2月7日質問項目1
1.令和7年度当初予算案及び令和6年度2月補正予算案
○山陰中央新報:山陰中央新報です。よろしくお願いします。山陰中央新報の高見です。よろしくお願いします。
○丸山知事:お願いします。
○山陰中央新報:今回、先ほどちょっと説明いただきましたが、予算のところで、知事の肝煎りの事業みたいなものが伺えればと思います。あわせて、第1期の島根創生計画、振り返られて、これから2期に向かわれるというところ、その予算にもなると思うんですけれども、それをどうつなげていくかというところをもう少し詳しく伺えればと思います。
○丸山知事:1つ2つというわけにいかないので幾つか申し上げますと、産業の面でいきますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、人手不足が、これまでも人手不足でありましたけども、さらに深刻化しているという状況でありますので、頑張って採用活動をしたとしても、また賃上げを大企業並みに行うということが現実に難しいといったことも含めて、人手を確保していく、退職者の分を補充していくということ自体が容易でないということを踏まえますと、そういった人員の減というものを設備投資で補っていただく必要がございますので、農林水産業、商工業を含めて、事業者が実施されます省力化投資への支援ということを創設をしたところでございます。
そして、農業では、米の生産をしていく上で、実は作ることも大変なんですけれども、実際に米を出荷をする、集荷をするということは、これは農家がやるか米穀業者が取りに行かないと、それは荷は集まらないわけですけど、そういう米の集出荷体制の合理化を支援するということで、これまでは米袋、私もちょっと手提げ米袋の加工品を使ってますけど、大体30キロ袋に入れてリソースするというのが一般的でありましたけれども、その米袋によります小分け出荷が主となっておりますので、フレコンバッグという大型の容器に入れて集出荷をしてもらうというための設備投資の支援を、国の補助金も活用して実施をしていく考えであります。そういう集荷事業者、米作りの担い手の作られる側がフレコンで出荷をできる体制を整備をするということと、あとは、荷を集められた業者さん側、JAが設置されます出荷施設の集約といったこと、この支援をしていくことであります。
企業立地におきましては、安来市の切川地区で、出雲村田製作所から申出のありました規模の工業団地を県が造成をしていくということに、用地取得から始めていく状況でございます。
それから、観光面でいきますと、秋のNHKさんの連続テレビ小説「ばけばけ」が放映されます。小泉八雲先生の奥様、セツさんをモデルにしたテレビ小説が放送されますので、放映前からの機運醸成やロケ地としての認知向上など、県内全体への誘客、波及を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
それから、医療費助成を4月から市町村と協力して、中学生までは県費で2分の1、高校生については市町村単費で、単独で実施をしていただくということで、足並みをそろえて今年の4月から、高校生まで、若干の自己負担の分という違いはありますけども、助成または無償化をしていくということで足並みをそろえていきます。
そして、子どもさん方の学びの支援という意味でいきますと、希望する全小・中学校を対象に、学習のつまずきを把握するための調査を実施するほか、県立高校での学力の底上げや理数教育の強化に向けた取組を実施をいたします。そして不登校対策の支援や学習障がいのある児童生徒さんへの支援、またスクールソーシャルワーカーの配置充実などによりまして、不登校や発達障がいなど、教育上の配慮が必要な子どもさん方の学びへの支援というものを充実をしてまいります。
また、運転手不足を理由としたバスの廃止や減便が続いておりますので、その人材を確保するために、バス事業者の採用活動、また採用後の福利厚生、人材育成を支援していくという事業を実施をいたしますし……。そういった形で進めていく考えであります。
人口減少対策としては従来のものでありますし、残念ながら、この前も数字が出てますけど、全国平均で実質賃金が3年連続マイナス。はっきり申し上げますと、地域別の厳密なデータは出てないと思いますけども、賃金上昇率や大企業従業者数のシェアが低い地方においては、より賃金上昇率は低いわけでありますので、実質賃金の減幅というのは地域差もあって、地方に厳しい数字になっているということでありますから、そういった意味で、人口減の、社会減ですよね、地方にとっての東京などへの流出圧力というものが拡大しているという状況でありますので、そういった、私は地域間格差のように見えるものは大企業と中小企業の間の格差だというふうに申し上げておりますけども、その間の格差是正をきちんと政府に実施をしてもらうと。優越的地位の濫用の防止という観点で、規制、強制法規で対応することは可能だというふうに思いますので、強力な法改正、または強力な法改正ができないのであれば法人税を引き上げてもらって、大企業向けの法人税率を大幅に引き上げて、企業の中での所得再配分的な中小企業支援を充実するということを通じて、経済、取引で実現できない社会構成を実現してもらうというふうなことに取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、県内の経済で抱えている個別の課題については、切川の問題ですとか、米の問題ですとか、農業県として取り組んでいくこと、そういうことをやりながら、全国的な課題については政府できちんと対応してもらうということを、今まで以上に、できるだけ上品にやっていきたいというふうに思ってます。上品にすることが目的じゃなくて、目的の範囲内で上品に。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
