7月15日質問項目1
1.参院議員選挙
○山陰中央新報:山陰中央新報社の原です。よろしくお願いします。
冒頭、参院選についてお尋ねなんですけども、選挙戦も終盤を迎えて、20日に投開票を控えてるっていう状況なんですけども、ここまでの各党の訴えであったりとか論戦を御覧になって、何か注目されている政策論争であったりとか争点があれば聞かせてください。
○丸山知事:ちょっと表現が適切なのか分かりませんけど、外国人排除とかいうテイストの主張があちらこちらで見受けられるということについて、深い憂慮をいたしております。
やはり参政権が与えられないとかいうことは、これは主権が日本国民に有する、あるということから、憲法上、そういうふうになってますし、それは他国でも同じ、日本人が外国に行ったからといって、国政選挙に参加できるわけではないですから、これはそういう合理的な差というのはありますけれども、同じ社会保険料を払っていて同じ社会保険に加入する、同じ税金を払っていて同じ住民サービスを受けるという意味では、公平に対応しなきゃいけないというのは、日本国憲法で平等を保障されているのは日本国民だけということなのかもしれませんけれども、少なくとも人道的な観点なり、普通に考えて、我々日本人も外国に住むことはあります。ありますよね。日本は、日本の大きな企業が国際展開している。当然海外に子会社とか現地法人とか支社を設けて事業展開してますから、日本人というのは世界で生活をしておりますから、日本人が外国で生活するときに不合理な扱いを受けないためにも、当然日本人というのは基本的に、日本という国は外国の方々をできるだけ内国民、国民として扱うと、お互いに、日本人が外国に行けばそういう扱いをしてくれている国の日本人に対してはそういうふうな扱いをする。そういうことを通じて国際社会とか国際的な活動とか経済活動とか、それ成り立っているわけですよ。だから、近視眼的に、外国人を排除していけばこの社会がよくなるっていうふうに受け取られかねない言説、主張がなされてるってことについては、大変憂慮しなきゃいけないというふうに思っております。
私は、当然、違法行為があれば、日本の法律で日本人も外国人も、日本国内に居住している人間に対しては当然刑法が適用されますから、それは厳正に法律を執行すべきであれば、それは日本人にも外国人にも厳正に法律を執行する、刑法を適用する。経済活動で住みもしない、何か高いマンションを買って、投機目的で売るんじゃないかとかっていう話があるんであれば、それは同じように、それは外国籍の人かどうか関係なく、投機目的で不動産を買ってるだけで放置してる。そんな人たちに対する固定資産税をちゃんと非居住者用の税率を適用して、税の特例を適用しないようにして、ちゃんと税を課すとか、そういう投機目的での不動産所有というものを日本全体として抑えていくべきであれば、それは日本人も外国人も、誰でも同じような重課、税率を上げるなりしてですよ、そういうもので抑制していく。それを公平にやればいいわけです。外国人だから許されなくて、日本人だから許されるということは、基本的にないはずです。外国人が許されて、日本人が許されないこともないけどね。なので、そういう、日本人が国際社会の中で生きていくっていうことを忘れてるということを大変危惧をいたします。
それから、もう一つは、この流れが外国人という参政権のない人たちに向けて、ある意味、弱者排除、弱者差別という側面を有してるということにも危惧をいたしておりまして、これはよくあることなんですけども、戦前に共産主義者を弾圧するという名目で、それがどんどん拡張していって、治安維持法、いわゆる特別高等警察、特高などで拷問による取調べが横行したということを考えても、そういう、要するに物事のスタートというのは、悪いことのスタートは小さく始まって、拡大していくんです。ですから、弱者に対する差別とか、弱者への排除というものを、外国人という世界で認めてしまうということは、これは実は外国人以外の社会的弱者に対する排除とか差別とかというものを許すことにつながりかねない。そういう意味で、参政権がないという意味での立場の弱さを持っている人たちに対して、不当な扱いをしようということは、決してあってはならないというふうに思っていますし、よもやそういうことではないと思いますけども、そういうふうに取られかねない主張が一部でなされてるということについては、深い憂慮をしてます。
我々は、何度も申し上げますけども、島根県というのは地域的な立場でいえば弱者です。島根県内の企業は中小企業で、多くは経済的な立ち位置は弱者です。そういう人たちを切り捨てればいいじゃないかというふうな言説、言論というのは、我が身に返ってくるという意識で私は臨んでおりますので、ゆめゆめそういうことがないようにしてもらいたいと思っております。
ともかく、私からすると、外国人の方への行政サービスとかをカットして、我々が豊かになろうとかっていうことを考えるよりも、はるか先に、そんなことよりも、もっと早く、そんな小さな話じゃなくて、私からすると、応益負担という観点で負担することが、負担能力がある大企業に対する課税を強化していきましょうとか、そういう政策論をやるべきなんですよ。そんな政策論も出ずに、弱者排除みたいなところで優越感に浸ろうとかっていうふうなことというのは、本当、本末転倒。私は、政治の力というのは強いものに向かっていくと、強いものに向かっていける数少ない力なんですから、これだけ大きな利益を上げていて、法人税減税されたままで、氷河期世代に対する対策を抜本的に打っていこうというのであれば、派遣の拡大で最大の利益を得ている企業側から負担を求めていくなんて当たり前のことだと思うんだけど、そういう主張がなされていないというのは本当に不可解ですよ。
そういう弱い人たちをいじめて何とかしようみたいなことではなくて、お金を持ってて、余裕がある人たちから、もう少し負担してもらえませんかという議論をするっていうこと、そういうことがないと、いろんな減税できないと思いますよ。個人向けの減税をいろいろやろうと思ったって、現実問題、じゃあ何のサービスカットするのかという議論、全然してない。そうすれば負担能力のある人たちに負担してもらうしかないはずです。そういうものとセットで議論されるべきはずなのに、そういう議論も一切ないというのは非常に不可解ですよね。
私は、法人税というのは利益課税ですから、トランプ関税で状況は厳しくなるとはいえ、利益の一部を頂くだけなので、別に赤字の法人に対して課税するわけじゃないから、さんざんっぱら過去最大の利益を出して更新し続けている方々に、もう少し率的に上げて負担してもらったって、別に内部留保の積み上がりが減るわけじゃないので、私はそういう弱い立場の人々を排除なり切っていって、お年寄りのサービスを切ればいいとか、福祉とか保険を切ればいいとかっていう、そういう議論が先行してるっていうのは本当に、外国人排除みたいな議論が加わって、さらに憂慮すべき事態だと思ってまして、本当に今までの政治を変えていこうというのであれば、大企業に対する課税強化ぐらいを入れていけばいいんですよ。何でそこを誰も言わないんですか。全く分からない。減税の財源はって、大企業の法人税を、ちょっと5%ぐらい、大企業向けの法人税ね、法人税本則、中小企業向けの税率はそのままにして、本則課税を上げてくださいという議論がなぜ出てこないのか。そういうことをやれば税制中立で、財政は痛まずに、もっと減税ができるかもしれませんよ。自民党だって減税できるかもしれない。
ということで、非常に憂慮、弱者排除みたいな、弱者に対する抑圧、差別みたいな風潮が、外国人に対する排除姿勢みたいな形で広がる、何かそういう主張が見られるということについては、それ自体がよくないということと、それ自体が弱者だったり地方だったり、弱者切捨てみたいなところに広がっていく危険な風潮だとして捉えてまして、大変憂慮してるという状況であります。
個別の情勢については、マスコミ各社のほうが本社のほうで取材されてるでしょうから、私は詳しく分かりませんので、その点についてはコメントを差し控えます。以上です。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
個別の情勢って、全国的な情勢なところをお伺いしたいんですけども、各社、情勢調査で全国的に与党の劣勢といいますか、議席減であったりとか、苦戦の状況が伝えられているんですけども、こういった状況はどのように御覧になられていますでしょうか。
○丸山知事:いや、与党が苦戦してるってことは、それは与党、今の政策に対しての不満が蓄積していた、それが今ここで投票行動として表れようとしてる。
本当にごくごく一般論ですけど、与党が優勢だってことは、与党がやってる政治が評価されていて、それが投票行動に表れるし、与党が劣勢ってことは、与党がやられてる今の政策面に対する批判が強いってこと、その裏返し、まさに裏表というか、イコールですよね。そういうことだと、普通に考えて、特別な見識はありませんけど、そういうことなんでしょうということです。
○朝日新聞:朝日新聞の垣花です。
