5月21日質問項目4
4.自民党の教育・人材力強化調査会提言
○山陰中央新報(曽田):自民党の教育・人材力強化調査会が大学などの高等教育機関の再編に向けた提言をまとめられまして、内容としては、国立大については、簡単に言うと値上げも視野に入れた適正な授業料の設定、学生側の負担軽減について検討するという話が出てますけども、かねてからこの話題について、知事、御発言がありましたけども、どのような御所感を持っていらっしゃいますでしょうか。
○丸山知事:私からすると、創設者の思想から全く離れてしまっている慶應義塾大学の塾長さんと似たような発想の提言が出てきてるということに驚きを禁じ得ないというところであります。
幾つかポイントを申し上げると、1つには、現状は、24か月実質賃金の下落が続いているわけです。国民の生活は2年間、ずっと厳しくなってる。そして、つるべ落としのように出生者数も、子どもが生まれる数も減ってる。そして政府は、恐らくそういうことの反転を目指してですよ、新たな国民負担、子ども・子育て支援金という名前の新しい社会保険料を設けて、国民負担を増やしてまで子育て支援を充実して、子育て支援をしようとしている。そんな中で、そんな中でですよ、自由民主党の調査会でしたっけ、から子どもを大学に行かせるといったときに、比較的経済的負担が少なく、また地元にもある、下宿させずに通わさせることもできるという地方大学まで含めた国立大学の授業料を、何か競争力強化、どんな理屈か知らないけど、何か訳の分からない理屈で、上げればいいんじゃないかと、はっきり書いてありませんけど、適正な水準に見直すと。大体適正な水準に見直すというときに下げることはありませんからね。下げるんだったら下げるって書く。下げるって書かないということは、上げるということですよ、霞が関文学的に言っても。
値上げを含意した提言が出てくるということについては、政府が一体、はっきり言って今、政治資金収支報告書に未記載がたくさんあった国会議員さんが自民党の中にたくさんおられて、そんな中で国民負担を上げていく、新たな社会保険料を設ける。それは制度、施策の充実とセットだけど、それでもやっぱり反対が多いですよ、世論調査全部。どれ見たって賛成のほうが多いって、ないわけです。こういう給付とセットになった国民負担の引上げですら、国民のすごい反発を受けてるという中で、こんな国立大学の授業料を上げればいいじゃないかみたいな話が平然と出てくるということは、信じ難いというか、もしこんなことをやったら、こんなことをやったらですよ、もう自民党は政権、転落しますよ、確実に。島根1区の補選の結果、見たんですかと。自由民主党は、少なくとも自由民主党のこの調査会の人たちは、自由民主党を政権から転落させたいのかと、こんな政策やられたら、いかに自民党の島根県連とか自民党の各職域、地域支部がどんなに頑張ったって、選挙を勝ち上がるのは容易じゃないですよ、島根でも。
いや、本当に政権から離れたい政党人がおられるのかというのが……。いや、本当、少子化というのは危機的な状況なわけですよ。つるべ落としのように出生数が減ってる。たしか1.26ショックと言われて、その後、出生率が回復して、もう一回、また過去最低を更新したのが令和4年の合計特殊出生率、1.26です。だから過去最低の出生率ですよ。過去最低の出生数。それを反転を目指して、国民の反発を受けながら、新しい社会保険料、財源をつくって何とかこの新制度を動かそうとしているときに、いや、教育の世界でも何か値上げすればいいんじゃないかとかという無神経なことを提言するって、本当に尋常な発想じゃないと思う。いや、本当に24か月、実質賃金が下がってる。そんな中で、いわゆる裏金問題が出てる、そんな政党が提言していい内容じゃないと思う。教育の充実のためにというお題目のようですけど、そんなことをやったら、教育栄えて日本滅ぶだ。教育を受ける子どもがどんどん減ってるのに教育の質を上げていくとか、何かもう本末転倒でしょう。教育を受ける子どもが減っていくんだよ。高等教育を諦めて、自分と同じ大学を卒業させるということが、させれる自信がないという親が増えてる。そういうことが少子化の一つの原因になってるという想像力すらない人たちがいるということに私は怒りと失望を覚えますよ。
今回、今、県議会の了解を取って、今、市町村と調整してますけど、高校生まで何とか医療費の助成をできないかと、無償化、一部負担が残るかという話は、ずれは残るけども、そういう努力をして、何とか子育て世帯の経済的負担の軽減をしようとしてるのを台無しにしかねないようなことを政府がやってしまおうとするというか、政権与党が提言するって、やめてほしいと。いや、議員の間の提言は自由かもしれないけども、こんなものを与党として採用するとか、政府として採用するとか、そんなことは厳にないようにしてもらいたい。本当に少子化をもっと進展させて、子育て世代が自分の子どもに、自分と同じようなキャリアを積ませることができないというふうに諦めさせて、日本という国の子どもをどんどん減らしていって、日本を滅ぼそうとしてるのかというふうに怒りを覚えます。本当に政府が、何とか衆議院は通ったのかな。法案をね、世論調査でも反対が多い中、恐らく6月の二十何日、閉会までに何とか通そうとしてるんでしょうけど、こんなもの、こんなことを、こんな国立大学の授業料を何で、競争力とかね、何の競争力なの。
私はもう、ちょっとこの前の慶應義塾大学の塾長さんの発言に対しても言ったけど、親からすると、親からするとですよ、教育の対価を払うんですよ。研究の対価まで押しつけられてもかなわないわけ。高等教育の研究費とか、申し訳ないけど、それは国費とかで、お金ある、それを振り向けてやってほしいと。大学1年生から4年生まで、学部教育を受ける人間に研究費、国際的な競争に勝ち抜くような研究費の負担までしろっていうのって、どういう神経なのかと。何とか子どもに教育を、大学の学部教育とか高等教育を受けさせたいと思ってる親とか、自分として何とか受けたいと思ってる子どもの実現可能性を下げるようなことを、こんな経済環境が悪いというか、これだけ実質所得が下がってるときにやろうなんていうことを考える人たちの思考回路が分からないし、こんな内容は絶対に採用してほしくない。これやるぐらいだったら、もう今の法案なんかやめてしまったほうがいいと思うよ。何か火を消そうとしてるのか、ガソリンかけてるのか分かんない。片方で火を消そうとして、片方でガソリンまいてるような、そんなことじゃないですか。
食べ物に例えると、1,500円のハンバーグ定食が食べれるか食べれないかというときに、何かメニュー替えて、ステーキにして3,000円出せって、そんなの付き合えないですよ。そんな上等な、ステーキなんか要らないから、ハンバーグ1,500円で出してくれよというのが大方の子育て世代の気持ちじゃないですか。
ともかく子どもを一人前にしていくということとか、一人前というか、子どもに大学教育を受けさせたいとか、自分で大学教育を受けたいと思っている親とか子どもの今の状況を思ってやっているのか、誰のためにやっているのか。大学のためにやってるんだったら、もう本当に本末転倒ですよ。大学なんていうのは、申し訳ないけど、大学のために大学が存在するんじゃなくて、学生とか利用者のためにある、利用者目線で考えないと、政府は、与党は。大学関係者が自分の大学のために何を言っても構わないけど、政治をする側がそんな、大学のためにとか、そんなこと、大学のためになるけども学生のためにならない。そんなことを考えて一体どうするんだと、信じられない。もうぜひ、採用してほしくないけど、採用するんだったら公約の1番目に上げて、それで国民、有権者の信を問うて、それで、その上でやってほしい。国立大学の授業料上げればいいといって公約の一番最初に上げて、それで当選してからやってほしい。
こんな状況で国民負担上げたり、島根県内だって財政出動増やして、どうやって子どもを増やすか、子どもを増やしてもらえるか、どうしたらそういう環境をつくれるかということを一生懸命やってるときに、こんな国立大学という比較的安価な教育の機会を遠いものにしてしまうようなことを提言するなんて、本当に信じられない。信じられない。ガソリンまいてるのと同じ。破滅的だと思いますよ。
何か奨学金を充実すればいいとかって。奨学金って、また借金なのかと、借金させるのかと。奨学金って、給付型かと。そんな給付型が出せる金があるんだったら、その給付型を研究の充実に充てればいいでしょう。何で授業料を上げるとかっていう、国立大学で教育を受ける権利を引き剥がすようなことを考えるのかって、全く分からない。何のためにやっているのか、本当に、国を滅ぼすためにやっているのかと。教育は栄えるのかな、分かんない。大学が栄えて日本が滅びるよ、何のためにやってるんだ。というぐらい怒りを覚えてます。本当に国民に信を問うてからやってほしい、そんなことは。そんな資格ないでしょう。政治資金収支報告書の問題を抱えていて、そんな問題を抱えてる人たちが提言できる内容じゃない。申し訳ないけど、それぐらいマスコミは言ってほしい、本当に。