あわせて、県財政のところを伺いたいんですけれども、県税が結構大幅に増加したというふうに見ておるんですけれども、これを知事としてはどのように受け止めておられるか、ちょっと伺えますでしょうか。
○丸山知事:普通に考えて、インフレが起きているときには税収は増えるんです、額面が増えるから。例えば、10%物価が、ちょっと10%も上がってませんけど、10%物価が上がれば消費税率と同じだから、10%税収伸びますよね。所得税にしても、手取りは別ですよ、手取りは別ですけど、3%とか1%とか2%、賃金上昇があれば支払い、名目賃金は増えるので、それは税収が増えていく。それが、まず一つ、そういう構造的な要素が一つあるのと、やはりコロナの問題が終わり、コロナに伴う減収要因がなくなり、物価高騰要因についても、これはできているところとできていないところがありますけど、価格転嫁を進められたところというのは収益ベース、かつては売上げは何とか戻ったけど、コストアップで利益は減るというところが多かったわけですけど、それを価格転嫁を進められたところ、価格転嫁を進めた商品については、その分、利益が増えるという局面に来ている企業も出てきてるということだというふうに思いますので、ただ、そういう大きな企業、価格決定力がある企業は少ないので、そういう回復の度合いというのは、残念ながら大都市、大企業が集積している東京みたいな数字にはとても及ばないということです。東京都は、何千億でしたっけね、税収増だと思いますけど。それに伴って交付税が減る部分もありますので、交付税が減るというところと、あと、税に連動して市町村に交付しなければいけない交付金が出てきますので、地方消費税が増えたからそのまま県が増えるかというと、半分は市町村に交付しなければいけないというふうな話もありますので、全部手元に残るわけじゃありませんから、そういった意味で、税収の増分がその分だけ財政収支の改善にストレートには数字は響かない。税は特に、基本、交付税と相殺される、交付税の計算上、75%、交付税との差引きでいうと、25%しか増えないんです。なので、税収増というのは、東京都みたいに不交付団体のところは引かれない、交付税と調整がされないので税収増がそのまま税収増になりますけど、地方交付税の交付を受けている多くの地方公共団体は、税が増えたところは交付税がマイナスになる、全額じゃないですけど、ので、それを差し引きすると、税収の大体25%だけ手元に残る、財政収支がよくなるという構造ですから、ストレートによくならないというのが、これは交付税の制度はこれ、致し方ないので、そういうことです。
○山陰中央新報:今後の財政運営において、いかに自主財源を確保していくかというところもやっぱりまだテーマとして残ってると思うんですが、そこら辺、どのようにお考えか、改めてお伺いはできますでしょうか。
○丸山知事:財源の確保自体は、依存財源と言われる交付税がまず、我々がやっている仕事の中で十分に交付税の計算に反映されてないところを反映してもらうといったことを通じて、交付税の獲得、交付税の額を増やしていくというふうな努力をしていくということや、今言われた県税というのは、当然県民所得が上がっていく、または県内企業の利益が増えていくということに伴って増えていくものですから、そういう、究極のところ、県内経済の活性化をということを進めなければいけないということでありますので、今の立地していただいている今の県内企業の事業がより発展するようにサポートしていくということや、県内の、出雲村田さんのような立地、また、別に大きなものだけ支援するわけじゃありませんから、5人、10人といったものも支援をしていきます。今度は市の、合併前の旧町村の中山間地域についても、企業立地の助成金の交付の要件を小規模なものまで認めるといった形で、要件緩和をしてますので、そういったものを通じて、県内企業の拡張・拡大や県外からの企業の誘致といったものに、両面から努めていきたいというふうに考えております。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
ちょっと別の話になりますが、同じ財政なんですけど、中国電力からの核燃料税の収入が約5億円増収されるというところと、職員人件費の負担で5億円、新たに得られるというところで、そこが収支不足のところとかに影響してるかというところを、知事、どのように見ておられるか伺えますか。
○丸山知事:たしか公表資料で収支不足のところで上がってるように、そういうものを取り入れた上で今回の予算になってるということです。別に、ある意味、今回の核燃税の増収分をここに充てましたとか、人件費相当を新たに財源として頂きましたので、その分、収支、歳入というか、収入が増えましたけども、全体としての県財政の様々な支出の増要因の中で、全体のやりくりの中で使わせていただいているということなので、どこそこに充てたという関係には対応しない。
今日お配りしてる資料の中の、資料の2の中の13ページですかね、13ページのところで中国電力からの人件費の負担金の活用というのは、この(2)のほうの真ん中ほどにプラス3億円として上げさせていただいてますので、こういう収支の悪化要因に対して、これを埋めていくということのために活用させていただいているというところであります。
結果的には、頂いた3億円は人件費に充てますけど、そこに当たっていた財源が余裕が出てくるので、それをどこに使ったかというのは、そこは、どこかに使途の特定があるわけじゃないということですね。押し出される財源が当然生まれてきますけど、それは全体の中で、全体の収支不足を埋めるために活用するという形で活用させていただいています。負担金は負担金で人件費に充てさせていただくということですね。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
○読売新聞:読売新聞の小松です。よろしくお願いします。
物価高騰対策のところでもう少しお伺いしたいんですけれども、県民生活の支援として、米価格の高騰に対応して小・中学校の給食における米の価格上昇分を支援されるということで、今日の午前中には政府のほうで備蓄米を放出するという報道も出てるんですけれども、今回、県のほうの給食のお米の上昇分を支援する背景というのを改めてお伺いできますでしょうか。
○丸山知事:米って主食ですよね。主食なんです。かつて、江戸時代はお金のように扱われてた。大名の、大名は米の生産高、石高を基に軍役を定められ、大名の家臣も、あなたのところは何千俵、何万石だから、大きな藩の家老は何万石ももらってましたんで、あなたのとこは何万石、何千石だから馬を何頭そろえて、軍役を課す基準になった、そういう、米というのは日本の経済なりの基軸だったわけですし、今でも食べるものとして主食なわけですよ。その主食が、いろんな食料品は上がってきました。輸入を通じて上がってくるというのが一番大きなルートですけど、そういった意味では国内生産が圧倒的な米というのは最後まで、ある意味上がらなかった食料品だったわけです。パスタが上がる、うどんも上がる、ラーメンも上がる。そういう中で、恐らく家計をやりくりする側からすると、ラストリゾートじゃないですけども、唯一上がってないお米、そういった上がったものから米のほうにシフトして何とか家計支出を抑えてきたということなので、お米の価格って大変大事で、それが、我々がやっていく中でいくと、子どもさんの学校給食というのは確実に上がりますよね、何も対策しなければ。なので、県として全ての家計の全ての米購入費に対して支援するのは難しいです。政府からいただいている経済対策の中で実施するのはできないので、せめてここだけはというところを考えまして、毎日学校で食べられる給食費の上昇分の米で、さらに最後、最後の最後にまた食料費の増として子育て世帯といいますか、子どもさんを持たれている方は家庭で負担増になるということを極力回避したいということで、主食に対して、食の高騰というのはやっぱり、治山治水も大事ですけど、やっぱり、政じゃないですけど、政治としては、やはり食が上がっていくという状況に対して何の手だても講じないということというのは適切ではなかろうということで、県としてできる範囲がどこだろうかと考えまして、給食費のところは何とかできないだろうかということで、市町村と調整して実施をすることにしたところであります。
私は、米の価格自体は今、労務費も含めて、生産に必要なコストにやっと見合った数字になってるという状況でありますので、私はこういった価格、今のような水準で何とか推移してほしいと。上がってほしいとも下がってほしいとも、そういう意味では中立なんですけども、この変わり目というのはやはり負担される家計、それから消費者にとってはやっぱり、一番ある意味、今まで上がってこなかったんで、唯一の逃げ道だったところが上がるという意味を含めて、大変きつい影響が生じるだろうということで、子どもさんが学校で日中食べられる分の上昇くらいは抑えるということだったら県としてもできるんじゃないかと、できそうだということでこういった支援をしました。
なので、備蓄の放出もやはり政府として米の価格というのを、備蓄米の放出の基準がやっぱりちょっと厳し過ぎるという批判を受け止められて、やはり一定の状況の下で、ある意味緩和ですよね、緩和されて放出あり得べしというふうに制度改正されるというのは、今の国民生活の状況からすると、また国民感情を踏まえると、非常に適切な判断だというふうに私は思います。
かつて食糧管理制度を設けたぐらい、国家管理をしていたぐらいの食糧ですから、やはりそういう、大事に扱わないと、売られる側は、作られる側は高ければ高いほうがいいというのが、これは偽らざる本音だと思いますけれども、高過ぎると、これは消費が減ったり、場合によっては、こんなに高いんだったら、もう自由化すべきだとかという形でさらなる混乱を招きかねない、農業生産という意味ではですね。農家にとって高過ぎるということ、消費者が高過ぎるということをそのまま放置しておくと、それはそれで農家にとってあまり好ましくないことが進みかねないという意味で、非常にバランスが必要な、主食なだけに生産者と消費者が両方で折り合える価格帯をイメージしながら農政を展開してもらうということがすごく大事だというふうに思っていまして、そういった意味で、国費、国民の税金を使って備蓄をしているわけですよね。そのお金が使われない、かけてるお金が使われないと、自分のために使われないと思われてしまうと、本当に国民の怒りを買って、そういう制度自体、要らないんじゃないかとか、自由化すれば事足りるんじゃないかとか、そういう乱暴な議論になりかねないということを危惧してまして、そういった意味では、今回の農林水産大臣がやはり消費者サイドにも目配りをされて、農水本省として今回の放出基準を緩和されたというのは大変賢明な御判断だと。珍しく、私がこんなことを言うことはあんまりないんですけど、政府としては非常にすばらしい判断だと私は思います。そんなことしなくていいんじゃないかというふうに言われる生産者側の方もおられるかもしれませんけど、それは短期的にはそうかもしれませんけど、長期的にはあまりいい結果を招かないということも踏まえられての御判断じゃないかと私は思います。
○時事通信:時事通信の勝又です。よろしくお願いします。
また予算の話なんですが、地方創生に関する国の交付金についてお聞きします。
石破首相が倍増方針を示して、国の予算案では2,000億円を計上しまして、島根県は来年度当初予算案で14億円を活用するとしています。この交付金が増えたことによって、事業の幅が広がったですとか、取組に対して早急に着手できたですとか、予算編成での恩恵といいますか、交付金倍増を受けての予算編成で工夫できた点などあれば教えてください。お願いします。
○丸山知事:正直申し上げて、倍増するというのは何か総理の方針で出てましたけど、中身が出てきたの、だって、年が明けてからだから、正直それは、今年のうちにそんな活用するのは時間が足りないですよね。積極的に活用してますけど、中身が分かったのが年が明けてからですから、もうそれまでにいろんな事業を考えてやってるわけで、そこから、このメニューができたから新たに考えるっていうのにはちょっと時間が足りないから、本格的には来年からじゃないかな。倍増予算というものの枠組みを今年示してもらって、大体新年度予算って、秋口ぐらいからつくり出すので、そういった意味では、また来年、さらに活用できるように工夫をしていきたいというふうに思っています。
上限額を引き上げてもらったりしてますんで、そういった意味で活用しやすくなってると思いますし、まだまだ活用しやすく、ここら辺を直してもらえないかということについては、また来年度、要望をしていって、とか、県として要望していくとか、知事会で要望していくとかっていうことを通じて、改善をしてもらえないかということについては来年度以降も働きかけをしていかなければいけないなというふうに思ってます。
記者会に対する担当課からの説明の資料の中の、資料の5の巻末に交付金を活用している事業一覧で上げております。
○時事通信:ありがとうございます。
○山陰中央新報:来年度の予算の政策の中で、日御碕の道路の、林道の整備のところがあったかと思うんですけれども、本来は出雲市がやるべきところを県が代行する形を取られてやられるというところで、ちょっとこの背景といいますか、理由を知事の口からちょっと伺えればと思います。
○丸山知事:日御碕地区の住民の皆さんの強い御要望を受けて、出雲市から迂回路整備についての支援をという要望を年末にいただいておりました。ああいう地形ですので、県営としての林道整備をするには基準に該当しないと。つまり県営の林道としては農林水産省事業で採択できない状況でありましたので、これは市営の林道として整備するしかないというのが国費支援を受ける客観的な条件だったわけです。ただ、林道を短期集中的に10億円を投じて、出雲市とはいえ、一般道路であればまた別でしょうけど、農道でもなく林道として10億円規模を短期で投入をして整備をしていくというふうなことや、やはり規模が大きい、10億の林道というのは整備経験もそれほど出雲市もお持ちじゃないわけですから、そういった状況、市道レベルとしての規模ですけど、その市道レベルの整備としての技術的な経験が不足しているということを踏まえて、県が代行するということが円滑な事業完成につながるだろうということで、県が代行して整備をすると。したがって、用地の交渉ですとか用地取得とか、そういった前提となる事柄については出雲市がきちんと協力をしていただくという前提の下で、また整備後は出雲市の林道として出雲市が管理をするという条件の下でそういった整備をすることで、国の支援を、国庫補助を受けながら迅速に整備をしていくという方策として適当だろうというふうに考えて、代行整備ということを行うことにしたところであります。
○山陰中央新報:分かりました。ありがとうございます。
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