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11月8日質問項目3

3.103万円の壁

○山陰中央新報(高見):今一番大きな、報道でも熱くされてますけれども、いわゆる103万円の壁の見直しでありますとか、そういったところに関して、知事のちょっと所見を伺えればと思いまして、県財政で見れば減収が想定されたりすることもあると思うんですけれども、県民への影響とか、いろんなところを踏まえて、知事はどのように考えておられるか、伺えますでしょうか。

 

○丸山知事:県別の、島根県の試算を詳しくやっているわけではありませんので、マクロの数字で申し上げますと、今の基礎控除を、言われている178万円でしたかね、まで基礎控除を引き上げるときの減収額というのが、形式的には所得税で、国の税収が3.6兆円、地方の都道府県民税や市町村民税、いわゆる住民税と言われるものが4兆円ということで、税ベースでいうと3.6と4、合わせて7.6なんですけれども、所得税というのは交付税の原資になってますので、これは、33%は地方側の財源になります。したがって、3.6兆円の所得税、国税のうち1.2兆円は地方側の減収ということになりますので、4プラス1.2という数字、5.2兆円が地方全体の減収。3.6兆円から1.2兆円引いて、2.4兆円が国家財政としての影響と、実質的な影響はですね。ということで、影響の幅は半々ではなくて、国が1とすれば地方は2という意味で、地方団体のほうが影響は大きいということで、知事会ですとか他県の知事からも、その減収が生じること、これを対応できるのかどうかと、対応できそうにないと、これだけ大きいものが発生しますと。そういった意味で懸念が示されているというところでありまして、それは私も同じ思いであります。

 ミクロでいいますと、玉木代表のおっしゃってる話というのは、今回の選挙戦を通じて、若い方々を中心に訴えられて、やはり非常にニーズが強かったという肌感覚、国民の声を踏まえて力強く政策実現に向けて取り組んでおられるということについて、私自身、敬意を表するところではありますけれども、お話を伺ってますと、話が2つかぶってるんです。2つの要素がかぶってまして、これは働く、アルバイトをされる大学生のイメージだと思いますけども、とかパートで仕事をされている方のイメージでいきますと、その103万円という壁があることで、10月、11月、12月、年末あたりになると最低賃金も上がって、それを超えないように時間調整、働く時間を抑えられると。それが結果として所得、もっと働いて稼ぎたいけど稼げないといったことで、働くことの阻害になってるという問題を解消しなければいけないという問題除去の話と、手取りを増やすという意味で、そういうアルバイトの時間を増やして所得を増やすということ以外に、やはり基礎控除という、みんなに適用される減税要素を、減税の元になる数字を増やすことで、恐らく納税者の皆さん全員が減税になるようなことを実現するという話が2つかぶっています。

 前者の話というのは、最賃の引上げに伴って、これまでも指摘されていたことでありますから、私もその改善というのは合理性があるというふうに思いますけれども、すごく細かな話でいうと、この話というのは、東京の新聞社の皆さんもよくちゃんと解説してほしいと思うんですけど、本人の税金の話と、特に大学生の場合の、自分を養ってくれてるといいますか、例えば大学生だと親の税金、自分は子どもとして扶養に入っているという話と、2つフェーズが違うんです。自分の所得だと103万円を超えても、超えたところに最低税率がかかるだけなんで、がくんと大きな税負担が一遍に発生するわけじゃないんです。ですから自分が払う税金の話で働くことを抑制しているんじゃなくて、パートに出られている奥さんだったり、アルバイトをしながら大学とか専門学校に通っておられる子どもさんだと例えばお父さん、奥さんだと旦那さんの扶養というか、税金の中での扶養控除を受けていて、それが103万円を超えると、一遍になくなるんですよ。だから、税金ががくんと上がるのは、自分の話じゃなくて、自分の家計の主たる維持者、大黒柱の人の税金が急に上がるので、そうならないようにしてほしいというふうに親だったり旦那さんに言われていて、それで働くことを抑制してるということなんです。なので、知ってましたか。知らなかったでしょ。だから話がごっちゃになってるんです。扶養の話なんですよ、急に税金が増えるのは。

 なぜかというと、大学生の子どもさんとしての扶養控除というのは所得税で63万円、住民税で45万円。ですので65万円で、仮に20%とか所得税かかれば、これが一気になくなると12万円税金が上がるみたいな話になるわけで、そこがどかんと上がるって意味で壁なんです。

 なので、その問題を解決しようと思うと、実は基礎控除を上げるとかっていう話じゃなくて、扶養控除がある一点を超えると一遍になくなっちゃうという仕組みを変えるということが一つのやり方なんですよね。これ、そんなこと、面倒くさいことをやるのって思われる方もいるかもしれませんけど、配偶者控除、夫婦の場合の連れ合いを扶養する場合というのは配偶者控除というのがあって、配偶者控除も、これも103万円でなくなるのかな。その代わり配偶者特別控除という控除が当てはまって、そこが逓減していくんです。少しずつ下がっていく。つまり控除の額がこう、所得が増えていくときに、どこかの地点でかくんと落ちるんじゃなくて、こういって、こう落ちていくように制度ができている。だから配偶者の場合はそういうことが起きない。だから、厳密に言うと子どもさんの影響が大きいんですね。子どもさんの控除が一遍に63万円がなくなっちゃう。なので、そういうことが起きるんであれば、大学生の控除も一定、103万円を過ぎてから一遍になくなるんじゃなくて、その後少しずつ下がっていくというふうにしていくと、そういう弊害というのはなくなっていく可能性が、私はそういうやり方があると思う。でも、その話と、何か大規模な減税をするって話がごっちゃになってるから、そういう丁寧な、細かな話に行かなくて、基礎控除を七十何万円上げるみたいな話になっちゃうから、みんなが減税になって、減税の額が大きくなって、大きな話になっている。

 なので、はっきり申し上げると、大事な話なので、もうちょっと丁寧に議論を仕分けして、何を目的としてやっていくのかということを整理しないと、本当にそういう7兆円を超える減収を発生させるようなことをしないといけないのかどうかというところから、段差をなくすという話だと、今のような大規模な、ものすごい大きな減収が生じる話でなくてもいいんじゃないかという話だってある。

 あわせて、いわゆるガソリン、軽油のトリガー条項の話は1.5兆円の減収という話もあります。でも、あまり今、報道にのってませんけど、国民民主党の公約の中には、年少扶養控除、高校生以下の控除を復活させたらどうかということだって公約に上がっています。つまりこれは子育て世帯に対して減税をしましょうという話です。いろんな公約をされている中で、国民民主党として、この103万円のところを非常に、財政の影響がものすごく大きな形で実現しないといけないという話なのかどうかということをやっぱり一つ冷静に考えていかなければいけないんじゃないかと思いますし、そういった意味で、国民民主党さんの主張を自民、公明の税調なりで十分に受け止めていただいて、そういった、私が申し上げたような話というのは多分、税調の詳しい方からすると当然御存じの話だと思いますので、何を目的に、どういう税改正をするのかという観点で、また、大事なことは、財政といいますか、減税というのは当然国民の皆さんからすると喜ばしいことなんですけども、減税というのは公共セクターにとっては収入減で、それを一体補うすべがあるのか。補うすべがなければ、何を削っていくのかということを、やっぱり議論しなければいけなくなってしまう。

 残念なのは、今日の毎日新聞さんの記事なんですけど、玉木代表が税収の増加分、自然増収ってやつですね、を財源にと主張されている財源についても、どこから削るのかというのは政府・与党の責任だと、我々は予算の全体像は分からないというコメントをされているんですけど、私はやっぱりこれはよろしくないと。国民に責任を負うというのは与党だけじゃないわけです。国会議員の皆さん、みんな責任を負わなければいけない。私が言うのも天に唾する世界かもしれませんけど、やっぱりこれだけ国家財政とか地方財政に影響を与えることを実現すべきだというふうに、本当に仮におっしゃるのであれば、それを全体像として、自然増収というものに期待していくのか、それとも別の財源、増税で埋めていくのか、または、はたまたどこの歳出を削っていくのかということをセットでやっぱり責任を負わないと、減税のとこだけ主張して、あとは知りませんというのは、それはやっぱり、正直言って、政府・与党、日本の政府だったり日本の地方財政だったりというところが工夫すれば対応できますという話であれば、あとは知りませんで私は構わないとは思うんですけど、なかなか対応が難しい規模の、やっぱり数字として対応が難しいボリュームなんですよね。これを本当に、これが正しければ。7.6兆円、それから1.5兆円って話になると、それは何とかなるでしょうという話に普通はならない。はっきり申し上げると、本当にそれを実現を本当にされたいのであれば、全体としてそれに派生する様々な問題も含めて、政党として責任を持つというのが筋であって、とすればですよ、やっぱり連立与党に入って、いろんなものについて、全体として責任を負っていくからこういうことをやりましょうというふうなことを言わないといけないレベルの話になっちゃってる。

 私は、本当にこの話、7.6兆円を望んでいるわけじゃないという話かもしれませんけど、トリガー条項1.5兆円、7.6兆円という話を本当に実現するべきだというふうに思われていて、それを実現すると言われるのであれば、それはもう正直言って、それに派生する様々な問題の処理、パッケージ全体を含めて、これは予算の中身を知らないからというのであれば、与党として入られて、予算の中身を知って、その決定に携わって、全体としてどうしていくのかということを責任を持ってやられないといけない規模の話だと私は思います。

 1回きり、何千億円の給付金を出しますとかという話じゃないんです。7.6兆円、1.2兆円がずっと恒久減税のような形でなくなっていく話ですから、公共事業を例えば5兆円やりましょうという話というのは、その年5兆円使うって話なんです。でも、この話って、収入の、ボーナスが減る話じゃなくて月例給が減る話なので、それが大きく減る話なので、私は本当にこの規模の実現を国民の期待を受けて実現していくんだというふうな意思で国民民主党が決めておられるのであれば、それは部分的にここだけ実現してくれという形では、政府とか与党は対応できない。やっぱり全体としてどうするか、それに派生する問題をどういうふうに工夫してやっていくのか、自然増収を期待するとして、自然増収が期待どおりできなかったら、どういうふうにしていくのかということについて、責任を負っていかないといけないぐらい大きなリクエストをされているんだと思うので、これは何かパーシャル連合というか、個別課題の政策協議みたいな話で済まないレベルだと私は思いますので、そういった意味で、自民党の税調での議論というのもこれから始まりますから、国民民主党が望まれていることがどういうふうにしたらできるかということを真摯に対応されるんだと思いますけども、そこを真摯にやっていただくということとともに、やはり国民民主党の玉木代表をはじめ責任ある方々にも、自分たちが主張されている国家財政とか地方財政に与える重みというか、大きさ、これつまりは国民生活に与える影響の大きさということに等しいので、それを踏まえると、ここをやってくれれば、その後は皆さんで、与党で問題がないように適宜やってくださいっていうのはいささか責任感に欠けるんじゃないかと思いますので、ここまでのことを言われるのであれば、もう与党としてやっていくという全体に責任を負っていただかないといけない話じゃないかなというふうに思います。

 それからもう一つ、派生して厚生年金の加入要件をほぼ撤廃していくという話がありますけども、これも、これ厚生労働省という主語で出ていますが、これもえらい国民生活に与える影響、ものすごい大きいので、こういうものを今回の与野党協議といいますか、自公と国民民主党の協議の中で、何か拙速に最終調整に入るとか、そういうことというのは、ちょっとあまりに拙速じゃないかと。つまり今回の衆議院選挙というのは、国民の暮らし向きをいかに改善させるかということが当選された皆さんに課せられた大きな政策課題だと思うんです。そういった中で、厚生年金の適用拡大というのは、当然厚生年金を受ける権利が拡大するんですけど、やっぱり働く人にも保険料負担が発生する。そして、それを雇用する側にも同額の雇用者負担が発生する。そういうことが実際、実現可能なのか。じゃあ、医療保険はどうするんだ。厚生年金、年金の話だけ年収の壁を撤廃しようじゃないかという話がありますけど、医療保険だって同じ話があるわけです。じゃあ医療保険どうするんだという話も含めて、全部、結局ね、国民負担が50%に近くなってるという話ありますけど、結局、税と社会保障の、税と保険料が両方とも国民負担なわけですよ。それをトータルとしてどうしていくのか。また、どういう人にどういう負担を求めるのかということって、まさに政治の一丁目一番地なわけですよね。それが非常に拙速に進んでいくというのは、正直言って、これは厚生労働省の政策の決め方としては、何かこれは本当に、政治の混乱の中で、政治が非常に少数与党の中で、その枠組みを固めていくために自公の皆さんが国民民主党と今、いわゆる政策協議みたいなことをされているという中で、一省庁とか一大臣がこうしていきましょうなんていう話を越えていると思うんで、ちゃんと、もうこれだったら、こんなふうになるんだったら与党の税制調査会じゃなくて、与党の税制・社会保険料調査会にしてもらって、全体としてやっぱりセットしてもらわないと、厚生労働省に社会保険だから、保険だからといって厚生労働省が決めていいという話じゃなくなってきている。

 国民負担は税と社会保険料です。そんな何か一つの役所でどうこうしましょうなんて決めれる話でもないし、ある意味、こんなばたばたしているときに決めれる話でもない。少なくとも決めるんだったら、今進んでいる自公と国民民主党との兼ね合いで決まっている事柄から派生してこういうふうにしていくんだという統一的な説明を、これは政治の側がされなければいけない話なので、本当に形式論でいったって、税の話で壁撤廃というんだったら、売り言葉に買い言葉をやってるんじゃないかと思うんだけど、じゃあ年金はこうやって、もうみんな社会保険料負担してもらいますと。そういう意味で、全く違うんですよ、税負担が生じない線を引き上げましょうという協議をしている中で、社会保険料を負担しなくていいとされてた人たちを、何かほぼいなくするって、全く逆の壁の解消策なんですよ。全く真逆なんですよ。それは両方とも壁じゃなく、線がなくなってる意味では同じなんだけど、社会保険料を負担する人を増やしていく。税金、政治で議論している話は減税の話をしている、こちらでは社会保険料を増やす話をしてる。何かアクセルとブレーキ、両方踏んで、誰が運転してるんですかみたいな状況になっているのは、今日、山陰中央新報を見て、何かひっくり返りそうになりましたよ、本当に。103万円の壁がどうなってるとかっていう続報が1面なのかなと思ったら、何かもうね、えっ、厚生年金。何でそこにいきなり行くわけっていう感じで、ちょっとやっぱり混乱しているので、やはり。

 そういう意味で、今回、経済対策とか首班指名とかというリミットがあるんだと思いますけど、やっぱりちゃんと議論して、本当に国民の理解を得て、負担が増える方に負担が増えますよということを示して、負担が減る方については、それは難しい説明は要らないかもしれませんけど、特に負担が増える方々には、負担が増える理由、負担が増えるけども年金が手厚くなるとか、そういうことを含めて、国民の生活に影響を与える大きなテーマが、何か無秩序に動いている現状は、やはりちょっと整理をして、全体をよくよく整理して、慎重に議論をしていただく、これは財政面も含めてだというのが、すみません、長くなりましたけど。

 本当ね、私はここのところ何か、昨日までちょっと頭の整理してたんですけど、今日の朝、頭がぶっ飛んで、もう一回、どういうこっちゃと勉強し直しましたけど、やっぱり何か今起きていることがさっぱり分からない状況になっているので、ちょっと首班指名に向けて、やはりこれから予算を通していく、法律を通していく、そのための国会の構成、与党という形なのかどうか分かりませんけど、総理の支持基盤を自民党、公明党以外にどういうふうに理解を得ていくかという大事な局面なんですけど、その一方で、その議論が非常に財政的な影響が大きくて、どうなってしまうんだろうというふうに、はたで見てると不安に思ってしまう、非常に大きな話になっているということに対するちょっとおそれと、厚生年金の話がそこで出てくるということに対する困惑というのがちょっと、その2つですね、混乱と困惑みたいな。不安と困惑ですね。

 

○山陰中央新報:ありがとうございました。

 

○丸山知事:自然増収がうまくいかなかったら、結局、最後の最後、もう赤字国債の発行みたいな話になっちゃうじゃないですか。赤字国債の発行って、結局これまでのパターンを見ると、最後は消費税の増税みたいな形で、逆進性の強い形での国民負担を広く求めて穴埋めしていくということがこれまでのパターンなので、これだけ厳しい国民生活を、ある意味、一時的に活性化するかもしれませんけど、結局のところ、それはどこかで返ってくるということを考えると、やっぱり財政論というものはきちんと整理しなければいけないと思いますし、繰り返しになりますけど、これだけ大きな政策実現、一時的な政策じゃないです、よくよく経済対策のときに出てくる、何か何万円の給付金とか何万円の減税とか、1回きりの話じゃないわけです。ずうっと収入が減るという意味での7.6兆円と1.5兆円を足したら8.1兆円ですからね、違う、9.1兆円だ。9.1兆円の話なので、9.1兆円を差配するって、もう与党に入らないと、やっぱり国民民主党さん、いけないんじゃないですかと。与党に入らずして9.1兆円の話って、できないんじゃないですか。やっぱり9.1兆円のことを取り扱う責任って、いや、与党がのんだから、与党が全部後始末すればいいんだみたいな話では、それは究極のところ、公党としての信頼を高めることにはならないんじゃないかと思うので、やはり責任感のある議論をしていただくということ、これは自民、今、キャスチングボートというか、自民党さんと公明党さんと国民民主党さんにそういう慎重で責任ある議論をしていただくということが求められているんじゃないかというふうに思います。

 

○山陰中央新報:ありがとうございます。

 


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