メード・イン・しまねの底力Vol.8
自動車ベーン(守谷〔もりや〕刃物研究所)
ベーンを生産する機械
守谷刃物研究所のベーン
特殊鋼加工で世界企業へ
特殊鋼を使った精密部品を製造する安来市恵乃島町の守谷刃物研究所。同社を代表する製品が、自動車の油圧ポンプに使われる部品「ベーン」だ。国内外の自動車関連メーカーに供給し、世界シェアは25%を誇る。
パワーステアリングは、エンジンの回転で生まれた力で油圧を発生させ、ハンドルを軽くする仕組み。ポンプ内でオイルを圧縮する長さ1センチ、幅8ミリ、厚さ1.5ミリほどの羽根がベーンで、車1台当たり10〜11枚使う。ベーンは常に溝の中を滑りながら動くため耐久性が最重要視されるとともに、1万分の1ミリ単位の精密な加工技術が求められる。
同社は、耐久性に優れた日立金属(株)の高級特殊鋼「ヤスキハガネ」の加工ノウハウを生かし、約40年前からベーンを生産。徹底した品質管理で取引先を広げ、生産量は月800万〜1000万枚で国内最大を誇る。
近年、パワーステアリングは油圧式から、ベーンを使わない電動式に代わりつつあるが、車載用ベーンとして無段変速機(CVT)や可変バルブタイミング機構(VVT)など用途は拡大している。
技術生かし新分野へ挑戦
同社のものづくりは車だけにとどまらない。「H2Aロケット」の切り離し用カッターや人工関節、造幣局の硬貨製造パンチ、ボートレース用ボートのモーターシャフトなど、確実な動作が求められる部品に「ヤスキハガネ」を用いた同社の製品が使われる。県内の特殊鋼関連企業7社でつくる航空機産業分野の共同受注体「SUSANOO(スサノオ)」にも参加した。守谷光広(もりやみつひろ)社長は「ヤスキハガネとともに新分野に挑戦し続ける」と力強く語る。
『株式会社/守谷刃物研究所』
本社/安来市恵乃島町113ー1
TEL:0854・23・1311
http://www.moriyacl.co.jp/(外部サイトへジャンプします)
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