2月28日質問項目4
4.出生数・子育て支援
○読売新聞(林):昨年の全国の年間出生数、これが近く速報値が公表されると思うんですけれども、初めて80万人を割り込む公算が大きくなっているというふうに報道されているところですけれども、過去初めてということで、コロナ禍もあって婚姻数が減少しているところの何か影響もあると思われるところですが、そこについて何か、全国のそういった数字について、まず知事としてどう受け止められるかなというところでお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○丸山知事:やっぱり将来不安が大きいということじゃないんですか。今の足元の経済環境がよくないということですけど、実は80万人割れというのは一つのエポックメーキングなことだと思いますけど、80万人ちょっと超えてるから日本は安泰だという数字でもないわけだから。もともと80万人のレベルで大丈夫だって思える環境でもないので。人口がどんどん縮小していくという中で、日本の企業が本当に生き残っていけるのか、我々もこれだけのインフラを整備してきた中で、その維持管理なりを適正に行っていけるのかということについて、当然人口が縮んでいく世界というのは課題が多いわけだから、80万人割れ以前で危機感を持たなきゃいけない状況だったと思いますし、危機感があるので我々は人口減少対策を県政の主眼に置いて取り組んでいるわけですから、政府が80万人割れで本腰を入れてもらえるんだったら、それはそれでありがたいですけど、80万人割れ以前の問題だと思いますね。
○読売新聞:ごめんなさい、付随した質問ですけれども、こういった数字に対して、知事として、政府はどういった対策を打つべきだとか、そういった御意見って何かありますか。
○丸山知事:多分地域事情で大分違うでしょうね。うちはもう、島根県の場合は保育所の待機児童ってほぼなくなりましたから、保育所の待機児童対策というのは、島根県においてはこれ以上対策が要るわけじゃないような気がします。ただ、東京とか大阪とか、三大都市圏だと、それが深刻な課題なんでしょうから、そういう対策が必要でしょう。私としては、全般的に言うと、子育て支援というのは、大きなお金もかかりますけど、でも、子育てを支えているのは、基本的には親御さんの所得、収入ですよね、大部分は。だから、そこが不安定、または所得水準の二極化、全体としては平均所得が下がってきてる、若い人たちの。それは非正規労働の拡大だったりなんでしょうけどね。そういうところから直していかないと、行政の支援を得られるというだけで結婚しよう、子育てしようというふうに思えないと思うので、やっぱり若い人たち、子育て世代の所得を引き上げていくというところが一番大事なポイントだというふうに思いますけど、即効性があるのはどうしても現金給付、児童手当等々の給付拡大というところが即効性はあると思いますけど、なかなかそれだけでは厳しいんじゃないか。あり余るほどの給付ができるわけではないはずなので、ベースはやっぱり親御さんの収入で子育てをしていくということになると、そういう所得水準を上げていく、または子どもを育てるということを実際に家庭の中でしていくことの障害になっている働き方の改革とか、そういったことをしていく、そういうトータルパッケージが要るんだと思います。
○読売新聞:分かりました。
先ほど、地域事情によっても異なるだろうという話があって、保育所の問題の例もありましたけれども、例えば島根について特に必要なことで、あるいは国にやってもらいたいことであったり、あるいは県が取り組まなければならないことであったり。
○丸山知事:だから、今言ったことです。
○読売新聞:言ったことですか。
○丸山知事:なので、一番は雇用が、地域的な偏りがないように分散をしてもらうということが一番有効だと思いますけどね。だって、東京で児童手当なんか、1人当たり月1万とか2万とか増えたところで、買えたり借りたりする住宅がぐっと広がるわけでもないし、今のような住宅環境だと、子どもさんに個室を持たせるということを前提とすれば、そんな2人も3人も子どもさんを持てる所得水準なんて、すごい限られているか、またはもう絶滅危惧種かもしれませんけど、大きな企業で立派な社宅を安く提供できるような、今やもうなくなりつつあるような会社でないとできないでしょうからね。
だから、子育ての阻害要因になっているところを実際の子育て世帯の生活に合わせて除去していかないといけないので、私は前から言ってますけど、東京で出生率を0.1ポイント上げるコストってすごい高いと思いますよ、三大都市圏で上げていくのは。出生数を10%上げていくということの費用対効果はすごい高いので、住宅環境が典型ですけどね。なおかつ、保育にしたって、電車の本数が多くて便利だとかってみんな言いますけど、あんな朝のラッシュ時に子どもを連れて隣の駅とか、隣の隣の駅の保育園なんか、乗せたらけがしますわね、満員ラッシュ。だから、どんなに電車が便利でも、朝の時間帯で公共交通機関というか、電車なんか乗れないんだから、地下鉄もJRも私鉄もね。だから住んでるとこの近くで自転車こいで保育園に預けるしかないわけですよ。だから、マッチングできる保育園が1つか2つしかない。でも、島根県の場合だと、車で仕事に行き、保育園の送り迎えしていくという前提でいけば、大分選択肢も広がる。東京はそういう子育てに不向きな環境が勢ぞろいなわけなので、そもそもが東京に若者をこれだけ集めてるっていうこと自体の弊害が、もう究極に、すみません、大阪も、名古屋も私は同じだと思うけど、大都市部というのは、満員電車に人を押してでも乗れって、ターミナル駅での乗換えをすたすた歩いて、歩けてという健常、健脚な人間を前提とした生活だから、そういう人たちにとっての便利さなので、小さな子どもを連れて歩くとか、そういうとこには向かないんですよ。だから、東京、大阪、大都市というのは、子どもを育てるという意味では、すごくアドバンテージがない。島根は実はアドバンテージの固まりだということをよく政策論として頭に入れてやっていただくということを希望しますけどね。なかなか大変ですよ。
東京で出生数を10%上げるのと、島根で10%上げるのは、多分コストパフォーマンスは田舎のほうが全然高いと思いますよ。東京で出生数を増やすのは、ともかく容易じゃないと思います。そういう、だから生産活動とか、要するに仕事をするとかっていう上では便利なとこなんでしょうけど、そのトレードオフで、生活をするとか、子どもという弱者が生活するには厳しい場所じゃないかと。これは高齢者も同じですけどね。東京には高齢者がいないんじゃなくて、東京だとすたすた歩けないお年寄りは、もうJR山手線とか地下鉄メトロとかに乗れないんですよ。みんなすたすた歩いていって、邪魔者扱いみたいにされるからね。だって、ベビーカーを車両に載せると文句言われるんでしょう。これ以上は名誉毀損になるかもしんないからやめとくけど。
現実問題として、私も住んでいたので、客観的にはすごい厳しい、出生率を上げていくということの優先順位を上げていけば、企業としての生産性が若干下がるかもしんないけども、やっぱり事業所を分散していく、本社機能とか、そもそも、別にマイクロソフトとか、分かんないけど、グーグルとか、ニューヨークに本社があるわけでもないんでしょう、たしか、実際。トヨタだって豊田に本社があるし、マツダだって広島に本社があるし。キーエンスとかっていう、すごい企業あるけど、あそこも大阪だしね。東京でなくてもいいし、ファナックとかっていう世界最高水準の工作機器メーカーは山梨県の村にありますよ。できないことはないので、そういう、東京に事業所を構えるっていうことが出生数を増やしていくっていうことの阻害要因になっているということを経済界、産業界も含めて理解してもらって、それを是正していくような対策を講じてもらうというのが望む政策ですね。
○読売新聞:分かりました。ありがとうございます。
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