小さな拠点づくり
県土の約90%を占める中山間地域では、住民が皆で知恵を出し合い、地域の課題解決に取り組む「小さな拠点づくり」が進められています。
八雲の梅でまちづくり/NPO法人むらの駅やくも
(松江市八雲町)
収穫した梅の実を材料に加工商品を製造するメンバー
市街地近郊でも進む人口減少
市街地からほど近い松江市八雲町。人口減少により農業の担い手が不足し耕作放棄地が目立つようになりました。里山や休耕田の荒廃が顕著となるなか、地域の魅力、資源を生かした活力ある地域づくりを進めるため、住民有志が立ち上げたのが「むらの駅やくも」(山崎正幸理事長)です。
「八雲を梅の里に」との思いで、10年ほど前に手掛け始めたのが梅を中心とした山桜やイチョウなどの植栽。「景観を損なう耕作放棄地を何とかしようと考えたのがきっかけ」と山崎理事長は話します。栽培品種は地域で相談し、管理に手がかからず、鳥獣害もほとんどないことや特産品づくりへの活用を考えて選定しました。
宮谷ふれあい公園(東岩坂)とやくも梅の里公園(西岩坂)を整備し、現在では6ヘクタールに2000本を植栽。うち1000本が梅の木です。美しい里山の景観が保たれ、梅の花が開く頃にはお花見や散策が楽しめる憩いの場として親しまれています。
地元産にこだわり商品づくり
収穫した梅はJAや地元の酒造会社に販売するほか、加工商品にも。「やくもの梅あっさりタレ」「やくもの梅ぇ~Goo!」など4種類を開発しました。加工に用いる梅の実と種は手作業で一つ一つ丁寧にほぐします。具材の干し大根やタケノコ、梅を煮る際の日本酒と醤油も地元産しか使いません。商品は市内の観光交流施設やイベントなどで販売し、人気です。
地域外からの協力も心強い味方です。地域おこし協力隊のアイデアで「八雲梅鰹出汁」を開発したり、市内の農林高校とも連携して商品を使った料理をイベントで販売したりするなど、活動の幅が広がっています。
梅の収量確保や販路開拓を図る
現在は70代が主力メンバーのため、広大な公園の管理もひと苦労。草刈りだけでも年3回は必要で「特に夏場が大変」と山崎理事長。活動の持続には後継者の確保が課題となっていますが、「八雲特産の商品など今後への土台はできています。若い人も参加してくれているので、梅の花咲く里山の景観を守りながら、梅の収量安定や販路開拓にしっかりと取り組み、バトンタッチしていきたい」と地域の将来を見据えています。
松江市では、持続可能な地域づくりに向けて住民が主体となって考える「松江市地域版まちづくり総合戦略」の策定が市内29の公民館地域で進められています。八雲地域では「地域資源を活用した特産品販売や交流事業の実施」などに取り組むこととされています。
八雲地区の特徴
●2018年4月時点人口6,826人、高齢化率31.8%
(2048年推計人口4,949人、高齢化率39.4%)
※2013年と2018年の年代別の人口変動が今後も続いた場合の推計
●買い物などの基本的な生活機能は確保されている
●将来的な人口減少や農地荒廃が課題
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八雲で梅の里づくりを目指し住民有志が「NPO法人むらの駅やくも」を結成。地域の産業振興や荒廃地解消へ取り組みを推進
「やくも輪の市」で梅の加工商品を販売
梅の実を使った加工商品4種
●問い合わせ先
しまね暮らし推進課(TEL:0852・22・5065)
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お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp