しまねびとNo.10
島で唯一の小さな菓子店
人口約560人の知夫里島(知夫村)には、本格的なスイーツを製造する唯一の菓子店「めにーでーる」があります。店を開く稲澤千夏さんは、「島のみなさんがとても喜んでくれるので、うれしくなります。これからも島の役に立てたら」と腕を振るいます。
岡山県出身の稲澤さんは、大阪や兵庫、神奈川などでパティシエとして菓子作りをしてきました。結婚・出産後、「もっと子どもと一緒の時間を過ごしたい」との思いで、移住先を探していたところ、Uターン・Iターンのブースで偶然見た知夫村の風景や畜産の仕事に興味を持ちました。島での畜産や移住体験を経て、平成30年に家族4人で移住しました。
パティシエだったことを知った島民の方から、「島のホテルでケーキを出してほしい」、「村のイベントでも」と声がかかるようになりました。シュークリームを販売すると、ものの数分で完売。「こんなに喜んでくれるなら」と、営業許可を取得し、自宅の一室で「めにーでーる」を開業しました。
島民がお裾分けしてくれたレモンで作った「れもんけーき」は、今では看板商品です。同じく人気商品の「島とうふどーなつ」も島民の要望から生まれました。知夫村だけでなく、隠岐諸島のほかの島でも販売され、お土産品として定着しています。稲澤さんは「いろいろ作ってみるのですが、島の人の反応が良いと売れ行きも良いです」と笑います。
他事業者から商品開発の話を持ちかけられることもよくあります。「愛情を持って作られたものはやはりおいしいので、生産者のこだわりのあるものを使っていきたい」と話します。ちょっとした親戚がいっぱいいるみたいな知夫村で、これからも島民の笑顔を生むお菓子を作ります。
めにーでーる:稲澤千夏(いなざわちなつ)さん
岡山県鏡野町出身。小笠原諸島で出会った夫と畜産の仕事もしており、23頭の牛を飼っている。小学3年と6年の子どもたちと過ごすことが楽しく、一緒に釣りをするなど友だちのような関係だという。
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