2月25日コメント
○丸山知事:本日は、夕刻のお忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。島根県知事の丸山でございます。
私の方から、本日2件の要請をさせていただいた内容につきまして、また、その経過状況につきまして、まず報告をさせていただきます。
要請事項は大きく2点であります。
(第3波の経験と検証を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策の改善・強化)
1点目が、第3波の経験と検証を踏まえた、コロナ対策の改善・強化についてであります。
第1波、第2波、第3波と経験いたしましたけれども、第3波はやはり大変大きな感染拡大であったこと、これは数字の上でも明らかであります。そして、自宅療養、また入院調整中という方が多数に上り、そういった方々の中から、医療に手が届く前の段階でお亡くなりになるという事例も、共同通信の調べによるとその時点で29人という調査結果も公表されております。そういった意味で、大変大きな感染であったと思っております。
こういった経験の検証を踏まえて、今後の第4波に対応していく必要がある。そして、また後程申し上げますけども、オリンピックという国民の皆さんが望まれている大きなイベントと兼ね合わせて、それに対応していくといったことも含めて、この第3波の評価を踏まえて、取り組む必要があるのではないかという大きな問題意識であります。
やはり、この東京でどういうことが起きたのか、これは1都3県ということになるかもしれませんけれども、起きたことを、単に数字としてではなくて、現実問題として何が起きたのか、ということなどを踏まえて、それがゼロにはできないとしても、来る次の感染拡大で最少にできるような取り組みをしていく必要があるということが第一段階であります。
そして、それに加えて、多数のアスリート、競技関係者、大会役員等が、外国からお越しになる、東京オリンピックを開催していくということになりますと、第3波の検証を踏まえた東京都における感染症対応能力の向上といったことがない中では、開催を良しとすることは難しいと、私自身は認識いたしております。
そういった中で、先般、表明させていただきました通り、県知事として賛意を表することが難しい東京オリンピックのプレイベントであります県内での聖火リレーの開催に、県費を投入して協力していくということも、また難しいのではないかということで、中止の検討という表明をさせていただきました。
そういうことでございますけれども、本日の要請といたしましては、第3波の経験を踏まえた東京都における対応能力の向上を、政府において、新型インフルエンザ特措法に基づく総合調整権をお持ちでありますし、東京都はオリンピックの開催都市、政府は招致国ということになろうかと思いますので、そういった立場で、東京オリンピックの開催の環境を整えていかれる立場にある政府に対しまして、対応を要請したところであります。
(緊急事態宣言の影響を受ける飲食店等への支援)
2点目が、緊急事態宣言の影響を受けた、必ずしも感染が拡大したとは言えない地域の飲食店などへの支援について要請させていただきました。これは、島根県は、こういったエリアに該当するということであります。
今回の、緊急事態宣言につきましては、緊急事態宣言が出る前の様々な措置の段階から、政府の分科会の尾身会長から、感染の主たる場面として飲食の場であるといった見解が示され、そして政府の緊急事態宣言の中でも、この飲食の場が主たる要因であるという見立てのもとで、強力な措置がとられたということであります。
私自身は、年初の急拡大を、程なくして感染者数の減と言う結果が出ておりますので、そのご判断なり対策というのは、十分な効果があったということだと思っております。
ただ、それに伴う様々な間接的な影響が生じているということについて、まだ政府において十分に認識されていないのではないかということで、本日、要請をしております。
概略を申し上げますと、感染が拡大した地域については、飲食の場での感染を防ぐために、飲食店に時間短縮を要請され、協力された店舗には協力金が支払われる。これは場所によって、6万円という場合と4万円の場合がありますけれども、そういった対策が講じられました。
それが功を奏したということで評価をいたしておりますけれども、経営上でいきますと、これで十分だという方が全てだということではないということは認識をいたしておりますが、少なくとも、その金額の部分については、経営上一息つくことができたことは間違いないと思っております。
翻って、島根県のように、営業時間の短縮要請をする必要がない、なかった、今もありませんけれども、そういった地域もございます。そういった地域については、感染が拡大してないので、飲食の場を閉じていただく必要もございません。通常通り営業されている中で、結果的に、感染を抑えている地域ですので、政府なり都道府県知事の要請事項をより注意深く守っていただく結果として、飲食に出かけるということについて非常に強い抑制がかかっております。
これは、政府の緊急事態宣言等々の措置の間接的な、ただし、我々としては非常に大きな影響が生じておりまして、結果的には、売り上げの大幅な減少が12月以来続いている状況であります。
そういった中で、政府の追加措置は、その店は感染拡大防止に協力しているわけではありませんので、協力金というのは当然出ない。今の仕組みでは仕方がないと思っておりますが、結果として、感染を県民が真面目に抑えた地域の飲食店が不況に陥り、それに対して救う手だてがないという状況になっております。
この状況を、数字で整理させていただきました。用意しております参考資料の5ページをご覧ください。
大きく都道府県を2つに分けまして、今回の第3波について、時短要請等が行われた地域と、行わずに済んでいる地域に分けております。行われた地域は、31都道府県ございます。行わずに済んだ地域が、16県ございます。
これに対しまして、政府から、都道府県と市町村すべてに地方創生臨時交付金1兆円が配分されております。市町村にも配られておりますので、都道府県の分は半分の5,000億円であります。その配分を島根県として受けているところでございます。
そして、それと別に、飲食店の時短営業のための協力金を、都道府県等が支払う場合に基本8割支援するためのお金として、時短要請をなされた31都道府県が対象になった金額、それ向けに予算は厳密に言うと2兆889億円が用意されております。
当然、この時短要請をする必要のなかった地域、島根を含めた16県については、こういったものはゼロであります。
イメージが湧きにくいので、島根県と東京都を抜き出して書いております。東京都におかれては、全国の地方公共団体すべてに配られたお金の中で262億円が交付される予定で、島根県は63億円をいただく予定であります。
そして、東京都の時間短縮の関係でのお金の交付額というのは、厳密にはちょっとわからないところがあるんですが、東京都の予算によりますと、少なくとも4,102億円が交付されると見込まれます。島根県は、その部分はゼロであります。東京と島根は、人口が大分違いますので、単純に比較できませんけども、単純にその2つのお金を足し上げると、東京都においては4,364億円、それに対して島根県は63億円ということになります。
これは人口が違いますので、人口1人当たりで置き直しますと、島根県は0.9万円、そして東京都が3.1万円でございます。
我々としては、この63億円を使って、いろんな対策を講じるべきではないか、というご指摘もございます。
ただ、単純にこの数字を見ていただいて、私どもの1人当たり0.9万円のお金を、東京都の同じ数字3.1万円の効果を出すように工夫して、事業をやればいいじゃないかというお話もございますが、この数字の壁を知恵で乗り越えられるというものではないと思っておりまして、この部分、すべてとは申し上げませんけども、我々の地域で、飲食業が生き残っていけるような水準の給付金の支給がぜひとも必要だということで、要請させていただいております。
(東京オリンピック、聖火リレー)
そういった状況でありますので、今、島根県の状況というのは大変厳しい、県内の飲食業は厳しい状況です。これをこのままでいかれますと、3月末、事業の区切りで、廃業が多発しかねない。
そして、こういった状況で、感染拡大との兼ね合いでいくと、リスクオンの要素であります東京オリンピックを、塗炭の苦しみを味わっている事業者の皆さんが、快く受け入れられる状況にはありませんし、島根県として、こういった状況で、東京オリンピックに伴ういろいろなリスクを受け入れるということは難しいというふうに判断しておりまして、東京オリンピックの開催、それから聖火リレーの県内での実施について、賛意を表しがたい1つの要因であります。
こういったことで、先日の2月17日の表明では、こういった2つの課題がある中で、東京オリンピックの開催とそのプレイベントであります聖火リレーの開催について、島根県として、賛意を示し協力をしていくことは難しいという言い方をさせていただきましたけれども、言葉の裏を返せば、我々が認識してますこの2つの課題を解消とまではいかないまでも、最小限に抑えていただいて、多くの国民の皆さん、島根県を含めた国民の皆さんが、感染のリスクが若干上がるかもしれないけれども、これだけの多額の予算と、人々の努力、そしてアスリートのこれまでの鍛錬の成果を発揮していただく、また、世界のプレイヤーの勇姿を見られる、そういった大事なイベントを、よりよい環境で開催していくべきだと考えております。
これはいろいろな取りようがありますので、いろいろな面から誤解を招きますけども、私自身はこの2つの課題がある、それを改善していくことが、みんなにとっていいことではないかと思っておりまして、そういった要請させていただいたところであります。
(関係省庁及び県選出の国会議員への要請)
そして、本日、厚生労働省、そして内閣府、経済産業省と地元選出の国会議員の5名の先生方のところに、要請に行かせていただきました。国会議員の皆様には、主には飲食業の支援についてお願いをさせていただき、島根県内の飲食事業を中心とした関連の事業者の皆さんの窮状と、政府の支援の現状に格差があるということについては、ご理解をいただき、政府に対して働きかけていくということでご理解をいただいたところであります。
そして、対応能力の向上につきましては、厚生労働省の山本副大臣に要請させていただきまして、保健所の大事な機能でございます積極的疫学調査の回復が大事な要素だということは、昨日開かれた厚生労働省のモニタリング会議でも共通の認識だったので、そういったことの重要性というのは十分認識しているということで、お話をいただきました。
本日は西村大臣ご担当のラインの内閣府の職員の方とは直接お話ができませんでしたので、それは要請書をお渡ししてということで留まっております。
中小企業庁につきましても、先ほどの給付金のお話というよりは、協力金が交付された先の取引業者に対して支援金が出るという制度がありますので、もし我々のような今回の2番目の要請であります感染非拡大地域の飲食店に対して、相応の給付金を出していただいた場合には、関連の事業者に対する一時金支援金についても同じように創設してほしいというお話をさせていただきました。
これは仮定をおいた話ですので、趣旨はよく分かりましたということで、引き取っていただいたというところでございます。
結果的には、政府サイドについては大臣にはお会いできませんでしたので、最終的にこうこうするという話には至りませんでしたけれども、島根県選出の国会議員の先生方に、島根の現状と、こういった要請をさせていただいている内容についてのご理解をいただけたということは、私としては大きな進展だったと思っているところでございます。
私からのご説明、コメントは、以上でございます。
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