ワンシーンVol.1・出雲市大社町
日が沈む聖地出雲
砂浜に寄せる波が、水鏡に映る茜(あかね)空を静かに揺らす。水平線を望むと、今まさに日没の時。太陽の輝きは一層まばゆさを増し、雲ひとつない空は朱に染まっていく。
日本遺産「日が沈む聖地出雲」に認定された稲佐の浜を含む一帯では古来、日の入りは神聖なものとされてきた。近くに鎮座する出雲大社は「天日隅宮(あめのひすみのみや)」、日御碕神社は「日沈宮(ひしずみのみや)」と、それぞれ夕日にちなんだ名を併せ持つのも畏敬の念の表れか。
一瞬ごとに変化する夕日が、人々の心を打つのはいつの時代も変わらない。やがて海の向こうに日が沈むと、浜辺で遊ぶ親子のシルエットは夕闇にゆっくりと溶けていった。
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