みなさんの命を守りたい!
島根県立中央病院高度救命救急センター
山陰で唯一、高度救命救急センターの指定を受けている島根県立中央病院。ドクターヘリを活用して離島や中山間地域など県全域の救急医療に対応しながら、高度な救命医療を必要とする患者を24時間体制で受け入れ、県民の命と暮らしを守っています。
隠岐からの要請でドクターヘリが飛び立ち、受け入れ準備を始めた中央病院の救急外来に、雲南消防本部からも救急患者の受入要請が立て続けに2件舞い込みました。既に処置ベッドには救急搬送されてきた患者が2人、一般外来を受診中に不調を訴えた患者が1人。救急スタッフの動きは、にわかに慌ただしくなりました。
「病院ですよ。聞こえますか。何をしていたか、覚えてる?」。看護師が大きな声で呼びかける傍らで、搬送された患者には心電図や血圧などのモニターが手際よくセットされていきます。
ベッドは緊急度や重症度で配置が決まっています。可動式ベッドのまま別の位置に移動される患者、検査のためエックス線撮影に向かう患者など、室内の様子は刻々と変化。「救急隊員やドクターヘリからも情報を得て、いま誰の治療を優先すべきか常に判断し、ベッドの変更や検査の順番を決めています」と山本真理子副看護師長。最も優先度の高いベッドは、救急車の到着に備えて整えられました。
救急外来に搬送された患者の初期治療
生命をつなぐ“最後の砦”
島根県立中央病院の救急外来を受診する患者は年間約2万2千人です。そのうち、ただちに高度な治療が必要な患者は3割弱。ドクターヘリで迅速かつ広域の救命救急にも当たる佐藤弘樹医師は「当院は生命をつなぐ“最後の砦”。患者の情報や時間が限られるなかで、救える命を救うことが、地域貢献につながっていると自負しています」と話します。
中でも、指肢切断の場合は再接着手術を数時間内に行わなければなりません。高度救命救急センターの役割の一つで「形成外科分野でも特殊な技術が必要で、対応できる病院は限られています。手術や病棟の優先的な受け入れなど院内連携も不可欠です」と形成外科の岡本仁医師。24時間体制で救急患者を受け入れるため、各科の専門医や診療放射線技師、生命維持管理装置などの医療機器を扱う臨床工学技士による連携体制が、整えられています。
退院後をイメージしてサポート
「命にかかわることを最優先にするのはもちろんですが、自宅に戻った患者がどう生活するのか常にイメージして方針を立て、初期治療に当たっています」と救命救急科の金井克樹医師。病気や事故に突然見舞われた患者やその家族は、後遺症などのために受診前と同じ生活ができないケースもあるためです。
島根県立中央病院では「入退院支援・地域医療連携センター」を開設し、医療ソーシャルワーカーと退院調整看護師が患者をサポートしています。病気やけがなどから生じる患者のさまざまな生活上の問題の解決を支援するもので、医療ソーシャルワーカーの武田和昭さんは「患者や家族の思いに耳を傾け、一緒に問題を整理しながら、安心して治療後の生活が送れるようにサポートしています」と話します。
本年度からは退院前後の訪問指導を本格化させ、医療福祉サービスの担当者らとも連携をより深め、患者に寄り添った医療サービスのさらなる充実を図っています。
ドクターヘリで、緊急性の高い遠方の患者を受け入れ
救命救急科の医師や看護師らが、患者の情報共有や治療の検証を行うカンファレンス
退院に向け、必要な医療福祉サービスの情報提供や相談に応じる退院前面談
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