その説明も含めて、みそぎも含めて、そして教育の充実のために、競争力の、国立大学の研究力の強化のために、国立大学の授業料を上げますということをちゃんと国民に公約として設定して、信を問うてからやってほしいと思います。思いませんか。
○山陰中央新報:そうですね、分かります。
○丸山知事:私は昭和63年の入学なんです。当時の国立大学の授業料30万円。今は標準額の設定ですけど、大体53万円余りですよ。随分上がってますよ、随分遠いものになってる。というか、本当にこんなことを与党の国会議員さんが提言してるようだと、本当に生活の苦しい人たちのことが全く分かってないということを、もう自分で表明してるようなもんだからさ、本当に普通の生活をしてる人のことを考えて物を考えてるのかと、有権者の話、聞いてるのかと。地元を回ってるのか。
もう本当に街頭演説第一声で、政策のイの一番で上げてほしいですよ、こんな提言してる人たちは。こんなことを言うんだったら、ちゃんと言わなければ駄目だ。そういうことを、そういう政策を進めるべきだと言っている人は、ちゃんと全部名前を上げて世の中に示さないかんでしょう。
というか、ともかく生活感がなさ過ぎる。こんなことをやってたら、本当に政権転落するぞ。私は県内の自民党の皆さん知ってるけども、真面目な人たちばっかりですよ。そういう地方組織の人たちがどんなに頑張ったって、こんな政策を平然と党本部とか東京の偉い人たちがやっちゃったら勝ちようがない。どうやって選挙勝ち抜くんですか。どうやって自民党を信頼してる人たちの期待を実現していくんですかと。一生懸命、下部組織というか、地方組織が頑張ったって、こんなんじゃあ国民の理解を得られないし、期待を集められないと思いますよ。ともかくどんなに現場の人が一生懸命頑張っても、こんな無神経な政策を永田町で無神経に出していってたら、もう誰が支援するんですか、本当に。
あれだけ注目された島根1区の補選の結果をよくよく見られたほうがいいと思いますよ。自民党支持者ですら、自民党の東京の方々のありようを是とは全然思ってないってことが明らかになってるわけですから。
最近、世論調査の結果が出てますけど、政党支持率よりも、次の総選挙で比例どこに入れますかっていったときに、自民党は支持率よりも低いですよ。大変なマイナスのマグマが蓄積してるということを、当の当事者たる国会議員の、一部の方かもしれないけども、全くもって当事者意識がない。それで、選挙になったら地方組織に頑張れ頑張れ、もっとやれって言われたって、それはかないませんわね。まともなことをやってから頑張ってくれって言われないと、まともなことをやらずに、こんなことで支持広げろといったって、広げようがないと、私は自民党の島根県内で自民党の支持者、党員の皆さん、かわいそうだと思います、こんなんじゃ。一生懸命やってるんですよ。一生懸命やって、あの結果になってるということを分かってないんだと思うよ。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしだ。負けるには理由がある。野村克也さんね。負けたことから学ばないと勝てないと思いますけど、何かそういう反省が全くない提言だと思います。
私は、どの政党を支持するかと言われて、一つは選びませんけども、自民党には自民党のいいところがたくさんあって、それを国政で発揮してもらうということが必要と、そういう意味で、一つに選べと言われて、どこかとは選びませんけど、自民党のいい政策を国政できちんと展開してもらいたいというふうに期待している立場として、やっぱりそういうことを与党としてやってもらうということであれば、今の置かれてる状況を冷静に分析して、言っていいことと言って悪いことと峻別すれば、こんな内容、出てこないはずだと思います。本当に怒りを覚える。本当に国民に、子どもに国立大学というものを縁遠いものにしていこうというふうに思ってる人たちが政治をやられてるということに衝撃を覚える。
我々が県と市町村で一生懸命努力してやろうとしてることを、本当に台無しにしかねないことをやらないでくれと。子どもさんを産み育てようという人が一人でも増えるような環境をつくっていこう、1人と思ってる方を2人産み育ててみようと思ってもらえる環境を整えていこうというふうに努力してる人たちの努力を無にするようなことはやめてほしいということです。すみません、長くなりました。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
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