1月28日質問項目1
○山陰中央新報:3つのことを要望というか、言及されたと思うんですけれども、改めて、これについて言及された理由なども含めて、よろしくお願いします。
○丸山知事:やはり家庭が感染源だという認識で感染対策を講じるというのは、基本的に間違っている。感染経路不明だという整理で対応しないと判断を誤るんではないかという注意喚起を1点目はさせていただいたということであります。
2点目が、オミクロン株対応の対処方針という各県知事からのリクエストは、総論としては正しいというふうに思いますけれども、濃厚接触者の待機期間、自宅待機の期間の設定とかというのは、発症の日数がどれぐらい、濃厚接触者が何日目ぐらいに発症しているかというデータを集めて、事実に基づいて判断されるべきことだと思いますので、それは政府において多くのデータを集めてもらって判断する、そういうことだというふうには思いますので、そういう政府がやるべきところもあるでしょう。ただ、どう対応するかという知恵なり工夫が霞が関とか永田町に存在するというふうに、ない物ねだりをするのはやめたほうがいいんじゃないかということでして、どうやったら今起きている状況に対処できるかという工夫は、現場で現状を見ている側が工夫をして取り組む、それが基本的対処方針に盛り込まれていなくても、できることだったらやればいいし、盛り込んでもらったら、それはそれでありがたいけども、それを待つ必要もなくて、できることもあるでしょうという形で、県内のエリアと学年を絞った形での休校実施の例を挙げさせていただいたというところであります。
それから、ワクチン接種については、前倒しを強く政府は進めておられますけども、前倒しの支障になっているのは、打ち手の確保とか受け側の問題に加えて、やはり2回目までの接種のメインであったファイザー社製のワクチンを好まれるという状況が、これは今もそうですし、多分今後も障壁になってくるのは間違いない。それは、待っていれば来ますよというふうな、供給計画からすると誤った認識を持たれている、待てば打てるだろうと。でも、待っても待っても半分しかファイザーは来ないと。待って待っていくと、どんどん倍率は上がっていくわけですよ、繰り越されていって。宝くじみたいになってくる。いつまでも打てないという人がどんどん出てくる。そうすると接種率は上がらない。そんな状況を放置していいわけがない。とすると、やはり、もう待っても無理です、もうほぼ無理ですよというふうなことまで含めて、交差接種が問題ないということは当然ですけども、政府側の不都合な真実も含めてちゃんと知らせて、国民に最適の行動を取ってもらうという広報が足りないんじゃないかと。
これは、これだけ感染が拡大していろんなテーマが起きていると、ニュースの取り上げ方はあっちもこっちもあるから、閣僚が発言すれば取り上げてくれるという、もうそういうタイミングは逸したんですね。この話を私はもう、交差接種が避けられないけども接種してほしいと年末からちゃんと言うべきだというふうに申し上げていましたけど、そういう閣僚の発言のベースではもう対応できない水準に来ている。政府広報まで含めて、きちんとやられるべきじゃないかというふうに思って、政府としてできることがあるんじゃないかということを申し上げた次第であります。
○山陰中央新報:先ほどの交差接種の話は、昨年からいろいろと警鐘を鳴らしてこられたと思うんですけども、やはりまだ政府の対応というのは、十分情報発信が全然足りてないという認識なんでしょうか。
○丸山知事:これは、私は政府だけを責めてはいけないと思います。なぜならば、これは各県都道府県知事も含めて、これだけの感染拡大、これだけのボリュームの感染力の強い変異株が急速に拡大するということは、我々も想定していなかったし、政府も想定していなかった。これだけ早くこの問題が顕在化するということを、年末で認識できなかったであろうということは、それは想像に難くないし、そういう意味で、私も言い方が弱かったという反省はあります。この状況は、やっぱり誰も分からなかったわけなので、それを誰の責任だということではなくて、これから何ができるか、今できることは何かと考えて対策を講じていくというのが行政側に求められている姿勢だというふうに思います。
