謹んで新年のご挨拶を申し上げます
明けましておめでとうございます。皆さまには健やかに新春をお迎えのことと存じます。
さて、昨年は、4月に大田市で震度5強を観測した「島根県西部を震源とする地震」や西日本各地で記録的な大雨となった「平成30年7月豪雨」などにより、県内各地に多くの被害がありました。被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。県では、被災された方々の生活再建に引き続き全力を挙げ取り組んでまいります。
一方では、JRグループと山陰両県で取り組む大型観光キャンペーン「山陰デスティネーションキャンペーン」の展開や、出雲市と鳥取市を結ぶ観光列車「あめつち」の運行開始、航空路線では出雲=静岡線・仙台線の新規就航、また浜田港や浦郷港(西ノ島町)への外国クルーズ客船の初寄港などにより、国内外から島根を訪れていただく機会が増えた年でもありました。引き続き県では、より多くの方々が島根を訪れ、また「ご縁」を感じていただけるよう、観光プロモーションを展開してまいります。
そして、今年は2020年春に大田市で開催される「第71回全国植樹祭」まで、あと1年という年です。大会1年前記念イベントの開催や県内の小中学校などで苗木を育てる取り組みを引き続き行うなど、県民の皆さまとともに準備を進めてまいります。
島根には豊かな自然や美しい景観、古き良き文化・歴史、そして温もりある地域社会などがよく残っています。これらは島根の発展にとって大きな強みだと考えています。依然として少子高齢化や人口減少の厳しい状況ではありますが、こうした強みや魅力を生かし「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」の実現に向けて取り組んでまいります。県民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
県民の皆さまにとって、本年が良い年となりますようお祈りいたします。
島根県知事・溝口善兵衛
新春知事対談
島根県立美術館20周年・信頼育む“芸術文化の拠点”
東西に長い島根県では松江市と益田市に県立美術館があり、県内全域をフォローする芸術文化の拠点となっています。「水辺の美術館」として知られる島根県立美術館の長谷川三郎館長と溝口善兵衛知事が、同館の魅力や県立石見美術館との連携など今後の展望について語り合いました。
島根県立美術館館長
長谷川三郎氏
はせがわ・さぶろう/東京教育大卒。国立西洋美術館の学芸課長や愛知県、宮城県の県立美術館の館長を歴任。2011年4月から島根県立美術館館長。専門は西洋彫刻史。鳥取県倉吉市出身。
溝口善兵衛知事
ゆったり感あるモダンな造り
知事:子どものころから絵を観るのが好きで海外のいろんな美術館にも行きましたが、湖岸に建つ美術館というのは珍しいと思います。美術館というのは外観がレンガ造りで重々しく堅いイメージでしたが、県立美術館はモダンな造りで、中に入っても全体が広々とゆったり感がありますね。
長谷川:初代館長の副島三喜男氏から「日本一の美術館に」との思いを引き継ぎ、館長に就任して8年になりますが、少しも色あせない美術館だと感じています。
知事:これまでの総来館者数は560万人を突破し、今では全国有数の都道府県立美術館に成長しましたね。この美術館のユニークな特徴の一つが、日没時間に合わせて毎日変わっていく閉館時間だと思いますが、おそらく、そんな美術館は、世界のどこにもないと思います。
長谷川:そうですね。2017年度に館内のリニューアルを行った時にもその魅力をさらに高めようと、ロビー天井の照明をLEDに変更し、沈む夕日に合わせて色を変化させるようにしました。
知事:夕日と融合する美術館ならではですね。宍道湖岸を歩く親子の姿をロビーから見ると、のどかで気持ちが和らぎます。この親しみのもてる美術館は、島根の素晴らしい財産です。
充実した企画展とコレクション
知事:毎回さまざまなジャンルの企画展が開催され、今年も楽しみにしています。
長谷川:2019年は開館20周年を迎え、興味深い展覧会がめじろ押しです。まず3月には、津和野町出身の美術史家・故永田生慈(ながたせいじ)氏から寄贈いただいた葛飾北斎(かつしかほくさい)のコレクションを初公開する記念展を開催します。春には雲南市大東町出身で江戸後期に活躍した絵師・堀江友聲(ほりえゆうせい)、夏には日本画家・小倉遊亀(おぐらゆき)と院展の画家たちの展覧会を開催します。そして秋には、メインの記念展として「黄昏の絵画たち」を開催します。これは、夕方の風景を表現したヨーロッパと日本の絵画作品を一堂にご覧いただける展覧会です。日本の夕陽百選にも選ばれている宍道湖の美しい夕日に触発された、島根ならではの企画です。
知事:それは楽しみですね。
長谷川:県立美術館は収蔵品も充実していて、2階のコレクション展示室では、頻繁に作品を入れ替えて紹介しています。絵画では、「水」をテーマに収集した優品が多くあります。また、写真は日本を代表する写真家の塩谷定好(しおたにていこう)、植田正治(うえだしょうじ)、奈良原一高(ならはらいっこう)などの作品が多数あり、日本でも有数の充実したコレクションとなっています。企画展だけでなく、是非、コレクションもご覧いただきたいですね。
県立2美術館学芸員の活発な交流
知事:石見美術館も時々訪れますが、あちらも中央に広場があってゆったりとし、落ち着いて鑑賞できます。
長谷川:島根には東西に県立美術館がありますが、その学芸員同士の交流が近年、活発になっています。昨年度、津和野町出身の画家・喜多村知(きたむらさとる)の展覧会を両館で初めて共同企画し、巡回展として開催しました。両館の学芸員による会議も毎年開催していて、それぞれの展覧会の評価もしながら、「あの展覧会を自分たちもやりたい」などの声が自然と出ています。
知事:石見美術館は、劇場を併設していることもあり幅広い活動ができる環境にありますね。
長谷川:美術館にとどまらず、お寺を会場に音楽パフォーマンスと中世の食事を合わせて楽しむというユニークなイベントもやっています。
百年先も信頼される美術館に
知事:県立美術館は20周年を迎えますが、館長は常々「まだ若い美術館です」とおっしゃっています。これからどのような美術館を目指していくべきでしょうか。
長谷川:ミュージアム施設は100年、200年先が大事です。例えば「100年先はこうありたい」という目標を持って、作品ガイドであったり受付での対応であったり、スタッフ全員が毎日の仕事をきっちりとすることが大切です。また、収蔵する作品の管理や研究、教育普及活動等も含めて信頼される美術館になることが大事です。そうした積み重ねが重要な作品の貸し借りや、貴重なコレクションの寄贈や寄託につながり、美術館活動が豊かになります。
知事:私は、プライベートでもたびたび県立美術館を訪れますが、企画展や館内の運営など、館全体がとても居心地よく感じます。しかし、美術館をまだよく知らない方もおられるので、そういう方々や子どもたちにも関心を持ってもらえるように、石見美術館ともますます連携を深めながら、さらなる工夫により、一層魅力的な美術館になることを期待しています。
長谷川三郎館長(右)と溝口善兵衛知事
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