しまね通vol.7
各分野のプロフェッショナルが、ゆかりの深い島根について語ります。
「しまコトアカデミー」メイン講師・指出一正さん
さしで・かずまさ
雑誌編集者を経てライフスタイルや環境・社会問題を発信する月刊「ソトコト」編集長に。2012年に始まった「しまコトアカデミー」のメイン講師。広島県で「さとやま未来博」を総合監修したほか、高知や静岡、長野、奈良県などでも地域プロジェクトに携わっている。著書に「ぼくらは地方で幸せを見つける」(ポプラ新書)。東京都在住。
島根はローカルのトップランナー
島根は、少子高齢化や過疎化、人口減少の状況から見れば全国でトップランナーです。こう言ってしまえば印象は良くないですが、島根にUIターンして頑張る人たちを取材してきた中で、これから全国で起こる問題にいち早く対応し、地域のあり方、対策を導き出すための力が島根には蓄えられていると感じました。島根は、良い意味での「ローカルのトップランナー」なんです。
地方の価値は、経済的指標では計れない「豊かさ」があること。それは外から入ってきた人たちを受け入れる優しさであったり、自分なりの視点で地域の課題を見つけて対処する人が多いことだったりします。海士町で「これからの新しい生き方」を学ぶ学校づくりに取り組む巡の環の阿部裕志(あべひろし)さんや、浜田市を拠点に地域の魅力をカタチにして売りだしているシマネプロモーションの三浦大紀(みうらひろき)さんのように、島根の中山間地域には、「豊かさ」に魅力を感じ、地域を元気にする若い力がたくさん集まり始めています。
関係人口増やす「しまコトアカデミー」
私が編集長を務める月刊「ソトコト」編集部では、車ディーラーやファッションなどいろんな分野のトップと仕事をすることを大事にしています。ローカルの価値観を読者に伝える上で、そのトップとして関心を寄せていたのが島根県で、コラボレーションの話はチャンスだと考えました。こうして参画させていただいたのが、島根県などが主催する講座「しまコトアカデミー」です。
講座は、都会で地方に関心を持つ人を対象に東京と大阪で開催していて、島根の地域課題や活動を座学で学んだ後、実際に島根県内に短期滞在してもらい、地域づくりに関心を持つ人材を育てる半年間のプログラムです。目的は移住・定住ではなく、まずは人と人がつながる「関係人口」を増やすこと。参加する若者は、島根で豊かに過ごす人たちに出会って自分の生き方を見つめ直す機会になります。島根にとっては県外に仲間を増やすことができており、都市と地方を結びつける新たなモデルになったと自負しています。
「今の島根って面白い」を知る機会に
しまコトアカデミーでは、昨年度までに109人が卒業しました。そのうち島根にUIターンしたのが21人で、休耕田での金魚養殖や、高齢者向けの音楽療法の社団法人を設立した人もいます。島根に根付いて盛り上げるプレーヤーが講座から生まれてきているのは誇らしいですね。もともとは移住なんて考えずに参加した島根出身者が「何だ、今の島根って面白いじゃないか」と分かってUターンにつながっているのは大きな収穫でした。こうした島根発の講座は、奈良や和歌山、広島県など各地にも広がりをみせています。(談)
松江市内にあるベーカリーのオーナーに話を聞く「しまコトアカデミー」受講生たち
大根島の民宿での朝ごはんを楽しむ受講生たち
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島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp