小さな拠点づくり
県土の約90%を占める中山間地域では、住民が皆で知恵を出し合い、地域の課題解決に取り組む「小さな拠点づくり」が進められています。
買い物支援と交流の場を両立/岡見地区まちづくり推進委員会
(浜田市岡見地区)
住民たちが移動販売車で生鮮食品などを品定め
週1回の移動販売
1台の軽トラックが止まったのは、岡見小学校の子どもたちがシャッターに絵を描いた建物の前。ここには毎週水曜日に多くの住民が集まります。この日も軽トラックの到着を待っていた住民が、早速荷台に積まれた肉や野菜、加工品を品定めし、次々と買い物かごへと入れていきました。
この軽トラックは三隅町内のスーパーが運行する移動販売車。地域住民でつくる岡見地区まちづくり推進委員会(森井剛会長)が運営する「わくわくマーケット」で生鮮食料品などを販売しています。
困っている住民を支えたい
移動販売のきっかけは、岡見地区で唯一のスーパーが5年前に閉店したことです。
森井会長らは住民の買い物の現状や希望を調べるため、アンケートを実施。スーパーがなくなってから買い物に困っているという回答は55%に達し、特に、生鮮食品を扱うスーパーは地区外にしかないため、車などの移動手段を持たない人が不便を感じているということが分かりました。
「行けないなら、来てもらえないだろうか」。検討を重ねる中、委員会のメンバーが声をあげました。そこから町内のスーパーに移動販売車の誘致を働き掛け、閉店から10カ月後には移動販売が始まったのです。人口減少への危機感と、「困っている住民をなんとか支えたい」という思いが、素早い対応につながったと森井会長は振り返ります。
移動販売車の来訪に合わせ、自分たちでも旧スーパーの店舗を借り、地域で作られた新鮮な野菜や加工品を販売することにしました。来店者の要望に応えた品ぞろえは好評となり毎回盛況です。この季節、特に人気なのは店内で作る焼き芋。店の外にまで甘い匂いが漂い、いつもあっという間に完売します。
高齢者が安心できる暮らし
買い物を終えた住民たちが焼き芋を片手に向かうのは、店舗内に併設された住民の交流の場「ニコニコサロン」。地域の研修旅行の打ち合わせやサツマイモの保管方法、孫の成長などさまざまな話に花を咲かせます。昨年からは、看護師資格を持つスタッフも加わりました。血圧測定や健康相談もでき、高齢者の健康づくりと見守りの場になっています。
今後も取り組みを続けていくためには、「運営スタッフに若者や女性の参画が不可欠」と森井会長。「世代の垣根なく意見を交換し、知恵を出し合え、参加しやすい組織にしたい」と持続的な体制を目指します。
「小さな拠点づくり」をサポートしています
県では、「小さな拠点づくり」に向けて、先進事例を紹介したり話し合いの進め方を助言したりするなど、市町村の職員と連携して住民の皆さまをサポートしています。
浜田市岡見地区の特徴
●2019年4月時点人口1179人、高齢化率41%
(2049年推計人口647人、高齢化率39%)
※しまねの郷づくり応援サイトより(2014年と2019年の年代別人口変動が今後も続いた場合の推計)
●地区唯一のスーパーマーケット閉店で買い物が困難に
↓
アンケートで買い物弱者対策の必要性を把握し、移動販売車の誘致と店舗販売を実施
「ニコニコサロン」で談笑する住民
●問い合わせ先
しまね暮らし推進課(TEL:0852・22・5065)
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