島根を創る人をふやす
事業承継をお手伝いします!
「そろそろ後継者に継がせたいけど、どうすればいい?」「後継者がいないから廃業しかない?」「事業を誰かに譲りたい」。このような思いを持った経営者を支援し、将来の方向性を一緒に考えます。
また、事業承継を契機とした新しい技術や商品開発などの取組も支援します。
後継者が決まっている企業は約2割
事業承継には親族内承継、従業員など親族以外の第三者承継、企業の合併・買収(M&A)があります。
島根県内にある中小企業の経営者4055人から回答を得た事業承継に関するアンケートでは、後継者が決まっているとした企業は約2割にとどまりました。さらに4割を超える企業は、廃業を予定していることが分かりました。
経営者の高齢化や後継者不在による休業・廃業を回避し、技術を受け継いでいくためには、早い段階で事業承継に向けた計画を立てることが大切です。しかし、事業者単独での後継者確保は限界がある上に、事業承継はすぐに決めてすぐにできるものではなく、スムーズに承継されていないのが現状です。
県内各地には16人の事業承継推進員・ブロックコーディネーターが配置されています。事業継続を図るためのアドバイスや事業承継計画の策定支援、計画実行のフォローなどさまざまな相談に無料で対応します。
大田商工会議所「1社1社に寄り添う」
大田商工会議所(大田市)では、事業承継推進員を配置し、企業に寄り添った取組を進めています。
事業承継推進員・稗田良則さん
金融機関出身の稗田良則さんが事業承継推進員になったのは2年前。培った財務などの知識を生かし、飛び込みで地元企業に出向き、相談に乗っています。そこで得た情報は、すぐに大田商工会議所の経営指導員と共有します。同会議所が持つ豊富な企業情報を基に、第三者承継を含めた最適な経営改善方法を考えるためです。
「地元にはすばらしい企業がたくさんある。事業がうまく受け継がれていくよう役に立ちたい」。稗田さんは訪問を繰り返すことで信頼を築き、その企業に適したアドバイスをしています。
大田市の事業承継企業紹介
廃業予定だった事業所を承継・異分野にも進出
さんべ食品工業株式会社(食品製造業)
さんべ食品工業では、サイダーなどの清涼飲料水や、こんにゃくの製造を手掛けています。ゆくゆくは会社を継ごうとUターンした勝部総一郎さん。自社の承継を稗田さんたちに相談する中で工場の移転を考えていた時、地元の菓子製造小売が、後継者不在で廃業することを聞きました。「大田の人たちに長く親しまれてきた菓子だった。このままなくなってしまうのはもったいない」と、空き工場とともに菓子製造の技術も受け継ごうと思いを固めました。
事業承継推進員の稗田良則さん(左)に商品の相談をする勝部総一郎さん
この承継には稗田さんの存在が大きかったと言います。「自分一人では思い至らなかった。情報などを教えてもらい、背中を押してもらうことで踏み出すことができた」と振り返ります。
勝部さんは今後、事業承継を契機とした新たな商品開発も展開していく予定です。
従業員が事業を承継
有限会社桜木機工(機械部品、工具加工業)
「悩んだが、先々代や先代の社長の熱心な作業姿勢を目の当たりにし、ものづくりの深さにはまった」。昨年、代替わりした桜木機工。従業員だった月森渉社長が後を継ぎました。
同社が波根地区工業団地へ進出したのは平成23年。実はその時から月森社長の経営トップへの就任準備は始まっていました。先代社長は、10年かけて月森さんを育て、会社の体制を整えていきました。そのサポートをしたのが、稗田さんをはじめ、大田商工会議所の職員たちでした。
月森社長は「長く働く年長者もついて来てくれている」と言い、先代たちが築いたものづくりへの情熱を全社員が受け継ぎます。
先代の桜木禎男さん(左)と加工部品を確認する月森渉社長
●問い合わせ先
中小企業課(TEL:0852・22・5288)
モデル地区で取組が始まりました
県土の約90%を占める中山間地域の公民館エリアでは、住民同士が知恵を出し合い、地域の課題解決に取り組む「小さな拠点づくり」が進められています。しかし、人口減少と高齢化によって、単独の公民館エリアでは取組が困難になることも考えられます。そこで複数のエリアが連携し、買い物支援や移動手段の確保など、将来にわたって住み慣れた場所で安心して暮らせる仕組みづくりが必要です。
県は、複数の公民館エリアが連携して「小さな拠点づくり」に取り組むモデル地区として、東比田・比田(安来市)、長谷・市山・川戸・谷住郷・川越(江津市)、阿須那・口羽(邑南町)、久利・大屋(大田市)の4地区を選定し、重点的に支援しています。
タッグを組んでビジョンを実現!
東比田・比田地区(安来市)
安来市最南端の中山間地域にある東比田・比田地区では、人口減少によって、商店の廃業など日常生活に必要な機能が失われる状況にありました。危機感をもった住民たちは、平成28年3月、88項目のアイデアからなる「比田地域ビジョン」を策定し、その実現に向けて、えーひだカンパニー株式会社を設立。特産品販売や農作業受託などであげた利益を、定住促進や福祉事業に活用しながら地域づくりを進めてきました。
そして、今後も続く厳しい状況に立ち向かうため、今一度、助け合いの地域づくりを推進しようと、県のモデル地区推進事業に応募。選定を受け、昨年にはえーひだカンパニーをはじめとした地域団体や地域の住民で組織する「比田地区小さな拠点づくり推進協議会」を設立し、改めて住民同士で話し合いながら取組に着手しました。
えーひだカンパニーの社長も務める川上義則会長は「地域づくりはカンパニーだけではできない。そこに住んでいる人が中心にならないといけない」と強調します。
現在、東比田地区を対象として運行するデマンド交通の比田全域への拡大や移動販売による買い物支援、防災士の育成などに取り組んでいます。
川上会長は「5年10年先、もっと人口が減っていく前に支え合う仕組みを創っていく必要がある。今いる人たちが知恵を出し合い、地域づくりに取り組んでいきたい」と、強い意志で地域の未来を見据えます。
高齢者の買い物を支援する取組(2019年7月)
東比田・比田地区の取組
事業の推進体制
「小さな拠点づくり」をサポートしています
県では、「小さな拠点づくり」に向けて、市町村の職員と連携して住民の皆さまをサポートしています。
●問い合わせ先
中山間地域・離島振興課(TEL:0852・22・5065)
活用しよう「しまねの郷づくり応援サイト」
各地区の人口推計などがご覧いただけます!
「しまねの郷づくり応援サイト」で検索
子どもたちの「やりたい」を地域でかなえる/かわもとあそLab(ラボ)
子どもたちの主体的な活動を地域の大人が支え、世代を超えたつながりが生まれる場づくりに4つの市町がモデル的に取り組んでいます。今回は川本町の取組を紹介します。
「かわもとあそLab(ラボ)」は、島根中央高校の生徒が中心となり、地域と関わりながら活動するグループです。活動の拠点は、町の空き店舗を活用してオープンしたコミュニティカフェ「Orange(オレンジ)」。高校生は「Orange」の商品開発や運営に挑戦したり、ベトナム人技能実習生のための日本語教室に関わったりしています。
活動の場は野外にも。「Orange」でお年寄りと交流している時、耕作放棄地があることを聞き、その畑で野菜作りに挑戦。草刈りから耕耘(うん)、植え付け、獣害対策の柵の設置などの作業をする際も、地域のいろいろな人に教わりながら活動しています。
「あそLab」は自分の得意なこと、やりたいことを生かして、地域の大人と関わりながら学び、活躍する場に。参加した高校生は「あそLabの活動や地域の人との交流を通して前向きになった」と感じたり、「Labではいろんな話を聞いてもらえ、否定されない」と自分を認めてもらえる安心感を得たりしています。
また、活動をサポートする大人が増えるとともに、広まりつつあるのは「地域づくりには、まずひとづくりが必要」との意識です。今後は小中学生を巻き込むことで、小中学生には高校生の姿に憧れさまざまなことに挑戦する気持ちが生まれ、それを見守る大人たちには地域に貢献しようとする意識が醸成されることを目指します。
子どもたちが地域の人とつながりながら成長することで、卒業後も川本町とつながり続け、地域社会の一員として活躍することへの期待感が高まりつつあります。
「あそLabファーム」で野菜作りをする島根中央高校の生徒たち
「Orange」店主として活動を支える/大村信望(のぶみ)さん
「あそLab」の原点は大学在学中の経験。東日本大震災での被災者との交流を通して、ひとづくりからまちを考える必要があると考えました。地域おこし協力隊員として川本町に移住してからは、まちづくりを通した学びによって中高生を育てる活動をしています。「Orange」は高校生の地域活動を支えたいという思いから立ち上げました。「あそLab」の活動で地域に関わる仕事をしたいという生徒も出ており、うれしさとともに頼もしさを感じています。
●問い合わせ先
社会教育課(TEL:0852・22・5428)
お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp