良食味・高品質で全国から注目集める
島根県産米「つや姫」
つややかな光沢と、味や食感の良さが特色のお米「つや姫」。島根県産のつや姫は、おいしいお米を選ぶ「食味ランキング」(日本穀物検定協会主催)において、平成26年産、平成27年産と2年連続で最高評価の「特A」に選ばれました。高品質のお米として全国に価値が認められ、需要が急増しています。
つや姫は、倒伏しにくく夏の高温にも強い、山形県生まれの新品種です。米粒はコシヒカリに比べて長く、炊きあがりにその名の通りつややかな光沢を持つのが特徴。島根県内ではコシヒカリに代わる品種として、平成24年から平坦部を中心に本格生産が始まりました。
島根県立大学と連携した県産つや姫の研究では、食べたときにおいしさを感じる「硬さと粘りのバランス」に優れ、保温してもおいしさが損なわれにくいことが、分析データとして示されました。実際に味わう食味官能試験でも、白さや光沢など外観に優れ、香りや味などすべての項目において、一般的なお米を上回る高評価となりました。
平成28年産米は、卸売り業者からの買い付け要望が前年比1100トン増の5300トンに増えたものの、販売予定量は約4千トンにとどまる見込みです。作付の拡大とさらなる品質向上で需要の急増に対応し、全国に「島根県産つや姫」の存在感を示そうと、生産者や県、JAなどが一体となって取り組んでいます。
「つや姫マイスター」矢田輝夫さん/おいしさと安全を作り手として実感
つや姫マイスターの矢田輝夫さん
県内で「つや姫」の生産技術を向上させるため、優れた生産者17人が「つや姫マイスター」に認定されています。その一人、矢田輝夫さん(大田市富山町)に、生産者から見たつや姫の魅力を教えてもらいました。
つや姫には農薬や化学肥料の使用を通常の半分以下にするなど、品質や安全性にこだわった特別栽培基準が設けられています。山あいの傾斜地に水田を持つ矢田さんは、手作業で除草作業を行っており、「手間は増えたが、食の安全が米の高評価につながっている」と話します。
肝心の味についても「新米がおいしいのは当たり前。つや姫は収穫から時期がたっても味が落ちにくく、おいしい」と太鼓判を押します。
現在は需要に生産が追いつかない状況であり「手間暇かけたいい米であることをPRし、コシヒカリのように広く認知されれば、生産者が増えるはず」と期待を寄せています。
中食・外食産業でニーズ拡大/全国フォーラムで報告
出雲市で開催された「全国つや姫フォーラム2016inしまね」
「全国つや姫フォーラム2016inしまね」が出雲市などで開かれ、島根県や山形県などつや姫生産に取り組む全国6県の関係者らが、つや姫のブランド力向上を目指して情報交換しました。
講演では「月刊食糧ジャーナル」の鶴田裕編集部長が、島根県産つや姫が沖縄県でリピート率の高い人気商品であることを紹介。また米の需要が拡大している中食・外食産業で、市場を確保するために「つや姫の固定ファンをつくることが大切」と訴えました。
島根県産つや姫を業務用に販売している日本ブライス(福岡市)の後藤義和専務は、「卸先では食味や外観の評価が高く、ニーズが高まっている」と市場での評価を伝え、取扱量を増やす方針を示しました。
市場拡大に向けて、つや姫の研究に取り組む島根県立大学の籠橋有紀子准教授は「炊きあがりの米が白く美しいところは、中食・外食産業では特にアピールポイントになる」と強調しました。
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