しまね通vol.3
各分野のプロフェッショナルが、ゆかりの深い島根について語ります。
映画評論家・しまね映画塾応援団・北川れい子さん
きたがわ・れいこ
国家公務員の傍ら、「映画芸術」編集長に知遇を得たことから映画批評を始め、退職後に専業とする。年間500~600作品の映画を観賞して「キネマ旬報」などに連載を持ち、文化庁芸術選奨の選考委員(映画部門)などを務めた。本年度に第26回を迎えた「しまね映画祭」では、開催初期からトークゲストを務めている。東京都在住。
映画塾の「共育力」に感銘
毎年秋に「しまね映画祭」のゲストに呼んでいただき、島根とは四半世紀のお付き合い。映画祭の企画「しまね映画塾」には、応援団を名乗って参加しています。
これは一般応募者が10人弱のチームをつくり、2泊3日の合宿で短編映画を撮影するものです。映画って監督やカメラマン、俳優など、皆が一つにならなければ完成しません。塾生が役割に責任を持ち、ときに意見を戦わせ、「よい作品にしよう」と同じ目標に向けて支え合ううちに絆で結ばれる様子には、完成した作品に劣らない感動があります。私も寝食を共にして撮影を見守りますが、映画づくりが互いに学び、成長させ合うまたとない「共育」の場になっていると毎回感銘を受けています。
映画塾の運営には約100人もの地元スタッフやボランティアが携わり、島根の底力を感じます。あるときは自宅をロケに提供して、初対面の人に留守を預けて出掛けてしまった方もいました。信頼で結ばれたおおらかな土地柄も、塾生同士の信頼感を育み、共育力を高めているように感じます。
文化の蓄積は豊かな財産
映画は、なくても死ぬわけじゃありません。でも映画を鑑賞したり撮ったりできる遊び心や余裕、映画を通して心がよみがえるような体験をすることで、人生が豊かになります。
文化も同じ。島根にある歴史文化の蓄積は豊かさの表れであり、財産です。日本の原風景を感じる場所は全国にありますが、島根は格別ですね。映画祭のおかげで県内各所を訪れ、海上交通の要衝だった往時の風情が漂う美保関の青石畳通りや、石見銀山の繁栄を伝える温泉津、各地にある神楽など、地域の宝が人々の暮らしの中で当たり前のように受け継がれていることに驚いています。
心の渋滞から開放される
空が広く、山並みと雲が連なるゆったりした景色も、島根の魅力の一つです。一歩踏み入れた瞬間に“心の渋滞”から開放されたようにほっとします。
他人にこびず、押しつけがましくなく、自然体で受け入れてくれる島根の人も大好き。今では「島根は心の本籍地」と自称するほどファンになっています。
(談)
県内各地で開催される「しまね映画祭」
しまね映画塾の作品発表会
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