参議院選挙の関係ですけれども、先週、自民党の比例区の候補の方が松江に来られて、その個人演説会に知事が来賓として出席をされて激励の御挨拶をされました。去年の衆議院選でも同じ建設業界を集めた集まりの中で、自民党の島根1区の候補の集会に出席されて挨拶をされたと思うんですけども、今回出られた理由を教えていただけますでしょうか。
○丸山知事:国土強靱化の中期計画の中で、新しい5か年の計画として、5か年20兆円強という内容、閣議決定されてます。これは5か年で15兆円と言われた今の計画、これまでの計画よりも積み増しをしてもらってますけれども、もともと人件費、資材も上がってきてるということで、要するに人件費や資材の高騰などの状況は毎年の予算編成で織り込んでいくということで、毎年毎年、この国土強靱化の予算をどれぐらいにしていくかということの綱引きをしなきゃいけないという状況ですよ。翻って、国土強靱化のこの計画はいいんだけど、衆議院選挙以降、少数与党となられてから以降ですよ、もう事実上の東京都や大阪府という大人口集積地で実施されてきた都や府の独自事業を政府が肩代わりしていこうという、高校の無償化、私学の無償化というのが、あれよあれよという間に実行されました。これは私学のシェアの低い我々からすると、来る額は正直言って僅かですよ。大都市向けの政策です。公立よりも私学の比率が高い大都市向けの政策です。
つまり、もう我々のような地方のインフラ整備を進めなきゃいけないという方々っていうのは、もう昔から、30年前からするとむちゃくちゃ貴重なんです。もう東京とか大阪の選出の人たちって、もうインフラ整備なんて終わってるだろうというふうにもう平気で言う時代になってしまっているわけです。なので、私は、何党とかっていうんじゃなくて、まだまだ社会資本整備をしなきゃいけないと、そのための予算を確保しなきゃいけないということを一丁目一番地に置いて議員活動をやっていくと言われてる人のことはちゃんと応援をして、当選してもらって、そういう仕事をしてもらわなきゃいけないと。それが島根県のためになるというふうに思って、これはそういう政策を踏まえて応援をさせていただいたのが先日でありまして、私はその場でも申し上げましたけど、24兆円強とかっていって、もう24兆円確保してもらったっていうふうにぼうっとしてると、財務省が、もう24兆円の中にこれも入れてしまえ、あれも入れてしまえって、もともと入ってたようなものを積み込んでいって、実質的に24兆円を骨抜きにしていくと。もうそんなことを霞が関の役所とこれからやっていかなきゃいけないんです。24兆円って書いてあるから24兆円がもう来ると思ってはいけないんですよ。もう霞が関の世界というのは、もう本当にね。いや、ちょっとやめとこう。生き馬の目を抜く世界なので、もうちょっと違う言葉を思いついたんだけどやめときます。生き馬の目を抜く世界なので、24兆円をきちんと24兆円強にしていくためには、本当に汗をかいていかないと、我々だってやんなきゃいけないし、受益をする側、インフラ整備の恩恵を受ける側が一生懸命やらないと、やっぱり政治的に実現しないですよ。
なので、そういうことで、ともかくこれから参議院選挙後の政局というのは、ある意味、衆議院選後の政局よりももう一つ複雑怪奇な世界になっていく。いろんな政党と、新しく伸びる政党も出てきたりして、そういうところが言い出してる、選挙の中で言った公約の実現のために、あれやこれやという話が出てきて、公共事業なり国土強靱化に回すお金を削らなきゃいけないみたいなことになりかねない。理屈上、言えばですよ、24兆円強の国土強靱化はやるけど、一般の公共事業を減らしてくるとかっていうことだってあり得るわけですよ、数字の帳尻合わせようと思ったら。そういう戦いをしなきゃいけないということなので、我々、そういう戦いの味方になってもらう方にきちんと国会議員として仕事をしてもらいたいという期待を込めて応援をさせていただいたということで、島根県として、島根県知事として、島根県の遅れた社会資本整備を進めていくということのために必要だと思って応援させていただいたということであります。
○朝日新聞:それは、自民党を支援するという意味ではない。
○丸山知事:社会資本整備をきちんと進めるということを主眼に置いて政治活動をしていくと、議員活動をしていくというふうに言われている方を応援していくと。
○朝日新聞:今度の参院選で、ほかに誰か候補、今までもそうですけど、応援に立つという、期間中にですね、応援演説に立つとか、そういったことは予定、あるいは今までそれ以外ありますでしょうか。
○丸山知事:予定は今のとこないです。
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