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12月13日質問項目2

2.東京都高等学校授業料実質無償化
〇山陰中央新報(原):すみません、続いて東京の教育無償化について、ちょっとお尋ねします。

 政府の異次元の少子化対策を盛り込む、こども未来戦略の素案がまとまって、3人以上の世帯を対象に、大学授業料の無償化などが明記されると思います。児童手当も所得制限を撤廃して支給対象を中学生から18歳に広げるようになってます。第1子の扶養が外れると対象外となるなど、早速問題もちょっと指摘されてますけど、その点、知事の所見はいかがですか。

 

○丸山知事:何かいきなり、この12月になって急に新聞で報道されてきて、何か、どういう人たちがどういう議論をしてこんなことを決めたのか、さっぱり分からないので、新聞報道だけですからね。普通だと、よく理解できないということになるんじゃないでしょうか。私は、教育の中で何をやるべきかという観点なのか、子育て世帯の負担軽減という中で、何をどういうふうに取り組むかという全体の考え方の中でどういうふうに位置づけられて実施されていることなのかよく分からないので、負担軽減が進むという意味では前向きに捉えるべきなんでしょうけど、幾らぐらいお金がかかる話かも分からないし、何か評価のしようがない。ほかにもっと使うとこがあるんじゃないかというふうな比較の中で評価しなければいけないと思うので、唐突に出てきてる話なので、私はよく分からないと。誰か、大臣がこういう認識でやるんだとかっていうふうに言われているわけでもなく、報道で何かぽろぽろ、ぽろぽろ出てきて、間接話法で聞いてるだけなので、評価しようがないし、中身的にも第3子、扶養から外れた途端にという話だったり、いろんな課題も指摘されてますし、子育て世代の負担軽減をより広げてやろうと思うと、高等教育の無償化というのが本当に最優先なのか、そんなに優先順位が高いのか。それは東京都とか大阪府とか……。高校の無償化の話が、東京都の高校の無償化の話が出てきたから、唐突に何か新聞報道されてきたような感じがするので、どういう経緯で、どういう政策目的でやられているのか、どれぐらいのお金がかかる話なのかという話が分からないと、評価できないし、詳しい話が出てきたとしても、評価できる要素があんまりないんじゃないかという政策のような気がしますね。私だったら、そもそも高校無償化されたとしても、授業料が重いから大変なんじゃなくて、偏差値の高い高校とか進学実績の高い高校に行こうと思ったら中学校からエスカレーターでないと上がれなくて、中学受験からしなければいけなくて、中学受験して中学校入ったと思ったら、私立とか国立の中学校に入ったところで、また塾に行かなければいけないみたいな、授業料を無償化したら何か教育が無償化になるような、そういう何か根本的な誤解があるし、マスメディアもちゃんと報道されないし。子育て世代に聞いてみなさいよ、東京で、大阪で。授業料だけの話なのか。それ以前の話でしょ。

 どんなに灘高校とか開成高校の授業料が無償化されたところで、行きようがないですわね。そこに至るまでに膨大な塾通いさせないと入りようがないんだから。教育の道が広がってるってことにならないでしょう、実際問題。これだけ、前倒し教育がもう著しく進んでるわけですよ。小学校高学年で連立方程式に相当する問題が解けるようになってないと中学受験なんか受からないわけですから。

 そういう基本的な問題を解決しないと、教育にお金がかかるという根本問題は解決しないと思いますし、もう一つ言うと、東京都はお金があるからできるだろうけど、ほかはできませんから。大阪府が3年かけて段階的に高3、高2、高1と一歩ずつ階段を上って、やっと実施できることが、東京都は1年でもうできちゃうわけですよ。大都市への税源の偏在とか、財政力の格差とかという話がざくっとした一般論ですけど、やっぱり東京というのは突出してお金があるという、それだけのことだと私は思いますよ、はっきり言って。それはお金があれば誰だってできる。だって、上場企業が過去最高益出すんだから、東京の法人関係税は、それは過去最高に近い数字になったっておかしくないですわね、税率下がってるかもしれないけど。そんだけの税収が上がれば、それはできるでしょう。だから、お金があるってことの証明でしか私はないと思う。それは、お金をかけるという決断をされてると思うけど、お金があるからやる決断ができる。私もあったらやりますよ。

