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10月10日質問項目1

1.衆議院議員総選挙
○山陰中央新報:山陰中央新報の高見です。よろしくお願いします。

 

○丸山知事:お願いします。

 

○山陰中央新報:昨日9日、衆議院が解散をしまして、事実上の選挙戦が始まったところだと思います。今の政局であるとか国民の世論なども踏まえて、知事、どんなところが争点になるとお考えかというところを伺えますでしょうか。

 

○丸山知事:今は、公認の問題で、政治資金問題で、収支報告書に不記載のあった自民党の議員の方々の公認とか、比例名簿に登載するかどうかといった自民党内の選挙に対する向かい方ということに焦点が当たっておりますので、あと解散のやり方といいますか、国会審議をどこまでやった上で解散するのかということについて、石破総理が総裁選の中でおっしゃっていたことと実際のやられたことが違いがある、ずれてるということに対して、つまり解散のタイミングとか公認の問題とかっていう、政策じゃないところが今のところはクローズアップされているということでありまして、本来的に国民の皆さんに各政党で訴えられるべきことというのは、今の国民生活なり日本社会なり日本経済というものをどういうふうに見ていて、こういういろんな課題に対応するためにこういう政策を我が党としては行っていくといったことの提示、それの考え方の違いに基づく議論ということが展開されるということが望ましいというふうに思っておりますので、そういった、今のところ解散のありようといったところに注目が集まっておりますけども、日を追って政策議論になっていくこと、これを期待しているというところでございます。

 

○山陰中央新報:分かりました。ありがとうございます。

 知事の中で、政策の関係でいいますと、どういったところを見たいというところはありますか。

 

○丸山知事:一番は、昨日、くしくも総理がおっしゃった、地方創生のみならず日本創生だというふうにおっしゃいました。私は非常に大事なことだというふうに思っていまして、どうしても地方創生って、まちおこしがどうだこうだとか、市町村の創意工夫がどうだこうだ、だから消滅可能性自治体がとかっていう話になりがちですけども、日本社会の全体の仕組みとかありように手を入れていかないと、今の人口減少とか地方の過疎、それから三大都市や東京圏の超過密といった問題というのは解消されませんし、そういったことが人口減少に私はつながってるというふうに思いますので、そういった日本全体の仕組みの改めていくべきところを改めていくという形で取り組んでいただくということが大事だと思いますし、そういう地域の問題、つまりは人口が集積、超過密になっている地域と過疎の地域の格差の問題でもありますし、それは裏返して言うと、大企業と中小企業の格差の問題でありますし、大企業と中小企業の間の不平等な、不公正な取引関係、こういったところから私は改めていかないといけないというふうに思いますので、そういった政策が進むような議論をしていただけたらいいなというふうに思います。

 その端緒になりますのは、私は最低賃金がくしくも、自民党も立憲民主党も1,500円という数字を上げておられると思いますけど、大変卑近な言い方をすると、最低賃金の引上げというのは、最低賃金をいじらなければいけない会社というのは中小企業です。中小企業の経営者の経営資源を強制的に最低賃金の引上げという形で引き上げさせるという、ある意味の社会主義的な政策なんですね。ですから、正直申し上げて、他人のふんどしで相撲を取るような話なんですよ。その最低賃金を上げますとかっていうのは、政府が引上げの目安を示して、そしてそれに基づいて各地方の仕組みの中で上げていくという形ですけど、結果的に誰がその賃上げの原資を出すかというと、中小企業の経営者なわけですよね。それが、今大体1,000円ちょっと、まあ1,000円だとすれば、50%上げていくことを本当にできると思うのかということだと私は思うんです。それこそまさに中小企業と大企業の取引関係を是正しないと絶対にできない。

 私は、これはあんまり、どっちの政党がいい悪いって言いにくい、あんまり言うべきじゃないと思うんで、野党第一党と自民党と共通してる公約なんで、はっきり言わせていただきますけど、最低賃金の引上げというのは、政治の公約としては恥ずかしい公約。他人のふんどしで相撲を取ると言っているのであって、本当に中小企業がそんなことできるのか、どうやったらやってもらえるか、そのために何をしなければいけないかという大政策が要ると思うんですよ。1,500円に引き上げるっていうのは政策じゃないと、私は。それができるような環境をいかにつくっていくかということが政治であって、今、手をつけてないことがたくさんある。それを手をつけていくんだということを深掘りをしていただきたい。そうすると、自動的に今のような、中小企業が工夫して設備投資をしていくけども、結果的に原価が下がっていくのを全部製品価格に転嫁して下げろって言われる。生産性が低いと言われてるけども、生産性を上げようとして、いわゆる設備投資の果実を全部、物を買う側が持っていってしまう。東証プライム企業の純利益の総額は過去最高を更新してる。これ以上どうやって最低賃金を上げていくんだっていうふうに中小企業の経営者が途方に暮れている。このアンバランスを是正しないと、そんなことはできないですよねと私は思うんです。なので、くしくも、自民党と立憲民主党という政策議論の主軸になる政党が同じことを言われている。たしかそんな感じでしたよね。違ったかな。

 何かそんな、ちょっと間違ってたらごめんなさい。1,500円に上げるっていうんだったら、1,500円に上げるためにやらなければいけないことをちゃんと実現する、こうやって実現するという具体的な道筋を世に問うていただきたいと思いますし、それは、はっきり申し上げると、今までの総裁選の中とかでも出てこなかった、非常に大企業の嫌がることをしていかないとできないって、私は、ことだと思うんですよ。そういうことにちゃんと踏み出すということを具体的な公約として上げていただきたいなというふうに私は思ってますし、そうすると、大企業に滞留している過剰な利益が社会全体に回っていく。まさにトリクルダウンと言われることがやっと実現されるということだというふうに思いますので、それを実現するのに独禁法の改正だ、下請法の改正だ、強化が必要なのであればやってもらえばいいと思うし、そういう、私の我田引水みたいな話になりますけど、私がやってもらいたいと思っていることが、最賃1,500円とかでの形だけの話ではなくて、本当にやっていこうと思ったらそういうことが必要になるというふうな議論が進んで、そういう公約が掲げられるといいなというふうに思ってます。

 

○山陰中央新報:分かりました。ありがとうございます。

 

○共同通信:共同通信の白神です。

 先ほど、最低賃金1,500円への引上げを訴える公約というのを恥ずかしい公約だという発言の御趣旨のちょっと確認なんですけれども、あくまでもそういう引き上げる環境をつくらずに、各党が最賃引上げだけを訴えるのが恥ずかしいという趣旨であって、最低賃金、引上げそのものっていうのは当然賛成ということですか。

 

○丸山知事:そうですよ。でも、中小企業の経営者に聞いてくださいよ。1,500円に上げますといって、まあ5年もあればできますねって言う人、ほとんどいないんじゃないですか。それは、それこそメディアの皆さんの仕事ですけど、公約をどういうふうにやる。それを課せられるのは中小企業の経営者なんですよ、最低賃金というのは規制賃金だから。目指す方向は正しいです。ただ、今、今年の賃上げだって、去年、今年でもう100円ぐらい上がってるけど、それをやすやすとできましたっていうところは……。やすやすとできてるわけじゃないわけですよ。それがあと500円って、島根県内の企業が求められたときに、やすやすとできるわけがない。じゃあどうやってやるんですかと。

 全国民に100万円配りますって公約が出たら、一体どうやってやるんですか、その財源って言うでしょ。最低賃金1,500円に上げますって言われたら、そういう公約が出たら、どうやってやってもらうんですかっていうことがすぐにメディアチェックで出てこないと、それは何か、公約が恥ずかしいというふうに言いましたけど、それはメディアとして恥ずかしいでしょう。公約がまだ問われる場面じゃないかもしれませんけど、まだ公約を問える場面じゃないのかもしれませんけど、最低賃金の引上げというのは、企業のお金の配分の仕方を変えるってことですよ。企業にやらせるってことにすぎないので、政府がやるわけじゃないわけです。政府がそのお金を工面しない、他人のふんどしで相撲を取るっていう、そういう政策でしょ、基本的に。そうでしょ。おかしくないよね。それが、いろんな何か、税制だ何だとかっていう話はあるけど、税制だって、利益が出てなければ減税は発生しません。だって、税制上の措置というのは、利益が出てる企業が払う税金が下がっていくってこと、利益が出てない企業の税の特例措置っていったって、法人税なんて利かないでしょ、利益課税だから。固定資産税まけてくれるわけじゃないんだから。ですよね。

 だから、目指す方向は正しいけど、一体、国民の所得を引き上げるということは同じだから、それは正しいでしょうけど、常に、そのばら色の話っていうのはどうやって実現するのかっていうのが問われなければいけない。そういった意味で最低賃金の、いわゆる50%アップっていうのは一体どうやって実現するんですかっていうことが必ず問われなければいけないです、公約でしょ。それだけを言うって、何か、いや、私が島根県知事選挙でみんなに100万円配ります、県民1人当たり100万円配りますっていう公約を言ったら、それは、一体どうやってやるつもりなんですかって聞かれますよね。程度はちょっと違いますけど、一体どうやってやるんですかっていうのが問われる政策、公約であるのは間違いないでしょう。それは、財政資金を投入するわけでもなく、引上げに要するお金を工面しなければいけないのは中小企業の経営者だと。中小企業の売上げの中から充てなければいけない。それは、まさに人手不足で企業が倒産してるって話はありますけど、その最低賃金に対応するために中小企業が潰れていきかねないということとの裏返し、そういうリスクをはらんだ政策だから、それを、いや、みんなの賃金が1.5倍になる、それは最低賃金だけじゃなくて、日本の給与所得者の給料が1.5倍になる、それはみんなうれしい、そうなってほしいと思う。でも、それをどうやって実現するんですかっていうことが問われる、最低賃金もそう。

 特に最低賃金は、規制価格だから、法律で強制される賃金だからね。だから、それが実現できるような環境をつくるっていうことを、一体どうやってやっていくんですかっていうことなんですけど、空手形になりかねない、またはやるけども、その代わり会社は倒産しかねない、中小企業は。経営が立ち行かなくなりかねないということじゃないかな。だと思いますよ。

 ちなみに、1,500円って誰が言ってんだっけ。立憲民主党は言ってるような気がしたな。

 

○共同通信:あと社民とかも言ってます。

 

○丸山知事:だから、それは一体、労働者にとってはいいけども、本当にやらなければいけない人がやれる環境をどうやってつくっていくかとセットじゃないと、現実的な公約にならないんだと思いますけどね。

 

○共同通信:その環境づくりで、先ほどもおっしゃってましたけれども、一つあるのが、経費増加分の価格転嫁を中小企業が大企業にしやすい環境づくりというのが上げられるという、そういう理解でよろしいでしょうか。

 

○丸山知事:そういうことです。それだけじゃ足りませんけどね。当然大きなサプライチェーンに入ってるところはそういうことが必須だと思います。大きなサプライチェーンに入らずに、例えばお豆腐を売ってます、お豆腐を作って、お豆腐売ってますってところは、これは自分でスーパーとの価格交渉をして、受け付けてくれなければ、もう納入しないみたいな、本当にそんなシビアなことをしていかなければいけないってことだと思いますよ、本当に。だから、そういう価格転嫁っていうものをしていかないと賃上げできないと思うので、それは大きな企業が壁になってるものは大きな企業の壁をなくしていく、大きな企業の壁になってないところは、それはもう本当に売上げが、例えば5%賃上げをして5%売上げが減ったら価格引上げの意味がないので、どういう価格、どこまでの引上げであれば売上げを減らさずに、トータルとして増収できるかってことを考えて、相手方の交渉にもよるでしょうし、また自分の店で売るものであれば、これはもう店に並べる値段をどういうふうに設定するかってことですけどね。

 そういう、言ってみればスーパーで売ってるものの値段が上がっていこうと思うと、値段が上げられる環境というのは結局何かというと、買う人たちの実質賃金が下がり続けてるようだと上がっていかないですよね。だから今は大企業の賃上げ率は5%を超えてる。でも、中小企業の賃上げ率は2%台だと。そうすると、物価上昇が3%、恐らく中小企業の数字だと実質賃金マイナスなので、プラスになってないので、そういった中で価格が上がっていくということについて耐えられないので、上がったものを買えないということになりかねないから、そういうことの循環を、賃金も上がる、したがって購買力もつく、なので値上げもできるという形でのいいインフレになっていかなければいけないってことでしょうね。

 

○共同通信:ありがとうございます。

 

○丸山知事:先ほど確認があったように、最低賃金の引上げということ自体の、それが求められてるということは前提としながら、問題は、それを求められていながら長年実現できてなかったということは、それを阻む要因があって、本当にそれが実現できる環境を中小企業側につくれるかどうかという課題、これを乗り越えていかなければいけないほどのアップ幅ですから、もし1,500円ということであればね。今でもきついと言われてる数字の1.5倍ということであれば、それは、それをどうやって実現していくのかということが具体的に提示をされるということが望ましい。大変、中小企業の中でも厳しい経営が求められてる企業の事業継続に関わる問題ですから、そういったことも併せてきちんと提示されることが望ましいという認識でありますので、改めて説明をさせていただきます。

 

○山陰中央新報(高見):今回の選挙に当たって、知事は第一声であるとか応援演説参加とかの要請とか依頼っていうのはあったりしたんでしょうか。

 

○丸山知事:ありますけども、私は公示日は徳島で中四国サミットが開催されておりまして、それに出席する公務がありますので、物理的にといいますか、時間的に、いずれの陣営に、お話があっても対応できないというふうな状況で、今のところ出席しない予定ということであります。

 

○山陰中央新報:一応確認ですけれども、今回の選挙では、知事は特定の候補とか政党を応援されたり支援されるという考えはないというところなんでしょうか。

 

○丸山知事:そういうことです。

 

○山陰中央新報:分かりました。ありがとうございます。

 


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