6月10日質問項目2
2.骨太の方針
○山陰中央新報(白築):ちょっと話題が替わりますが、先日閣議決定された骨太方針についてなんですけども、地域公共交通のネットワークの再構築の部分で、国中心の議論の場が設けられることなど、かなり知事の求めたことが盛り込まれた形となりますが、その部分について所感をお伺いできればと思います。
○丸山知事:これは、島根県だけではなくて、同じ状況の道府県、有志の形で知事が要請してきた、または知事会からも(要請してきたことが)、知事会の活動などを通じてこういった形で一定の意見反映がなされたということについては、一つの大きな前進だというふうに思っておりますけれども、実際の問題として、島根県知事としては、こういった新しい仕組みに基づいてJR西日本がどういうふうな行動を取られるか、それに対して政府が関与されてどういう議論が進むかというところが具体の県民に影響する話ですので、そういう意味での第一歩だというふうに思っております。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
骨太の方針の関連でもう1点、知事が来週、島根原発2号機の関連で中電への事前了解を行ったり、国への回答や要請を行う予定になっていると思うんですけども、その骨太方針の中でも原発については、福島事故後初めて最大限活用するというふうな記述も入ってきたわけで、その点については、知事としてどう受け止めてらっしゃいますか。
○丸山知事:政府の方針が理解できるものなのかどうかというのは、私が先日判断した中の一つの判断要素ではありますけども、判断要素の一つにすぎませんから、恐らくほかの安全協定に基づいて了解するかどうかということが求められる地域にとっては、こう書かれたから原発の再稼働が進むとかっていう、そんな生易しい話じゃないということを、政府がよく理解されたほうがいいと思います。
島根原発について今回2号機の事前了解が得られたので、再稼働が進んでいくだろうというのは、若干認識としては甘いんじゃないかと。いろんな課題があって、改善を求めていかなきゃいけないことがたくさんあるということのほうをきちんと受け止めてもらったほうがいいと思いますね。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
骨太の方針の関連でもう1点、追加でお伺いしたいんですけども、その中、知事が着目されたポイント、何かあれば教えていただければと思います。
○丸山知事:マスコミの報道のとおり、総理御自身の思いよりは若干後退したと言われている分配の側面ですね、そこがやっぱり、諸事情によるんでしょうけども、総理はお認めにならないかもしれないけれども、まだ道半ばというところは否めないんじゃないかというふうに思います。
結局のところ、成長一辺倒なのか、分配をしていくということが、成長と分配の好循環が成長、いい成長、いい分配という形で循環していくということは、私は総理の総裁選等で訴えになられたお話は正しい方向だと思っています。例えば、いかに日本郵船が1兆円の利益を上げても、トヨタが2兆円の利益を上げても、我々の生活に関係するとは、全く何か実感が湧かない。取引先はずっとこの方、値下げ要請なり厳しい要求に耐えておられて、トヨタが2兆円、過去最高益を出したからといって、関連の取引先が同じような決算になっているわけでもないでしょうから、そうすると、トヨタがもうけているだけ、日本郵船がもうけているだけ、だから何なのというのが、まさに今問題になっているわけですね。成長は大事だけど、成長が一部の人たちで独り占めされている中で、日本全体が豊かになるのかと、分厚い中間層がいるんじゃないかという、私はその主張は正しい、主張というか、そういう意味での新しい資本主義って考え方は正しいというふうに思います。日銀総裁の強制貯蓄だとかっていう概念で、マクロでの、日本全体での家計の貯蓄は増えているといったところで、それが一部の人に限られている、貯蓄ができる一部の家計に限られているうちは、そこが増えたからといったって、そこの家計が貯蓄ができない人の家計の分まで消費してくれるわけじゃないから、そこにお金が移らなきゃ物価上昇なんか耐えれない。だから、総体としての利益が上がってる、株価が堅調だとか、最高益を上げてるとか、貯蓄が増えてるとか言ったところで、それが国民全体に及ばなければ消費にもつながらないし、内部留保が増えるだけで、家計はコストプッシュ型のインフレの直撃を受けて、出ていくお金は増えるけども賃金が上がるかどうか、給与が上がるかどうか分からないという中で消費なんか拡大するわけないですね。だから、より一層今のウクライナ侵攻を契機とした、いろんな輸入しなきゃいけないもの、エネルギーとか原材料とか肥料とか、そういうものの高騰を受けて今、緊急対策を打たなきゃいけなくなってる、そういう状況の中では、さらにそういう成長だけでいいのかということがより一層課題として鮮明になっていると私は思っています。
ただ、これまでの路線にこだわる方がおられたりするから、なかなか強く打ち出すというところまでは至っておられないんでしょうけど、いろんなコロナの対応があったり、ウクライナの外交上の対応があったり、そして緊急対策の取りまとめだったり、政権発足以来、いろんな課題に向かわれてきたので、御自身のカラーをまだまだ十分に出すに至っておられないのは仕方がないと思いますけども、そういう意味で今、岸田総理が訴えておられた成長と分配の好循環と、これは東京一極集中是正とか三大都市圏への人口集中とか、そういうことも視野に入れていただいて、要するに一部のところに好循環が集中しても全体はよくならないという、そういう視点で経済・財政運営をやっていただくという、そういう期待をしておりますけども、1枚物のワンペーパーを見ても、内外情勢への対応といったところが相当なスペースを占めていると。やっぱり国際情勢の緊迫化、それからそれに伴う国際貿易の状況変化、それに伴うコストプッシュ型のインフレに直撃を受けているといった状況にどう対応していくかということ、ちょっとそういう昨年にない話が追加されているので、そこ、今起きている状況にいかに対処するかということに注力、力を割かれたと、割かれざるを得なかったというとこで、それは不十分だと言うつもりではなくて、それは致し方ない状況だというふうに思っていますけども、大きな方向性として成長と分配といったところを進めていただくように、私は強く期待しているところであります。
○山陰中央新報:ありがとうございます。
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