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「中期財政改革基本方針」の取組実績(H16〜H18当初)

I中期財政改革基本方針の目標

●目標

(1)構造的収支不足の圧縮

構造的収支不足額450億円のうち、まず、300億円程度を圧縮し、財政再建団体への転落を回避します。

(2)起債制限比率

毎年度20%に達しないよう起債発行額を抑制します。

●期間

概ね10年後における収支均衡体質への転換を視野に、当面、平成16年度から平成18年度(いわゆる三位一体改革の完成年度)までの3カ年の取組を定めるものです。

II目標に対する主な取組の実績

1構造的収支不足の圧縮

(1)行政の効率化・スリム化

【目標:100億円→実績:100億円】

(1)総人件費の抑制
      • 平成15年度から特別職、一般職及び議員の給料・報酬のカットを実施したが、平成16年度からはカット率を段階的引き上げ、平成17年度からは諸手当もカットを実施した。(実績額:66億円)
      • 国や他の都道府県の動向などを考慮し、各種手当(退職手当、特殊勤務手当)の見直しなどを実施した。(実績額:6億円)
      • 従前計画の500人削減を進めるとともに、平成17年度には平成24年度に向けた「1000人の定員削減計画」を策定し、取り組むこととした。(実績額:16億円)
      • 給与構造改革として、給料表の水準を引き下げた(平均▲4.8%)。(実績額:5億円)

(2)内部管理経費の縮減
      • 地方機関や試験研究機関など、県立機関の見直しを実施した。

〔H16地域所管型地方機関:46試験研究機関:10〕

〔H18〃:27〃:6〕

      • 地方機関の「給与、共通経費支払い等」の業務を、県民センターなど集中処理組織に、本庁では同様の業務を人事課などに集中化した。

(3)外郭団体の見直し(実績額:7億円)
      • 団体のあり方を見直し、統廃合や県出資比率の引き下げを実施した。

〔県出資比率50%以上の団体数H16:22→H18:18(▲4団体)〕

      • 団体の自立性を高めるために、県の財政的・人的関与の縮減を進めるとともに、「経営評価」を実施し、これを踏まえた事業・組織人員体制の効率化を図った。

(経営評価対象団体の状況)

〔代表からの退任H15:14→H18:1(▲13団体)〕など

      • 公の施設の管理について、住民サービスの向上を図るとともに経費を削減するために、平成17年度から一斉に「指定管理者制度」を導入した。〔H18年度現在:26施設(うち、1施設はH16.4〜)〕

(2)事務事業の見直し・削減

【目標:150億円程度→実績:149億円】

(1)各部局への枠配分に係る事業の見直し

 

A公共事業枠(実績:22億円)

          • 平成16年度当初対比30%の事業費の削減を実施した。
          • 削減にあたっては、公共事業の優先順位付けに基づき、予算枠の傾斜配分を実施し、公共事業担当部局において、優先順位を踏まえた補助公共・単独公共予算の編成を実施した。

 

 

H16当初(1)

H18当初(2)

(2)/(1)

(単位:百万円)

優先度A

31,607

26,131

83%

優先度B

51,405

36,134

70%

優先度C

30,225

16,481

55%

合計

113,237

78,746

70%

 

※公共事業抑制による財政効果

 平成17年度、18年度当初予算編成を通じて実施した公共事業の削減により、削減を実施しなかった場合と比較して、10年後(平成26年度)には約54億円の県債償還額の削減が図られる見通し。

 

B部局調整枠(実績:74億円)

 

i)【一般施策経費】

      • 平成18年度の一般財源総額を全体として平成16年度の概ね50%に削減した。

〔H16:109億円→H18:52億円(▲57億円)〕

奨励的県単独補助金について、平成17年度予算編成においてゼロベースでの見直しを実施した。

 

 

H16当初(1)

H17当初(2)

(2)−(1)

(単位:百万円)

件数

116

52

▲64

予算額▼

4,954

2,200

▲2,754

 

うち一般財源

4,161

2,140

▲2,021

 

ii)【経常経費等】

      • 平成18年度の一般財源総額を全体として平成16年度の概ね90%に削減した。

〔H16:157億円→H18:140億円(▲17億円)〕

 

(2)全庁的調整に係る事業等の見直し(実績:53億円)

 

i)重点化予算枠

三つの重点化施策に係る重点プロジェクト事業については、重点的に財源措置

 

プロジェクト名

H16

H17

H18

(単位:百万円)
1.新産業・新事業の創出と経営力・技術力強化による産業の振興 625 677 639
2.地域資源の産業化と地域産品の高付加価値化 158 140 170
3.地域社会が支える子育て・子育ち支援 98 83 80

合計

881 900 889

 

ii)特別需要枠

      • 施設建設・整備の新規着工について、原則として平成18年度まで凍結

石見高等技術校(仮称)

県立高等学校校舎整備

  • 大会・イベントの開催方法の見直しによる経費の縮減

第31回全国高等学校総合文化祭

  • 県単独補助金の見直し

市町村・民間との役割分担やこれまでの施策効果等を踏まえ、制度見直しを実施

生活バス路線確保対策交付金

私立学校振興費補助金

商工会・商工会議所等人件費補助金など

      • 新行政システムの整備について当面凍結または整備中の経費の削減

電子入札システム(CALS/EC)など

 

iii)義務的経費等

      • 県単独扶助費

(福祉医療助成金)

自己負担1割の導入(自己負担上限額は、低所得者・若年障害者に配慮)

父子家庭を新たに対象に追加

(乳幼児等医療費助成金)

3歳未満の入院の自己負担上限額を2,000円に引き上げ

3歳以上就学前の通院を新たに対象に追加

3歳以上就学前の入通院については養育者に対する所得制限を導入

      • 特別会計・企業会計繰出金

経営の合理化・効率化を図るとともに、一般会計からの負担のあり方を見直し

(主な見直し)市町村振興資金特別会計(貸付枠:一般枠30億円→25億円)

中小企業近代化資金特別会計(貸付枠:設備貸与枠19億円→12億円)

臨港地域整備特別会計(資本費平準化債発行など)

      • その他の経費

(しまね市町村総合交付金)

地方分権に対応して、県と市町村の役割分担を図る観点から、政策目的を達したものから段階的に縮減・廃止

(民間社会福祉施設整備の借入資金助成)

平成18年度から対象施設等制度を見直し、段階的に縮小

 

(3)財源の確保【目標:10億円程度→実績:10億円】

(1)県税収入の確保

  • 課税自主権の活用
    • 核燃料税の更新(H17〜H21)(実績:5億円)
    • 産業廃棄物減量税の導入(H17〜)(実績:2億円)
    • 水と緑の森づくり税の導入(H17〜)(実績:2億円)

(2)受益者負担の適正化

  • 職員宿舎使用料の見直し
  • 職員宿舎駐車場、県営住宅駐車場の使用料を徴収

(3)その他

  • 県有財産の売却促進

※緊急避難措置

  • 借換債、償還期限延長等による当面の公債費負担の抑制
    • 銀行等引受債の最終償還額について借換債を発行し、償還期間を通算30年に延長〔H17:3,250百万円、H18:3,733百万円(計画)〕
    • 平成16年度、平成17年度許可の銀行等引受債について、償還期間を30年として発行
  • 財政健全化債による資金手当
    • 財政健全化債:8,000百万円(H16)

中期財政改革の取組による収支改善額

 

区分

中期財政改革

基本方針

H16〜18

当初予算の

収支改善額

内容

(1)行政の効率化・スリム化

100億円程度

100億円

 
 

総人件費の抑制

90億円程度

93億円

・給料(諸手当連動)のカット(▲66億円)
・定員(1000人)削減(▲16億円)
・給与構造改革(▲5億円)
・その他(手当等)(▲6億円)

内部管理経費縮減、外郭団体の見直し

10億円程度

7億円

・公の施設に係る指定管理者制度の導入など
(2)事務事業の見直し・削減

150億円程度

149億円

 
 

公共事業枠、部局調整枠

100億円程度

96億円

・補助・単独公共シーリング設定(▲22億円)
・一般施策経費シーリング設定(▲57億円)
・経常経費等シーリング設定(▲17億円)

重点化予算枠、特別需要枠、地域予算枠

20億円程度

53億円

・各種事業の年度間調整(▲25億円)
・特会、企業会計繰り出し金・貸付金見直し

(▲25億円)

・福祉医療・乳幼児医療助成金制度見直し

(▲2億円)

・生活バス路線確保対策交付金(▲1億円)

義務的経費等

30億円程度

(3)財源の確保

10億円程度

10億円程度

・核燃料税の更新(+5億円)
・産業廃棄物減量税導入(+2億円)
・水と緑の森づくり税導入(+2億円)
・土地売却増(+1億円)
(4)執行節減努力等決算段階での収支改善額

50億円

50億円

 

収支改善額計

310億円

309億円

 ・執行節減含む

 

 

 

 

 

 

 

2公債費について

(1)起債制限比率の推移(推計)

 

起債制限比率の推移

※今後発行分の推計前提条件:償還期間20(3)年、利率:2.1%

(2)分析

  • 公共事業費の縮減

将来的に抑制効果を発現

→概ね10年後には▲2.2〜▲3.1%程度の効果

  • 公債費平準化の効果

H16・H17年度に実施した繰上償還や、緊急避難措置として実施した借換債発行

→▲0.8〜▲1.7%程度の効果

(ただし、借換債の発行は後年度の負担増)

  • 税源移譲による標準財政規模拡大等も指数改善に寄与

→▲0.3〜▲3.9%程度の効果

 (注)今後の交付税額の減少傾向や金利動向を踏まえれば、起債制限比率は上記の推計よりも高くなる可能性がある。

(3)実質公債費比率について

(1)導入の経緯

 平成18年度からの地方債許可制度の廃止と協議制度への移行に併せて、市場の信頼や公平性の確保、透明性、明確化等の観点から元利償還費の水準を測る新たな指標として導入された。

※実質公債費比率

 通常の行政水準上必要とされる一般財源(標準財政規模)に占める「地方債の元利償還金」(公債費)とそれに準ずる「準元利償還金」の合算額に係る一般財源の割合で、直近3年平均の数値

【地方債の元利償還金+準元利償還金−(特定財源+交付税算入額)】÷【標準財政規模−交付税算入額】

※準元利償還金

 公営企業(病院、水道、電気など)に対する繰出金のうち公債費負担部分など、従前は起債制限比率の算定には含まれていなかった公債費に準ずる支出が、新たに管理すべき対象として加えられた。

(2)地方債協議制度の仕組み

〔原則〕地方公共団体-(協議)→総務大臣-(同意)→同意債の発行

└(不同意)→議会への報告→不同意債の発行

※不同意債については、公的資金充当や地方交付税算入されない。

〔例外〕実質公債費比率が18%以上の団体→公債費負担適正化計画の作成

└(許可申請)→総務大臣-(許可)→許可債の発行

└(不許可)→地方債の発行不可

※実質公債費比率が25%以上になると、実質的に県債発行が制限される。

(3)本県の実質公債費比率(平成17年度)

本県の実質公債費比率:17.9%

  • 平成17年度の本県の実質公債費比率は、総務大臣の許可対象団体となる18%に達することをかろうじて免れているという状況にある。
  • 本県の実質公債費比率は、高い(悪い)方から5番目にあり(速報値)、類似県(財政力指数Eグループ)のなかで最も高い(悪い)数値(Eグループ平均:14.5の1.2倍)となっている。
  • 今後の、交付税の減少傾向や、金利動向を踏まえれば、引き続き公債費の抑制を図っていくことが必要である。

IIIまとめ

 あらゆる行財政改革の努力の結果、収支不足額450億円のうち、平成18年度までに、300億円程度を圧縮するという目標は達成できる見込みとなった。

 しかしながら、依然として構造的な収支不足は解消されておらず、加えて地方財政を取り巻く状況は厳しいものがあるため、今後の地方財政対策を注視しながら、引き続き行財政改革に取り組む必要がある。

県債に関する数値(他県との比較)

※H17までは決算額、H18は当初予算(普通会計ベース)

地方債残高の類似県比較

起債制限比率の類似県比率


参考

「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」

地方財政

  • 国と地方の信頼関係を維持しつつ、国・地方それぞれの財政健全化を進めるため、地方財政について以下の取組を行う。

  • 地方歳出については、国の取組と歩調を合わせて、国民・住民の視点に立って、その理解と納得が得られるよう削減に取り組む。

(1)地方公務員人件費については、国家公務員の改革を踏まえた取組に加え、地方における民間給与水準への準拠の徹底、民間や国との比較の観点からの様々な批判に対する是正等の更なる削減努力を行い、本年4月末に総務省から公表された速報値を踏まえ、5年間で行政機関の国家公務員の定員純減(▲5.7%)と同程度の定員純減を行うことを含め、大幅な人件費の削減を実現する。

(2)地方単独事業については、「選択と集中」の視点に立って、国の取組と歩調を合わせ、過去5年間の改革努力(5年間で▲5兆円超)を基本的に継続することとするが、地域の実情に配慮し、今後5年間については、地方単独事業全体として現在の水準以下に抑制することとし、投資的経費は国の公共事業と同じ改革努力を行い、一般行政経費は2006年度と同程度の水準とする。ただし、これまでの歳出削減努力がデフレ状況下で行われてきたことなども踏まえ、地域の経済動向等を十分に注視しながら、柔軟かつ機動的な対応に心がけることとする。

  • 以上の歳出削減努力等を踏まえ、地方交付税等については、以下の制度改革を行う。

(1)地方交付税の現行法定率は堅持する。

(2)過去3年間、毎年1兆円近く削減してきた地方交付税等(一般会計ベース)について、地方に安心感を持って中期的に予見可能性のある財政運営を行ってもらえるよう、地方交付税の現行水準、地方の財政収支の状況、国の一般会計予算の状況、地方財源不足に係る最近10年間ほどの国による対応等を踏まえ、適切に対処する。

(3)これにより、上記の歳出削減努力等とあわせ、安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税(地方財政計画ベース)等の一般財源の総額を確保する。

(4)各地方公共団体に対する地方交付税の配分に当たっては、行政改革に積極的に努力している団体や地方税収の伸びがあまり期待できない団体に特段の配慮を行う。(5)地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与・国庫補助負担金の廃止・縮小等を図る交付税について、地方団体の財政運営に支障が生じないよう必要な措置を講じつつ、算定の簡素化を図る。地方税について、国・地方の財政状況を踏まえつつ交付税、補助金の見直しとあわせ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図る。

 以上の点を中心に住民の視点に立った地方公共団体の自発的な取組が促進されるような制度改革を行う。そのため、再建法制等も適切に見直すとともに、情報開示の徹底、市場化テストの促進等について地方行革の新しい指針を策定する。

 また、道州制導入の検討を促進する。



お問い合わせ先

財政課

島根県総務部財政課
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TEL 0852-22-5035
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