先ほどのオミクロン株に対応した基本的対処方針の見直しということも、政府がやるべきことと、我々が具体的なアイデアを提示すること、2種類あるだろうというふうに思いますし、緊急事態宣言をただ待つということよりも、緊急事態宣言と、正直、まん延防止等重点措置は、エリアの違い、一律性の違いがありはしますけども、大きく違わないので、やはり措置内容を追加していかないと、より厳しい状況に対応できないというのは想像に難くないので、島根県はあのタイミングでやりましたので結果的にエリア限定になりましたけど、今からやっていくと、ほとんどの地域で実施するということになるかもしれない。でも、やったほうがいいんだったらやらないと。
もう一つ、国民の理解を軌道修正しなきゃいけないのは、いかに重症化リスクが低くても、仮に10分の1になっても、感染者数が10倍になったら結果は変わらないわけです。まあ10倍になるかならないかは、まだ10倍までいってないかもしれませんけど、そういう軽症だということをもって5類にすればいいとか、風邪じゃないかというふうな一面的な、感染力が強いということを抜きにして軽症だということだけにとらわれた誤解が国民に広がっているというのが非常に社会全体としてのリスクになっている。
やっぱり感染者が出れば、先ほど大村知事も言われたとおり、それは濃厚接触者の待機期間、自宅待機の期間を短くできる余地はあるかもしれないけれども、普通に社会生活していると考えたら、感染者1人に対して濃厚接触者、数人はいるでしょう。それが倍々で増えていったら、いずれ社会は止まるわけだから、やっぱり感染の根元自体をある程度止めれるところを止める、企業の経済活動を直接止めることができなければ、ある意味、期間の上限は当然私もあると思ってやっていますけど、感染の、家庭から家庭への媒介になってしまっているような小・中・高校の、まず一人でうちにいれるかどうかという年齢を考えて、そして今が受験の時期だということを考えて、そういう一定の絞りをしながら、ある程度広範にやっていかなきゃいけない地域というのがもう全国に広がっているんじゃないかというふうに思いますし、それは、基本的対処方針が変わらないとできませんという話じゃなくて、設置者である都道府県とか市町村の教育委員会が理解してくれれば公立はできるわけだから、事業者の理解を得るんじゃなくて、隗より始めよという形でできることがあるわけなので、そういうことを導入していかないと、感染を天気予報のように眺めていては、豪雨、降雨量がどんどん増えていくのをただ単に見詰めるだけという状況で、どこかでピークが来るのを待つというふうな対応で乗り切れるのかどうかと。軽症だから乗り切れるというのは、それは誤り。その重症化リスクが下がった分、ボリュームが増えれば同じことが起きる。ですよね。なので、ほかのアイデアもあるかもしれませんけど、そういうことを我々の前線にいる側で考えて試行錯誤していかないと、政府の基本的対処方針で採用されるようなアイデアとか手法というのは出てこないんじゃないかというふうな認識であります。
それからちょっと、言おうと思っても時間制限があったんで言えなかったですけど、大阪の吉村知事が、濃厚接触者の発症の日数というのが、大体8割方、5日以内だというふうな話をされて、それは恐らく濃厚接触者の自宅待機の期間を7日で見直しが進んでいますけど、5日ぐらいにできるんじゃないかというふうな趣旨のお話をされていましたけれども、それは医学上のリスク管理でいうと、大阪府のデータでいっても2割はその期間を超えて発症している例があるわけだから、それは5日に一律で短縮するというのは間違いで、例えば7日なら7日が正しくて、社会経済活動との両立の観点から、感染拡大を一定程度、もう許容した上で社会経済活動を両立させるために、やむを得ず取る措置として都道府県知事がそれぞれの感染状況に応じて選べるような仕組みでないと、そんなものを一律でやられたらたまらないと思いますから、医学的に担保できる期間と医学的な担保を超えてやらなきゃいけない判断というのは個別の状況に応じて対応しないとおかしいというふうに思います。
すみません、ちょっと長くなりました。
○山陰中央新報:部分休校については、全国知事会の平井知事のほうからも評価の声もあったと思うんですけども、知事、実質今日までになると思うんですが、振り返ってみられて。
○丸山知事:月曜日まで。
○山陰中央新報:あ、月曜。だけど、今日、金曜ですよね。
○丸山知事:月曜、もう一回出校日あるでしょう。
○山陰中央新報:31日、あ、そうか。まあもうほぼほぼ終わりですけど、振り返ってみられて効果があったというふうに認識をされていますでしょうか。
○丸山知事:これは、御家庭の負担、それから学校の先生から直接指導を受けられないという意味での生徒さんの負担、友達に会えないという生徒さんの負担を伴うものであったので、褒められるものじゃないと思いますけども、結果を、数字を見れば、保健所の逼迫状況とか、その保健所単位での感染者数の状況を見れば、休校の実施に伴って感染者数がその保健所のエリアというのは減ってきているというのは、数字では出ているというふうに思います。ただ、それが保護者、家庭、それから子どもさん方の負担に見合うものだったかどうかという評価は、これは人それぞれだというふうに思いますけれども、感染拡大の頭を抑えるという意味での効果は、数字的には、まだらというのではなくて、県央、それから浜田、出雲という地域の数字は一時期のピークを越えた感がありますので、そういった意味での効果はあったんじゃないかというふうに思っております。ただ、これが全国的に実施できるのか。島根県の場合は同居だったり近居だったり3世代の話であったりするので、そう簡単じゃないという話があるかもしれませんけども、それは学年の選び方、何歳から一人でうちにいれると見るかどうか。子どもさんからすると、一人でいるというのはいい環境じゃないけども、ただ、感染者が発生するたびにぽつぽつ学級閉鎖が起きたり学年閉鎖が起きたり休校があったり、それが散発的なというか、休校が終わってみたらまた起きてみたいなことを繰り返すということとの比較ですから、休校しなくて済むという話じゃないので、比較の対象は。そういう先が見えない、受け身の休校を連続させるといったこととの比較でいえば、十分選択肢に入るんじゃないかというふうに思いますけども、別に、島根県の立ち位置というのは、人口が2番目に少なくて人口密度が低いですので、国全体のスタンダードの政策に採用されるというのは極めてまれですから、別にそんな方式をやるべきだというふうには言いませんけど、私だったら、ほかの県の状況であっても取り得る選択肢の一つだろうなとは思いますけどね。
ともかく、もう一つ言うと、緊急事態宣言の基準が病床利用率50%になっていますけど、これも何かちょっと誤解があるかなと思うのは、50%あれば、正直今まで東京とか大阪とか、三大都市圏が100%稼働したことってないわけですよ。70%とかが実際はマックスだったと思うので、そういう意味では半分残っているんじゃなくて、あと20%とか25%しか残っていないという数字として見ないと、100%が現実の選択肢としてあるかどうかということは、過去の経験則を踏まえて100%だと思わないほうがいいでしょうから、それほど様子を見ている余裕があるのかないのか。
これだけ感染者数が多くなって、感染者が多くなるというのは、そこの治療だけ見ればあれですけど、いろんなところの社会機能が落ちる。病院の受ける能力が低下する、看護師さんとかお医者さんが避けられない感染に遭ったり、それから避けられない自宅での待機を濃厚接触者としてしなきゃいけない、それを避けるための検査キットが十分に供給されていないという状況が広がるわけだから、今までの状況が比例的に進むのではなくて、数字が高くなればなるほど、数字が増えた分、増えることによって状況が悪化する度合いが多分、数字が高くなればなるほど悪化の度合いが著しく出てくるという局面に普通はなっていくので、例えば病床利用率が上がれば転院ができない。軽症です、軽症だったら受けれますで、中等症になったら転院させたい、でも転院させられない。転院させられないような患者さんをこれ以上受けられない、だから軽症者も受けられないとかという負の連鎖が徐々に起きてきたのがこれまでの例だから、緊急事態宣言というのはそういうことも頭に入れてなきゃいけないし、ただ、緊急事態宣言すればいいでしょという政府におんぶに抱っこじゃあ、多分問題は片づかない。政府がやることもある、都道府県が、または都道府県知事が矢面に立って批判を受けながら、こんなことやんなきゃいけないのかと言われながらやんなきゃいけないこともやっていかないと、なかなかこういう難局は乗り切れないんじゃないかというふうに、今の立ち位置はもう、全国の感染状況に比べればまだ中ぐらい、それほど厳しい状況じゃないので、余裕があるとこが言えるたわ言だねというふうに言われるかもしれませんけど、でも、一般論として言えば、政府にいろんな出し惜しみしている対策が残っていて、それが出てこないという状況ではなくて、多分玉が相当、対策の玉が尽きている中でやり方を変えるべきだと強く言ったとしても、なかなか政府側から出てくるものというのは限界があるということを我々は頭に入れて仕事をしていかないといけないんじゃないかというのが私の基本的な認識です。
○山陰中央新報:ありがとうございました。
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