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9月4日質問事項1

1.新型コロナウイルス感染症

○山陰中央新報:山陰中央新報の原田と申します。よろしくお願いします。

 新型コロナウイルス対策のことでお伺いします。

 政府が8月28日に新型コロナとインフルの同時流行に備えた対策パッケージを公表されました。医療現場の負担を減らすために、無症状や軽症者の入院勧告を見直したり、あと簡易キットを使った検査体制の拡充というのが柱だったと思うんですけども、まず初めに、この対策パッケージ全体への評価というのを教えてください。

○丸山知事:全体として評価をするというよりは、個別の項目を評価するしかないというふうに思っております。検査能力を抜本的に拡充する、1日20万件の検査体制を目指すといった方向性については、正しい方向だというふうに思っております。そして、医療機関や高齢者施設の全職員に定期的な検査を、地域の状況ですとか期間に応じて実施をする、全国全てのということではないという意味合いだと思いますけども、そういったことを目指されるということも、どういったところで行うかという具体の設定が明らかでありませんけども、適切なそういう時期ですとか対象範囲が特定されれば、有効な内容だというふうに思っております。

 3つ目に挙げられます軽症者、無症状者について、宿泊施設や自宅での療養を基本とする、そして医療資源を重症者に重点化していくということについては、若干の異論があるというところであります。特に自宅療養というものを制度的に位置づけていくと、やむを得ない場合には自宅療養にならざるを得ないというケースが東京、大阪等で発生している、感染多発地帯で発生しているという事実は承知しておりますが、そういうふうな対応の必要がない、島根県の場合はまだそんな状況になっておりませんので、そういった地域についてまで、東京とか大阪をはじめとする大都市の状況を前提としたような全国的な制度化をなされるということについては理解に苦しむところであります。そういうふうなことを制度化せざるを得ないという地域や感染状況というのはあり得るというふうに思います。例外的にそういったことも可とするといった扱いというのは、我々の島根とか、恐らく鳥取とかいう地域からすると適切だというふうに思っております。東京にお住まいの方々がどうしても制度設計されますから、そういうふうに目が行きがちなんでしょうけども、制度の改正の仕方としては行き過ぎの面があるんじゃないかというふうに思っておりまして、島根の場合ですと、そこまでの必要はなくて、必要のないところでこういった取扱いをするということは問題があると思っています。

 制度的に自宅療養だということになりますと、感染者の方が自宅で療養しておられるという状況を他の県民がどういうふうに受け止められるかということへの想像力が若干欠けているのではないかと。やはり保健所ですとか役所サイド、行政機関が運営している施設なり管理している施設なりで過ごされているということが、感染者が出たとしても日常の生活で感染の可能性がないということを担保しているというふうに思っておりまして、実際、島根県の23例目までのクラスターの中で、濃厚接触者の方の自宅待機が十分ではなくて、外出されておられて、そこで我々が最初探知したときは濃厚接触者だったですけども、発症されておられて、結果的には、そこから感染が外出先で広がったという事例が実際ございます。

 保健所は当然、朝晩とか毎日在宅確認をするということをそれ以降徹底いたしましたけども、実際、携帯電話で確認をするということが本当に自室におられるかどうか、自宅におられるかどうかという確認には、実は必ずしもつながらない。性善説で考えれば、それは自宅におられるということになりますが、そこを完全に信用し切っていいのかどうかという話もありまして、つまりこういう取扱いをすることが、感染される方がちゃんと自宅におられるのだろうかと、もしかしたら外に出られているのではないかという不安を生じさせるということが本当に感染防止拡大だけではなくて、社会・経済活動といったことと両立するのかと、整合的なのかと。

 つまり、そういった不安を持たれること自体が、外に出かけるということに対する不安感を多くの県民が持たれて、外出の抑制とか経済活動の抑制とか社会活動の抑制といったことになってしまうと、政府として取られている方針と合わなくなるんじゃないかというふうに思っておりまして、これはそういうケースが、そういう地域が、そういう状況があり得るということはそうだと思いますけども、日本全国をそういうふうにしていくということについては時期尚早だというふうに思っておりまして、ぜひとも見直していただきたいというふうに思っております。

 ということで、個別項目ごとに評価は分かれるのではないかというのが全体の感想であります。

○山陰中央新報:ありがとうございました。

 先ほどの入院勧告の件なんですけれども、先ほど言われたことを受けますと、やはり今までどおりの運用がよいというふうに思われているのかということと、それから、隣県の鳥取県の平井知事も慎重な姿勢を示しておられましたけれども、今後、例えば全国知事会等々、どのようにしてこの地方の声というのを上げていかれるようなお考えでしょうか。

○丸山知事:1点目の御質問の現行どおりを望むのかということについては、そうとも限らないといいますか、医療機関の負担を減らすという意味でいきますと、今回の松江市内の高校のクラスターにいたしましても、できるだけ入院ということを必要以上にしないという観点は必要だというふうに私も思っておりますので、宿泊療養施設というものを最大限活用していくと。入院を避けて自宅療養だというのが一足飛び過ぎると。入院をある程度抑えていくということが必要だとすれば、次は宿泊療養施設での療養ということを徹底をしていくと。それがオーバーフローしてしまうといった状況になったときに自宅待機もやむなしといった、順を踏む対応が必要なのではないかというふうに思っております。

 政府の文書を見ますと、保健所の負担を減らすためだというふうにおっしゃいますけども、結局自宅療養になりますと、濃厚接触者と同じように在宅確認とか健康確認というのは毎日行う必要がありますし、入院すればそれは必要なくなりますけども、そういった意味では、きちんと宿泊療養施設にいていただくというふうな対応を徹底するというのを医療機関の負担を減らすとしても、無症状者をまずそういうふうにしていく。そして、軽症者を病院で受け入れて、もうきつくなったということになれば、次に軽症者を宿泊療養施設に行っていただくようにするとかというふうに、順を踏んでやるべきことが、一足飛びに病院から自宅療養へというところに行ってしまっているというのは違和感がありますので、今の対応を見直すとしても、宿泊療養施設をもっと活用するという観点での見直しがまずあるべきだというふうに思っております。

 そして、どういうふうに訴えていくかということでありますが、もう既にこのパッケージが出された際に、この点については慎重に検討すべきだというふうなメッセージを全国知事会として出しております。これをどういうふうに政府に届けていくかということについては、知事会の中でよく議論をして、適切な時期に、適切なタイミングで働きかけをしていくということになろうかと思います。

○山陰中央新報:ありがとうございました。

 

○NHK:NHKの浅井と申します。

 先月の25日に鳥取県のほうでクラスターについての条例が可決されたりですとか、あと、美郷町のほうで誹謗中傷に対する禁止だったり、誹謗中傷を止めるよう求めるような条例の制定が進んでいたりですとか、新型コロナに関する条例制定の動きも見えてきてると思うんですけれども、それに対する受け止めと、県として今後のビジョンといいますか、お考えなどありましたらお願いします。

○丸山知事:いろんな工夫をされているという努力の成果だというふうに思います。ただ、それは特定の地域ですとか特定のエリアに限った課題ではなくて、誹謗中傷への対応ということも、クラスターへの対応ということも、恐らくどの地域でも必要なことだと。今、条例で規制されている内容をそのまま引き写せばいいかどうかというのはありますけども、そういった意味で、本来全国的にやられる、法制度なり全国制度としてやられるべき内容でありますので、それを求めていくというのが基本線かなというふうに思っているところであります。

○NHK:自治体だったり県とか都道府県のレベルではなくて、むしろ政府への働きかけみたいなところで、全国としてそういう規制だったり対策の動きをつくっていくというようなお考えでしょうか。

○丸山知事:休業の要請なりに罰則をつけて、これは表現の仕方としては法的拘束力を持ったという言い方をしますけども、そういったものを法制度化してほしいというふうに我々はかねがね言っておりますので、そういった法改正をできるだけ早く実現していただく、そういった中で誹謗中傷対策といったものを盛り込むのか、条例でない形でやっていくのかということを含めて、これはどの地域でも起き得る話ですし、そういった観点から基本、法律に基づく制度としてどういうふうに立案していくべきかということを早急に検討して制度化していただきたいというふうに思っておりますし、これは誹謗中傷の話まで全国知事会の提言に入っていたかどうかはちょっと覚えていませんけども、間違いなく休業要請、事実上、休業の指示みたいな形に、拘束力のあるものにするということについては求めてきておりますので、そういった方向で対応していくべきではないかなというふうに思っております。

○NHK:ありがとうございました。

○山陰中央新報:山陰中央新報の平井です。

 新型コロナウイルスの検査体制の件でお尋ねします。

 県の1日当たりの検査能力の目標を、当初の212件から778件に拡大される御方針だと思いますが、今後、インフルエンザとの同時流行などが起きた場合というのは、この検査能力ではちょっと足りないのではないかという懸念もありますが、今後さらに検査件数、検査体制の強化を図っていかれるお考えがあるのかどうか教えてください。

○丸山知事:基本的には、今掲げている目標を着実に実行していくということと、併せて国の補助制度もありますので、各医療機関で検査機器を導入してもらうといった形で、診療の場で検査結果を出してもらうという形の医療機関での対応といったことを足していくということは最大限追加をしていきたいというふうに思っております。

○山陰中央新報:お隣の広島県ですと5,700件で、鳥取県は2,800件という目標を立てておられますが、島根県は現状778件という数字で、検査能力としては十分だというお考えでしょうか。

○丸山知事:自前の検査能力はこういうことですけども、外部に委託するということもありますから、幕藩体制でもありませんし、国が分裂しているわけでもありませんので、いろんなリソース(資源)を使いながらやっていくということで、県が自前でできる数字を何か横に並べてあれこれ比較するだけではあまり意味がないんじゃないかと。そういう鳥取なり広島の能力を貸していただくということもあるでしょうし、その数字をただ単に競い合うということよりは、現実にインフルエンザの患者さんと新型コロナの患者さんをどういう初期症状で見極めていくのか、接触者外来で処理するのかどうかという、その仕分の問題のほうがよほど大事だというふうに思いますので、そういったことの知見をきちんと厚労省なりに示してもらうということを通じて対応していく。

 基本的には、人が感染するのはインフルエンザとコロナ、2つ感染することはありませんので、勝ったほうが感染ですから、その見分けをしていくということをどういうふうにやるのか。全てPCR検査なり抗原定量検査をやらないと判別がつかないというふうに処理していくのであれば、それはもう検査の数をもっと増やさなきゃいけないということになるでしょうし、症状の段階で見分けをしていくということができるのかできないのかということを通じて、全体としてどういうふうに仕分をして、その疑い例と言われるものを選別、仕分をしていくのかということの中で考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

○山陰中央新報:ありがとうございます。

○山陰中央新報:山陰中央新報の木幡と申します。よろしくお願いします。

 今日、出雲市が新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、感染者が確認された事業所や店舗のうち、自主的に自ら店名を公表されたところに対して1事業所当たり50万円の協力金を支給するというような内容を発表されました。市としては、疫学的調査への協力要請をスムーズにするという狙いがあるというふうに説明をされてましたが、これについて知事の見解を教えていただけますでしょうか。

○丸山知事:そういう積極的疫学調査に協力される方に対するサポートとしてそういったものが追加されるということは、プラスに働くだろうというふうに思います。ただし、私、詳細を承知しておりませんので、そこまでにとどめさせていただきます。

○山陰中央新報:ありがとうございます。

 

○山陰中央新報:山陰中央新報、原田です。

 対策パッケージの評価のところで、検査能力が1日20万件というのは正しい方向だというふうに思っておられるということがありましたけれども、先ほどPCR検査などは778件ですか、目標ということでしたが、簡易キットなどの活用もしながら、さらに検査体制・能力を充実させていくというようなお考えというのはありますでしょうか。

○丸山知事:そういったものを医療機関で使っていただくというのは有力な選択肢だというふうに思います。

○山陰中央新報:まだ数とか、その辺、さらにこれぐらいに、簡易キットなども含めてどれぐらいにするとかというような数までは見通しはないでしょうか。

○丸山知事:数字の見通しはありません。

○山陰中央新報:目標とかもないですか。

○丸山知事:ないです。例えばこの1日20万という数字は出ています。じゃあ、それを一体どういうふうに使っていくのかと。検査能力という話と、検査能力をどこに配分していくのかという話は別なんです。県民の皆さんのPCR検査を毎日していくということは、これはできないわけです。今、大きく2つ検査をするケースがあります。実際に感染が起きた場合の、その周辺の方々の調査、検査をする。そしてもう一つは、日常で感染が疑われる方の検査をしていくと、これが従来、条件が厳し過ぎるんじゃないかというふうに言われていたものでありますけども、それは島根県としては幅広にやっていくということで対応しております。全く違う2つのルートなんですね。では、今、パッケージの2つ目で出てきた高齢者施設、医療機関の医療従事者の方、介護従事者の方を定期的にやっていくということになれば、それは今の2つと別枠ですから、それをどの程度やっていくのが正しいのか。言ってみれば恒常的に処理していくということを約束してしまうと、今回のように機動的に検査を増やしていくという余力が、ほとんど民間の機関に委ねることになりますし、全体としてどういうふうな場合にどういうふうな検査を受け付けるのかという数字だけでは物が片づかなくて、その増やした数字をどういう方々のどういうケースに充てていくかという全体のパッケージは今回示されていませんので、20万人に増えたから県も同じ数だけ増やしていこうというのは考え方としてはあり得ますけども、それをどういうふうなところに充てていこうとするのかということに応じて、県直営で保健環境研究所でやるべき検査を増やすのか、それともプライマリーな診療所、医療機関で簡易検査キットでやってもらう数字を増やしていくのか、そういう、検査と言っても今3種類、簡易な抗原検査キット、そしてレベルの高い抗原定量検査の機器、そしてPCR検査、3種類ありますので、そういったものをどこでやってもらうというふうにするかによって、増やすべき内容が変わってきますし、増やしてもらう主体も変わってくる、県で増やすのか医療機関に導入してもらうのかと。そういったことの道筋をこれからつけてもらうということが必要になるんじゃないかなと思っていまして、そういった意味で具体的な数字を、数字だけを上げるのはすごく簡単ですけど、具体的にどこに、どういうふうな数字を置いていくべきかということを考えないと、ちょっと言葉は悪いですけど、能力は増やしたけれども使えないといった検査能力では意味がないので、需要のあるところといいますか、増やすべきところにどう増やしていくかということを、国の政策の具体化を待ちながら対応していきたいというふうに思っております。

 なので、検査能力を高めて、日常的に検査が受けられるというふうにするのか、仮にそうするとしても、その場合に、国民、県民の皆さん全員というわけにいかないので、どういう方に定期的に検査していくのかという、そういう設計がないと、例えば感染が冬場に増えてくるといったときの疑い例は増えてきますし、実際感染が起きると、アドホック(臨時的)に、その場その場で大規模な検査が必要になってくる。そういったときはやっぱりできるだけPCR検査、県直営でやっているところで対応したいというケースも増えてきますから、そういったところで今回増やすと言われている検査能力を、どこをイメージして増やされるのかということの方向性が見えてくれば、どれぐらいの検査を県として増やしていくかということを具体的に積み上げて、目標として対応していくということになるのかなというふうに、今のところ漠然と思っております。数字と、その数字の持っていき先と、検査能力を高めるということと、3つ種類がありますから、そのどれをどこで増やしていくということとセットで考えていかないといけないのかなというふうに思っております。

 基本的な方向性は今、インフルエンザを想定すると、実際に診療に当たられる病院とか診療所で、診療所の場合ですと、恐らく機器を入れていただくというのは難しくて簡易検査キットでしょうし、一定の大きな病院ですと特別な技術者が要らない抗原定量検査機器を入れてもらうということになるでしょうし、そういった医療機関の性格に応じて検査の種類も変えながら、そういった目標値で立てていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

○山陰中央新報:ありがとうございました。

 ちょっとまたコロナで別件で、誹謗中傷対策なんですけれども、淞南高校のクラスターの関連で誹謗中傷した書き込みや画像を松江地方法務局のほうに通報されたと思うんですけれども、その削除要請とかはまだまだ結果は出ないとは思うんですが、例えばこれによって抑止的な効果だとか、何か書き込みが減ったりとか、そういった何か効果があったなど、把握をしておられますでしょうか。

○丸山知事:担当課からは、県から通報した13件のうち、少なくとも4件のサイトで削除もしくはモザイク等の修正が確認されたという報告を受けておりまして、一定の効果はあったと思いますし、今回、掲示されたものに対する影響という意味では、こういった形で一部に限られておりますけれども、今後に対する抑止効果は一定程度あるんじゃないかというふうに思っておりますし、もう一つは、こういった対応をするということで、こういう行為自体がよくないんだということを、これをしたこと、これほど報道で取り上げられると思っておりませんでしたけども、報道していただいたことで、こういう問題があって、行政としてもきちんとした対応をしていく課題なんだということを、多くのメディアを見られる皆さん方に認識をしていただいたという意味で、効果があったんじゃないかと、将来に向けての効果はあったんじゃないかというふうに思っております。

○山陰中央新報:ありがとうございました。


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