 私のところは、医療費の助成すら、市町村に頑張ってもらって、やっと中学生までですよ。高校までできて、今回、医療費の無償化と全然違うのは、ちょっと知識を披瀝しますと、今回は、東京都だけでやるんですよ。医療費の無償化って、市町村とお金を出し合ってやる、半々ですよ。医療費の無償化って市町村の事業だから。今回は東京都だけでやり切るわけです。東京の都と、島根県でいうと県と市町村という関係でいくと、都と特別区、市町村の関係でいくと、東京都だけでやっちゃうわけです。大阪も同じだけどね。すごいお金があるってことですよ。我々は医療費の拡充を県と市町村で束になってかかっても、というか、県が十分に、半分全部見れてませんけど、市町村のほうに多めに負担してもらって、やっと中学校まで。そういうところもやすやすとクリアした上で、東京都だけで、一定額以上は保護者負担が残るようですけど、1年でこういう財政負担を実現できる、財政支出を実現できる。ただ単に税源が偏在してるということを象徴してるだけの、その裏返しだと私は思います。

 だから、そういうことも報道してくんないと困るんですけどね。大阪府は、来年から高3、高2、高1と1年ずつ広げていって、3年で完成させるんですよ。だから、一遍にそんなことなんて大阪だってできない。でも、東京都はやすやすとできちゃう、東京都だけでね。それは、東京都にそれだけ財政的な余力があるという、そういう制度になってる、その裏返しだと思います。同じ財政需要であれば、どこの県知事だって同じことをやるでしょう。島根県の場合は、まだ医療費の拡充からかもしんないけど。分かりませんけども、お金があれば、お金持ちがやれることだなというふうな感じですね。お金があるんだなあというふうに。東京は、大阪府よりも格段に財政的な余力をお持ちだということの表れだというふうに思います。

 

○山陰中央新報:ありがとうございます。

 東京だけがやってしまうと、それこそ一極集中がより深刻化してしまうのではないかっていうような見方もできると思うんですけど、その辺、知事はどのようにお考えでしょうか。

 

○丸山知事:私は、そうだとも思いますけど、ともかく、そもそもが子育ての最大負担者は親御さんですよね。親御さんの収入が一番の原資ですから、それがやっぱり大企業と中小企業で、賃上げへの対応余力がこれだけ差があって、大企業のような賃上げを毎年毎年ついていけないというふうな状況にもなりかねない。だって、どんな賃上げ税制で赤字で繰り越したって、赤字の繰越しって、黒字が出ないと使えないんですよね、賃上げ税制って。赤字の繰越し認めてあげるからといって賃上げを誘引しようと思ったって、それは余力がある人はできるかもしれないけど、余力がもともとない人はやりようがない。だから、最大の格差要因は、大企業と中小企業の賃上げ格差。中小企業に賃上げをできる余地が与えられてないということが一番の大きな、東京というか、大都市部との格差拡大の懸念が1番。そして、税収が偏在してる。特に東京に偏在してる。これが確かに言われるとおり、2番目の格差の原因。

 残念ながら、私は東京で子育てして、東京に住んでましたよ。23区内で公務員住宅に住んでましたけど、どんなに授業料を無償化してもらっても、家が狭いから子どもに一部屋与えようと思ったら、与えられないですよ。一部屋増えるようなとこに引っ越しなんかできないし、一部屋増えるところに住み替えもできないし、ぶっちゃけ、だって東京の今の新築の23区のマンションの平均価格って、1億円超えてるんですよ、新築の。だから、普通の人が住めるところじゃなくなってるんですね。だから、何かを無償化したら子どもが増えるかっていう東京の環境なのか。

 だから、私からすると偏在だけど、偏在したお金が子育て支援に使われる、それはいいでしょう。いいことだと思います。それが本当に人口増につながるかというと、そこはまた、単純に高校を無償化にしたからといって、教育費が高いからといっても、教育費の射程が狭いですよね、今言ったように。塾が高いんですよ。有名国立・私立の中高一貫校に入るためにもお金がかかる。その中学、高校に入って、その授業だけ受けてればいいかというと、その授業だけでは心もとないので、何とか会とかっていう、何とか大学を目指すための特別な塾に入って、そこで毎月何万円も払って、そうやっていくわけだから。だから、ダブルですよ、授業料って。

 長々しゃべってるんですけど、そんな感じなので、それは格差要因だと思いますけど、それは政府が放置してるわけだから、私は偏在是正してほしいと言ったけど、しなかったらこんなことになるんでしょ。言ったとおりになったじゃないですか。税源が偏在してる。大都市は集中してる、東京に、上場企業が最高益になったら、それは物すごい税収が上がるというのは、それは、言葉は悪いですけど、誰でも分かったこと。それを放置してるからこんなことになってるんでしょ。みんなが放置したんですよ。で、予想どおりじゃないですか。

 だって、過去最高益なんだから。過去最高益だし、今は円高でちょっと下がってるけど、バブル後最高値更新したんだ。法人関係税は、それは好調でしょう、同じ税率で課税ベースが広がるんだから。もう予想どおり。何もしなけりゃこうなるということだと思います。

 

○山陰中央新報:ありがとうございます。

 


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