在宅医療~住み慣れた環境で暮らし続けるために~
自宅や住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるように、患者の日常生活を支える「在宅医療」。介護や福祉サービスとも連携しながら「治す医療」から「治し支える医療」へ変わりつつある今、在宅での療養生活の体験談を紹介します。
自宅での看取り
仕事を続けながら介護
80代の父親と二人で暮らしていたAさん。仕事がある日中は、父親が自宅で一人で過ごしていました。
しかし、だんだんと父親の体力は衰え、外出も困難に。本人が希望したため、そのまま自宅で介護し、看取ることになりました。
自宅で介護したAさんの話
Q:どんな支援を受けた?
A:最初はデイサービスに通っていましたが、徐々に父の体力が落ちてきたので「小規模多機能※」に変え、通所と週1回のショートステイを利用しました。
通所が難しくなると訪問介護に切り替え、それからは状態に合わせて訪問看護、訪問診療、訪問入浴などを利用しました。
Q:困ったことと、その乗り越え方は?
A:夜間1~2回のトイレ誘導が必要だったので、睡眠不足を解消するため、週1回はショートステイを利用し、ゆっくり眠れる日を持つようにしました。
父がショートステイに通えなくなってからは、休日は昼でも、父が寝ている間に私も休むようにしました。また、かかりつけ医の先生や、ケアマネジャーさんになんでも相談しました。
Q:複数の支援を利用する上で工夫されたことは?
A:さまざまな制度を組み合わせ最大限利用し、2時間に1回は誰かに訪問してもらいました。自宅の様子をスマートフォンでコミュニケーションアプリに書き込んでもらい、連絡帳と併せて父の状態を共有するようにしました。
「小規模多機能※」を利用するようになってからは、連絡調整が少なくなり助かりました。
近くの訪問看護が利用できたこともよかったと思います。
Q:心がけたことや体験を通して感じたことは?
A:まず、完璧にやろうとしないこと。爪が伸びていた、ひげが剃ってないなど、気づくと際限なく介護することになるので、優先順位を付けて「やらないこと」を決めました。
次に、遊び心。父の周りに写真を飾ったり、私が晩酌するときに父にもとろみを付けてちょっと飲ませたり、楽しみをつくることを心がけました。
最後に、一人で抱え込まないこと。制度や支援は最大限利用し、お互い様だと割り切ることで気持ちも楽になります。
もっとこうすればよかったと思うこともありますが、ある程度はやりきった感が持てているので、これでよかったと思っています。
※小規模多機能型居宅介護…「通い」「訪問」「宿泊」を組み合わせることができるサービス。
Aさんを支援した訪問看護ステーションのスタッフ
自宅でリハビリ
専門職がサポート
脳出血により入院し、治療を受けていたBさん。その後、リハビリができる病院に転院しました。2カ月を過ごし「早く自宅へ帰りたい」という本人の希望もあり退院。現在は自宅近くにある病院への通院と、訪問リハビリテーション(訪問リハ)を利用して、自宅での療養を続けています。
自宅で専門職からリハビリを受けるBさん
訪問リハは日常生活の場(自宅)で行うため、リラックスして取り組めるだけでなく、住環境を踏まえた動作へのアドバイスも専門職から受けられます。
自宅なのでリラックスしてリハビリが可能
訪問リハを利用するBさんの話
自宅にいるので、みんなが見舞いに来てくれます。よくなった姿を見せることができて嬉しいです。
訪問リハビリでは週1回、筋力をつける運動や動き方の練習を行っています。生活の中での動作がリハビリであることを教わり、日々リハビリに励んでいます。そのかいあって、退院時より、今はスッスッと歩けるようになったと感じます。
Bさん宅を訪れるリハビリ専門職の話
その人らしさとは何かを常に考えて、社会とつながりを切らさないようにするため、「地域での暮らし」を念頭に入れたリハビリの提供を心がけています。
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医療政策課(TEL:0852・22・6682)
お問い合わせ先
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