9月11日質問項目3
3.日本版ライドシェア
○日本経済新聞:日本経済新聞の田中です。
9月4日の国交省の会議の際に、斉藤大臣のほうから、年内に全都道府県で日本版ライドシェアの導入を目指すという指示があったと聞いております。タクシー事業者が運営するという形で、いわゆる二種免許を持たない一般のドライバーが運送を担うという日本版ライドシェアの仕組みというのは、運転手不足が深刻な島根県でも一定のメリットがあるというふうに考えられます。島根県での導入の是非を含めて、知事のお考えをお聞かせください。
○丸山知事:斉藤大臣が言われた日本版ライドシェアの話を議論するのがいいのか、自民党の総裁選の最有力候補と言われている小泉進次郎先生がライドシェアを全面解禁し、地方の移動の不便を解消しますと、全面解禁というのは日本版じゃないということですよね。そういうことを言われてますけど、このライドシェアを全面解禁すると、地方の移動の不便が解消するというのは完全な誤りですよね。完全な事実誤認に基づく誤りです。
ライドシェアで問題が解決するというのは、多分、小泉先生も横須賀だったり都心に住まわれたりしてるでしょうから、人がどんどん車に乗って動いてるのに、それを使わないのはもったいないじゃないかという感覚なんでしょうけど、松江とか出雲の町なか以外、そんな風景ないんですよ。日中、車がばんばん動いてる。それに乗れればいいんじゃないかみたいな、ベースになる事実認識がずれてるので、全くもってライドシェアで地方の移動の不便をどうやって解消するのかって、何かこう、こんな間違った認識で政策されたら困るなと、そっちのほうが問題だと思いますよ。斉藤大臣の政策がどうだこうだというよりも、ちょっとこれで、ライドシェアで地方の交通の不便が解消するとかって、どういう理屈、どういう認識なのかっていうことを誰か聞いてもらいたいぐらいです。という感じです。
何か議論の焦点は、ライドシェアの全面解禁の是非に移ってる。是非でいえば、少なくともそういうことが有効な地域はあるでしょうけど、それが全国で適用されて状況がよくなるということは全くないです。ただ単にタクシー会社が潰れて、ライドシェアで呼んでも誰も反応してくれないし、タクシー会社は潰れてなくなってて、誰に頼みようがないという地域が広大に広がるってことになりかねない。
ですので、私は、そういう意味で日本版ライドシェアは賢明な政策で、つまり今あるものをちゃんと使っていこうということですよ。今あるものが何か規制に守られた悪で、それはたたき潰して新しいものをつくると、何か問題が全て解決するという、何か漫画チックなストーリーが描かれてますけど、それは、実際車買われて営業してる人たちが、人を雇ってストックがあるわけです、ストック、ノウハウ。それが立ち行かなくなるようにして、もうきれいさっぱり潰れるようにして、新しい仕組みで置き換えましょうって、カバーできる保障をちゃんとしてくれるんですか。誰もしてくれないですよね。そういう懸念があるから日本版ライドシェア、全面的な、全面解禁なんてやめてくれというのは、タクシー業界が言ってるだけではなくて、私だって同じ思いですよ。ライドシェアで問題が解決するのって、エリアは限られてるでしょう。東京の246とかでびゅんびゅん、青山通りとか新宿通りとか、車が通ってりゃ、そういうふうに思う人は、それは分かりますよ。でも、それが日本全国に広がってるかっていう想像力を持ってくれと。そんなわけないでしょと。大都市部は、そんなことがあるかもしれません。でも、路線によっては、そんな246沿いはばんばん走ってるけど、246沿い……。何か大きな国道沿いだけじゃないですよね。分かりませんけど、何というか、別にアメリカだって、分かりませんけど、ニューヨークとか、私は詳しく知らないけど、アメリカ全土でタクシーの免許制が廃止されて、全てライドシェアに置き換わってるんですかね。それニューヨークとか、分かんないけど、サンフランシスコとかロサンゼルスとか、そんな話を引っ張ってきて、何か出羽守みたいな話をしてるんじゃないかって思うんだけど、ちゃんと冷静な議論をすべきだと。
社会条件が日本は、ともかく東京に住んでいる人の感覚で全国制度をつくってもらっちゃ困るという一つの典型ですよね。どうやってライドシェアを導入したら、いわゆるついで乗せか、ついで……。車を運転してるけど、日中、ぼうっと家にいる人がたくさんいるという前提ですけど、人手不足でそんなわけないですよ。田舎だから、どっちかというと、車に乗れない高齢者の方がうちにおられるって状況、免許返納した方がね。だから何か、どこをイメージして、それが全国に当てはまるのかということが、まさに国会議員さんの仕事なので、仮に総理総裁がそういうふうに言われたとしても、やっぱりそういう地域じゃない地域から選出された代議士なり、衆議院なり参議院の国会議員の先生が、その認識の誤りを正してもらわなければいけないと私は思いますね。できれば、こういうふうに誤解されてる方の認識を早い段階で直してもらうのがいいですけど、仮にこのまま当選されても、後でお仲間の皆さんが正してもらうということが必要じゃないかと。
ライドシェアに関して言うと、私は日本版ライドシェア、全面的なライドシェアの解禁というのはハッピーになる地域とかエリアはあるかもしれませんけど、そうじゃないエリアもたくさんあるので、一つの賢明なやり方で、それは練られた政策だと私は思ってます。
規制緩和論というのは、規制によって何を守っているか。規制によって守っているものを、規制をなくした後でちゃんと守れるのか。その守っているものが既得権益だけだったら、それは守る必要がないというふうに整理はできると思いますけど、じゃあ、タクシー事業者の方のために規制をしてるっていうふうにレッテルを貼ってなくしてしまって、ライドシェアもない、タクシー業者さんもおられない、じゃあ、誰がどうしてくれるんですかって答えを持たないんだったら、それは無責任でしょって、一番単純な話ですよ。だから、ライドシェアで問題が解決する地域が全国なのかということをいま一度再検証して、これが本当に正しいのかということを再検証してほしいと思います。
○日本経済新聞:すみません、京都のほうとかだと、例えばタクシー事業者が運営するような、そういった形のライドシェアというのもあると思うんですけど、そういう形だと……。
○丸山知事:だから、それ日本版ライドシェアでしょ、だからそれが。
○日本経済新聞:ええ。
○丸山知事:だから、既存のタクシー事業者さんというのを活用してやっていくというのが、ある意味賢明なやり方じゃないかと私は言っている。
○日本経済新聞:うん、なるほど。
日本版ライドシェアであれば検討の余地はあると、そういう認識でしょうか。
○丸山知事:はい。
○日本経済新聞:ありがとうございます。
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