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7月25日質問項目2

2.旧優生保護法
○山陰中央新報(高見):旧優生保護法の関係をお伺いできればと思います。

 障がいを理由にした強制不妊手術というところで、憲法違反だと最高裁が判断を示しまして、先日、岸田首相が自ら原告に直接謝罪をする場面があったりとか、全国の続く訴訟でも和解を目指すという方針を示されたり、新たな補償の枠組みをつくっていくというようなところがあったかなと思います。島根県も同じこの法律の下で対応を取ってきた過去があると思うんですけれども、県が実施した手術であったりとか被害の状況というところは、どういうふうに把握しておられたり、どういう状況にあるか伺えますでしょうか。

 

○丸山知事:7月3日の最高裁判決におきまして、旧法、つまり廃止されました優生保護法の下で不妊手術を強いた旧優生保護法は憲法違反としまして、立法行為に関する国の責任は極めて重大とされ、国に賠償が命じられたところであります。こういった事態を二度と繰り返さないよう、全ての方が病気や障がいの有無などによって分け隔てされるようなことがなく、相互に人格と個性を尊重し合い、共生する社会をつくらなければいけないということを改めて痛感するところでございます。

 島根県といたしましても、旧優生保護法に基づく事務の執行の一環として、こういった事柄の一端を担ってきたことにつきまして、被害を受けられた方々におわびを申し上げなければいけないというところでございます。国においては、早急に被害者への補償についての対応を検討し、対応していただきたいと考えているところでございます。今後、国において必要な措置が決定されれば、県として行うべき事柄を迅速、的確に行っていきたいというふうに考えているところでございます。

 県の状況につきましては、島根県においては、個人が特定できる資料が今残っていない状況でございます。以上でございます。

 

○山陰中央新報:ありがとうございます。

 関連して、その個人が特定できる資料は今は残っていないというところですけれども、国がどんな補償の在り方というのをつくられるかにもよるかと思うんですけれども、県としてどんな対応を取っていかれるか、具体的に考えられることがあれば伺えますでしょうか。

 

○丸山知事:いや、今申し上げたとおり、旧法の法律が違憲とされて、それに伴ってどういう対応を取るかということ、これは立法行為自体が違憲ですからね。全会一致で議員立法で制定された法律が憲法違反だったという事案ですから、これをどうやって補償するのか。つまり高齢化されている方、今、島根県、別にこれ、実は島根県だけじゃないんです。資料が残っていないところは12府県ある。残っているとこだって、全部網羅的にきちんと残ってるわけじゃない。そういった方々をどうやって補償するのかということは、つまりは時間が長らく経過をして、資料が残っていないのは普通ですよ。記憶、関係者ももう存命でないという中で、どうやって被害を認定するという手順を取るのか。つまり通常の損害賠償のような、証明を求めることは、もう不合理なわけです。被害者の方に証明しなさいというふうなことを言うということは、つまり救済しないと言っているのに等しくなる。つまり、そういう通常であれば求めるけれども、本件について求めることが適当じゃない、そういう要件緩和というか、どこまで、何の事実をもって旧優生保護法に基づく被害を受けた方かと、被害かということを認定するかということについて、通常と違う仕組みなり手順を設けないと、ちゃんとした救済はできないということだと思いますので、その方策を、これは立法措置としてだと思いますけども、考えられる、それを、まずは内閣で考えて、内閣提案で出すのか、議員立法自体で、議員立法として制定した法律が違憲だったわけですから、衆参両院で各党各会派で議員立法としてやられるのか、その手順すら不明ですから、今の段階で、島根県としてどうこうするっていうことを申し上げられる段階にはまだないんです。そんなことを聞くんだったら、衆議院議長でも参議院議長でも、内閣総理大臣にでも聞いてくださいよ。全然ないことですよ。全会一致で、誰も反対しなかった法律が違憲だったわけです。我が国の立法史、立法府においてマイナスの意味で歴史的な、まさに敗北的なことが認定されてるわけですよ。

 だから、つまり何かというと、みんなが賛成するから正しいってわけじゃないってことです。多数決は、多数決で、多数決をもって憲法違反を犯すってことがあるってことですよ。すごいことですよ、これ。

 私はもう、これは普通の、最高裁の確立した判例を変更しないと、この責任を認めることができなかった。なので、除斥期間に関する法理論をこれまで最高裁が判例として使ってきた、その法理、その法律上の理屈を変えて、この判決を導いてきた。これは、最高裁は立派な判断なんです。何かというと、法理というか、法律上の理屈というのは、自然科学とか数学とかにおける定理とかとは違うんです。法理論というのは、公正で妥当な結果を導くための理屈なわけでして、その理屈が不合理な結果を招くのであれば、その理屈は変更すると。法律は道具なんです。法理論も道具。その考え方に沿ってる。私そう思ってるんですけど、だから、改めるにしくはなし。変な結果が導かれる理屈というのは、それは、その結果を仕方ないとするのではなくて、その理屈を改めるというやり方で救済の道をきちんと開かれたと。

 だから、本当に三権分立でいくと、昭和23年だから大分昔の話ですけど、国会が、国会議員さんが全員賛成してつくった法律が日本国憲法に違反してたってことを判断したということは、司法権のある意味最大の役割であります違憲立法審査権を国会に対して、行政府に対してじゃなくて、これは今回は国会に対してきちんと三権分立の働きをされているということです。

 なので、申し訳ありませんけど、今、島根県知事がこうしようと思ってるとか、ああしようと思ってるって言えるような段階に、残念ながらまだなくて、それを早く示さないといけない。高齢の方々もたくさんおられますし、そういう、例えばですよ、例えばもう本当にそういう不妊手術といったことがされてるっていうことを、その事実をもって、もうそういう旧優生保護法に基づいてそういう手術が強いられたというふうに、もう推定してしまう、そうでないということが明らかでない限りは、もうそういうふうに、そういうふうな被害を受けた方だというふうにもう決めてしまうというふうな手続を決めるとか、こういう資料が残ってない、関係者の親御さんに連れられて手術を受けたって方が、親御さんがもう存命じゃないって方だと、もう自分の記憶しかない。行った先の病院のお医者さんは亡くなってる。誰も関係者が存命じゃないというケースなんて幾らでもあるでしょうから、そういった方々をどういうやり方で救済するというか、補償するのかっていう意味で、特別な立法が要る。金額をどういうふうに設定するかということも難しいですけど、どの程度の証明を求めるかというか、何をもってこの旧優生保護法に基づく被害を受けられた被害者であるというふうに認定をしていくのかと、そこが一番のポイントだと私は思いますけど、それがどういうふうにすべきだとかいうことは、ちょっと知見がないですけど、ただ、普通のやり方をやっていたら、救済しないことになってしまう。それは多分、関係者はみんな重々承知されてると思うんで、そういう意味での、普通の補償とか損害賠償の手続を、要件を下げて手続を設定しないといけないんじゃないかというのが今言える唯一のコメントですかね。

 

○山陰中央新報:分かりました。ありがとうございます。

 


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