26.0%となっているが、地域別では、邑智、益田、隠岐では、「〜柔軟に取り崩してよい」がトップ項目になっている。年代別でも男性高齢層、女性若年層で「〜極力取り崩さない」が高い比率になるなど性別、年齢別でかなり差異があるところであり、基金残高の維持あるいは取り崩しには高度な判断が必要となることが推察される。【資料5】(pdf:10KB)
(8)財政健全化推進のための対策(「中期財政見通し」(H13.10公表)を踏まえて)
選択肢を2つまであげてもらった結果、「職員数や給与水準を見直し、人件費を抑制する」が64.9%で最も高く、支出の約2割を占める職員給与費に対する節減に関心が向けられている。次いで「県債に依存した事業を減らし、将来の公債費を抑制する」が48.3%、「地方交付税や国からの補助金の増額を図る」24.0%で、「新たな税金をつくるなど税収の増加を図る」は5.1%となっている。【資料6】(pdf:12KB)
(イ)公共事業の評価、改善点等
(1)公共事業全般に対する評価
国、県、市町村が行う様々な公共事業に対してムダがどの程度あるかについては、「たくさんあると思う」が29.1%、「多少あると思う」が48.9%で、両方合わせると78.0%とかなり高い率になり、県民が公共事業の執行に対して厳しい見方をしていることが伺える。
(2)県民の生活に役に立った公共事業
県民の生活に役に立ったと思う公共事業を3つまであげてもらったところ、「下水道・集落排水」50.1%が最も多く、次いで「県道など一般幹線道路」46.5%、「市街地や集落内の生活道路」34.1%、「高速道路」33.4%と各種道路が続いている。地域別では差異が見られ、浜田地区では「高速道路」が1位、隠岐では「ダム・河川改修」が1位と地域性が読みとれる。
(3)県民生活にあまり役に立たなかった公共事業
県民の生活にあまり役に立たなかったと思う公共事業を3つまであげてもらったところ、「公園」が32.9%、「農道・林道」26.7%、「土地改良」26.5%の順に多かった。地域別では差異が見られ、隠岐地区では「造林」事業がトップであった。
(4)公共事業推進に際して重視すべき事項
最も重視すべき事項を2つまであげてもらったところ、「費用対効果」32.9%で最も多く、次いで「地元からの要望」30.4%、「事業計画への住民参加」30.3%、「環境への影響」29.9%とこれら4項目がほぼ3割前後の比率で並んだところである。地域別でもかなり差異が見られ、松江、隠岐では、「環境への影響」がトップ項目となっている。
(5)公共事業削減による雇用への影響
(ウ)財政に関する情報の入手手段等
(1)県の財政状況の情報入手手段
情報入手手段を2つまであげてもらったところ、「県政広報誌」55.0%、「新聞記事」が50.0%と多く、この2つが中心となっている。この他は「テレビ・ラジオ報道」37.4%、「島根の財政」などパンフレット」13.3%、「インターネット(県のホームページ)」は3.7%となっている。
(2)県の財政状況についての関心事項
特に関心を持っていることを2つまであげてもらったところ、「将来の財政見通し」が65.4%と際立って多く、次いで「借金(地方債残高)の状況」30.9%、「県民一人当たりの財政状況」30.1%となっている。財政状況の公表に当たっては、このような関心事項をわかりやすく提供する必要がある。
- 民間は不景気で苦しんでいる、人件費を削減、職員を減らすべき(多数)
- 将来就職したいと思う職がない、有望な企業を育てて欲しい
- 赤字になることが分かっているような施設はつくるべきではない
- 無駄な公共事業はやめるべき(浜田のマリン大橋、砂防ダムなど)
- 島根にとって公共事業は雇用を増やす大切な事業
- 公共事業の建設費用が高すぎる
- 公共事業の拡充より産業振興に力をいれるべき
- 行政の仕事をもっと民間にやらせたらどうか
- 税金が高い
- 人材供給県として交付税の増額を要求すべき
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