小さな拠点づくり
県土の約90%を占める中山間地域では、住民が皆で知恵を出し合い、計画をつくって地域の課題解決に取り組む「小さな拠点づくり」が進められています。
定住促進目指し産業創出へ・いちじくの里多伎きらりプロジェクト
(出雲市多伎地区)
来場者でにぎわう「多伎こみゴハン&マルシェ」
住民同士が知り合える場を
出雲市多伎町の特産振興施設「多伎いちじく館」で開かれた「多伎こみゴハン&マルシェ」。サザエの壺焼きやイチジク入りフルーツカレー、塩むすびなど地域の特産品が屋台に並び、ベビーカーを押す夫婦や家族連れに商品を売り込む声が響きました。
催しは、地域の魅力発信と交流拡大を狙い、平成27年から続けられています。主催した住民グループ「いちじくの里多伎きらりプロジェクト」の鳥屋尾晋代表は「多伎地区にどんな人が暮らし、何があるのか、互いに知り合える場になることを目指しています。今年で3回目になり、出展者にも来場者にも、若い人の姿が増えました」と話し、手応えを感じています。
危機感の薄さが課題
出雲市多伎地区では、平成22年に住民有志が「多伎まちづくりを語る集い」を開催し、地域の課題や要望の洗い出しに着手。平成26年に「いちじくの里多伎きらりプロジェクト」を設立しました。世代を超えた住民を巻き込みながら、地域おこし協力隊も加えて話し合いを重ね、特産イチジクを含めた1次産業の後継者対策や6次産業化、コミュニティービジネス創出などを進めています。
「何もしなければ将来的な人口減少は避けられません。定住者の働く場を確保するため、産業振興が一番の目標です。今は生活機能が保たれているので、住民の危機感が薄いのも課題です」と鳥屋尾会長。多伎地区の暮らしを伝える情報誌の発行、地域おこしを考える連続講座なども手掛け、住民参加を促しながら地域再生への関心を高めています。
特産ヤマモモで商品開発
プロジェクトからは昨年、地元産ヤマモモの活用に取り組む任意団体「たききひめ」が誕生しました。Iターン者の和田守佳子さんが中心となり、県・市の支援を受けながら、従来からあったシロップ煮の風味やパッケージデザインを改良。やまもも茶葉は島根大学での成分分析を基に、他の茶葉とのブレンドをやめて商品価値を高め、地元カフェなどで販売を始めました。
地域住民が立ち上がり、新たに芽吹いた産業が、徐々に存在感を増しています。
多伎地区の特徴
●2017年4月時点人口3,610人、高齢化率39%
(2047年推計人口2,235人、高齢化率43%)
※2012年と2017年の年代別の人口変動が今後も続いた場合の推計
●買い物などの基本的な生活機能は確保されている
●将来的な人口減少や農地荒廃が課題
↓
住民有志が「いちじくの里多伎きらりプロジェクト」を結成。未来も笑顔多き町を目指し、次の取り組みを推進
●地域産業の振興
●交流・定住の促進
●魅力の情報発信
ヤマモモ商品を販売する和田守佳子さん
地域おこしを考える連続講座
●問い合わせ先
しまね暮らし推進課(TEL:0852・22・5065)
お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp