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農村や農業の維持を支援・日本型直接支払制度

県内に広がる田畑は、食糧生産だけでなく、防災や環境保全など多面的な役割を持っています。その機能を維持する取り組みには、交付金が支給される「日本型直接支払制度」が活用されています。


田畑が担う防災や環境保全

農地が持つ多面的役割は、水を蓄えて洪水を予防・軽減するダム機能や水源の確保、多様な生物がすむ環境の保全などがあり、私たちの生活に大きな恵みをもたらしています。

また、緑豊かな農村風景や澄んだ空気は心に安らぎを与え、農業という営みは活力ある地域コミュニティーをつくって、そこでは独自の文化や伝統が継承されています。

少子高齢化などで担い手が不足し、耕作放棄地が増えると、農地が保ってきたこれらの機能は失われてしまいます。そのため、農村や農業を維持する取り組みを支援する制度として、「日本型直接支払制度」があります。

この制度は、取り組み内容により
(1)多面的機能支払交付金
(2)中山間地域等直接支払交付金
(3)環境保全型農業直接支払交付金の三つからなっています。


(1)多面的機能支払交付金

農地、水路、農道等の維持管理活動が対象の「農地維持支払交付金」と、それらの機能を向上させる活動が対象の「資源向上支払交付金」で構成されています。いずれも農業者を中心とした地域住民や都市住民などによる共同活動が対象です。



●問い合わせ先
農村整備課(TEL:0852・22・6262)


事例:麓(ふもと)を耕す会(津和野町)

人口約50人の麓耕(ろくごう)集落では、ほ場ののり面へ植栽しているツツジの管理や草刈り等にかかる費用、水路の泥上げ等の負担が課題となっていました。現在は多面的機能支払制度の活用により、農地の維持や植栽管理、桜やモミジなど新たな植栽活動に取り組んでいます。観光客などによって交流人口が増え、地域の活性化につながりました。


麓を耕す会が管理するツツジの植栽の写真
麓を耕す会が管理するツツジの植栽


(2)中山間地域等直接支払交付金

傾斜の大きな農地など、条件の厳しい中山間地域の農業生産活動に対する交付金です。集落等を単位として、5年間継続的に取り組む場合に対象となります。

この交付金を活用して、農産品の加工販売など地域の活性化が図られています。



●問い合わせ先
農業経営課(TEL:0852・22・6417)


事例:大東南村(みなみむら)協定(雲南市)

集落には15・8ヘクタールの農地があり、平成12年度から交付金を受給。集落の女性や高齢者を主体とした糸瓜の加工販売に活用しています。

また、平成21年には農事組合法人を設立して、所有者が高齢のため耕作できなくなった農地を引き受ける体制を整えました。これらの取り組みを通じて、集落全体で農業生産活動を維持しています。


糸瓜の加工所の写真
糸瓜の加工所


(3)環境保全型農業直接支払交付金

自然環境の保全につながる農業生産活動に対する交付金です。
化学肥料や化学合成農薬の使用を基準の5割以下に抑えるとともに、多様な生物がすむ環境の保全や地球温暖化防止に効果の高い農業生産活動を行う場合に、必要なコストの支援が受けられます。農業者団体のほか、一定の条件を満たす農業者個人も対象となります。



●問い合わせ先
農産園芸課(TEL:0852・22・6477)


事例:農事組合法人ファーム宇賀荘(うかしょう)〔安来市〕

13集落で189ヘクタールの大規模営農に取り組む県内最大の集落営農法人です。そのうち水田10・4ヘクタールで農薬・化学肥料を使わない有機栽培などの交付金対象活動に取り組んでいます。

水田にはドジョウ25万匹を放流し、ドジョウが元気に育つ安全な環境を保全。稲の深水(ふかみず)栽培や冬場の湛水を行い、環境への負荷をかけずに雑草を抑制しながら、交付金を活用して除草作業に人手をかけています。また田植え体験などを通じて、住民や消費者への啓発にも取り組んでいます。


環境に配慮した農業をPRする田植え体験の写真
環境に配慮した農業をPRする田植え体験



お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp