公民館を拠点に住民が主役の地域づくり
地域のさまざまな課題の解決には、住民が一丸となって取り組んでいくことが大切です。県内では、公民館や公民館の機能を有する施設(コミュニティセンター、交流センター等)が住民同士をつなぐ拠点となり、地域への関心や愛着を育みながら、住民が主役となった地域づくりが行われています。
コミセンにカフェ開設
出雲市東林木町・西林木町からなる鳶巣(とびす)地区では、鳶巣コミュニティセンターを一部改装し、平成28年10月に「コミセンカフェ・ハナミズキ」をオープンさせました。普段は自由に利用できるようにし、月1回の営業日やコミセンのイベント時は、ドリップコーヒーと手作りスイーツを提供しています。
カフェの改装工事や運営は住民有志が担っており、代表の園山悦子さんは「人づてに協力を仰ぐうちに、大工やデザイナー、お菓子作りの名人など、地区に暮らすいろんな才能を持った人とつながりができました。今はその方たちを講師に、カフェで寄せ植え教室や男性向けの料理教室などを開催しています」と話します。
隣接する幼稚園の送迎に来た保護者や、サークル仲間が交流の場として活用する「コミセンカフェ・ハナミズキ」
若い世代をつなぐ
鳶巣地区では地域活動の担い手が高年齢化する一方、子育て世代は生活スタイルの違いなどから交流が深まりにくく、地域づくりへの関心が高まらない点が課題でした。
鳶巣コミュニティセンターのチーフマネジャー山崎順子さんは「地区には喫茶店など気軽に立ち寄れる場所がなかったので、住民同士をつなぐ交流の場としてカフェを発案しました。園山さんら地域活動に協力的な方々に声を掛けたところ、その担い手になってもらうことができました」と話します。園山さんも「地区に知り合いが増え、カフェの運営が楽しい」といい、活動にやりがいを感じています。
コミセンの隣には幼稚園があり、送迎の合間にカフェスペースでくつろぐ保護者が増加。新たな住民のネットワークができ、育児サークルも発足しました。
未来のために子どもを育む
また、コミセン内に放課後子ども教室「ゆめ広場」を開設し、スポーツや俳句作り、野外観察を行っています。中学生を対象にそば打ちなどを行う「ふるさと体験活動」もあり、地域ぐるみで子どもたちの教育にも力を注いでいます。
地区の夏まつりでは盆踊りの踊り手を募集し、近くにある島根県立大学の学生など、これまでかかわりの少なかった住民を呼び込みました。その結果、世代間交流が進み、夏まつりの企画・運営に携わる若い世代が増え、地域のにぎわいが少しずつ創出されています。
「大人が生き生きと地域社会に参画する姿を通して、『鳶巣っていいよね』という思いを子どもたちにも伝えたい。そのためにも、地域づくりを支える人づくりに、今後もコミセンで取り組んでいきます」と山崎さんは話します。
大学生らが運営に参画する「夏の鳶巣まつり」
「ゆめ広場」で児童が取り組んだ花壇づくり
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