力強い地域産業づくり
金属素材の中心・島根へ
世界トップクラスの金属材料の研究拠点を目指し、島根大学に設置されている「次世代たたら協創センター(NEXTA〔ネクスタ〕)」。この春、「人と技術を融合させる」新たな研究棟が完成しました。研究者と県内企業との協創により、技術革新を生み出しながら、グローバル競争力を持つ人材を育成します。
NEXTAは、島根大学と県内の特殊鋼企業がそれぞれ蓄積した知見を相乗的に発展させ、新材料の研究開発を行うために設置されました。
新しく完成した研究棟は、金属素材の世界的な研究拠点のシンボルとなる施設です。1階は試験から観察、解析まで一貫した研究が行えるように、最先端の特色ある実験機器を設置。2階には大学や企業の研究者と学生が、活発に交流できるようコミュニケーションスペースを設け、3階には機密性を担保しつつもオープンな企業研究スペースと実験環境を確保しました。
たたら製鉄の伝統が息づく地域の力を結集し、国内外の研究機関と連携しながら「先端金属素材の中心・島根」の創出を目指していきます。
NEXTAの研究者
好きなことを追求してほしい
ロジャー・リード
センター長
(オックスフォード大学教授)
電気自動車や航空エンジンに必要な次世代材料製造の拠点にしたいと考えています。そのためには世界の誰にも作ることができない製品を作っていくことを意識すべきで、このために大切なことは、未来を担う若者の教育です。われわれ教育者が若者の持つそれぞれの個性や能力を理解し、可能性を引き出させるよう手を差し伸べれば、彼らは成功できます。勇気づけ挑戦させることが一番重要であり、日本の若者には決して諦めない心を持ってほしいです。どこの出身であるとか、どんな境遇かに関わらず、自分の夢にたどり着くことはできます。一生懸命に勉強し、働けば素晴らしい結果を得られます。自分の好きなことを追求してください。
関心のあるテーマがきっとある
平山尚美(ひらやまなおみ)准教授
(第一原理計算、分子動力学計算)
省エネ材料(アモルファス金属)を研究しています。将来は、長距離を飛行できるドローン用モーターとして、中山間地域の輸送でも活躍が期待できます。NEXTAは、理系のさまざまな分野を横断して学ぶことができ、高校生にとっても関心のあるテーマがあるはずです。小中学生の皆さんは、読書や山登りでもいいので何か楽しいものを見つけてください。楽しいことは大学や仕事を選ぶときに財産となります。NEXTAでは、子どもが楽しめるイベントもする予定なので、ぜひ参加してください。
国内有数の研究環境で学ぶ
若林英輝(わかばやしひでき)助教
(耐熱合金、金属組織学、材料強度学)
ジェットエンジンに使用される材料を研究しています。NEXTAは、島根にいながら国内外の大学や研究機関と共同研究できる上、オックスフォード大学へ留学するチャンスもあります。他大学と比べても恵まれた環境が整っています。NEXTAで学んだ学生が、未来の材料分野をリードする人材となり、島根を軸にして世界で活躍する研究者、技術者になってほしいです。学生の皆さんと同年代なので、気軽に話しかけてもらいたいです。
●問い合わせ先
産業振興課(TEL:0852・22・5289)
頑張るものづくり企業人!
安来、松江両市内の特殊鋼関連6社でつくる共同受注体「SUSANOO(スサノオ)」。世界と競える技術力を磨くSUSANOO企業を紹介します。
SUSANOO・・・・
機械加工や金属熱処理、材料試験など地元企業のもつ多様な技術を結集し、取引拡大につなげる狙いで平成27年に発足。参画企業は株式会社キグチテクニクス(安来市)、株式会社ナカサ(同)、秦精工株式会社(同)、株式会社ファデコ(同)、馬潟工業有限会社(松江市)、株式会社守谷刃物研究所(安来市)の6社。
秦精工(安来市)
機械加工課CAD・CAMグループ
富田雅之(とだまさゆき)グループ長
特殊鋼の精密加工を得意とする秦精工は、令和2年に航空機部品専用工場を稼働させ、大型3次元測定機などの設備を導入しました。
富田さんはコンピューターで製品を設計し、製造プロセスをプログラムするCAD(キャド)・CAM(キャム)を担当。「他社にはできない、削りにくく加工が難しい素材を使った製品が完成したときは嬉しく、やりがいを感じる。腕を磨いて、どんなモデルでも作れるようになりたい」とはりきります。
グループ長でもある富田さんは、島根大学の次世代たたら協創センターで学ぶ学生にも期待。「ものづくりは楽しいという気持ちを持ちながら、勉強してほしい」と未来の担い手に呼び掛け、一緒に働ける日を楽しみにしています。
馬潟工業(松江市)
加工品課・秦純一(はたじゅんいち)さん
航空機、エネルギー関連部品の素材加工などを手掛ける馬潟工業。平成29年の工場新設を機に航空エンジン大手との取引が始まり、航空機に求められる高い品質の確保に力を注ぎます。
秦さんは、機械加工のキャリアが30年を超えるベテラン。これまで培った技術を生かしながら、航空機産業参入のために導入された先進の加工機も積極的に勉強しています。「メーカーに相談したり、研修に参加し学んだりしている」と新しい技術の習得に励む日々です。
次世代たたら協創センターがあることで、地元企業は島根にいながら最先端の研究に触れることができるようになります。秦さんは「いろんな情報を仕入れて生かしていきたい」と連携に期待を寄せています。
●問い合わせ先
産業振興課(TEL:0852・22・6740)
ITを活用して時代を切り開くビジネスを島根から生み出そう!
学んだスキルを生かしたビジネスプランの発表会
島根県内には多くのIT企業があり、今後も成長が見込まれる産業です。県では、若手人材の育成を通じて、新規事業の立ち上げや、デジタル技術でビジネスを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進などを後押ししています。
挑戦への第一歩を島根県が支援
ITおよびデジタル技術は、これまで以上に幅広い産業や分野で活用されると予想され、県内IT企業ではITスキルだけではなく、ビジネス領域でのスキルも求められています。
そこで県は、ITを活用した新たなビジネスを生み出すための実践講座「アクセるしまね」を令和2年7月から12月にかけ開催。県内IT企業の若手就業者や県内ソフト系IT企業への就職が期待できる学生、生徒が参加しました。
10~30代の参加者は、ビジネスとITの両方のスキル習得を目指し、顧客分析やマーケティングなどの手法を学習。昨年12月の最終発表会では、教わった内容を生かしたビジネスプランを披露しました。
県は今後も、県内のIT産業を盛り上げるために挑戦する若い方たちを支援していきます。
車座になり講評を聞く受講生
「アクセるしまね」受講生の感想
小山友希(こやまゆうき)さん
(テクノプロジェクト)
電子カルテのような社会に役立つシステムを作りたくて参加しました。内容を具体化しながら一緒に考えてもらうなどのサポートがあり、ビジネスプランの形にまとめられました。さらに案を練り、社内で企画提案しようと思います。
畑涼介(はたりょうすけ)さん
(e-Front)
技術者でありながらも、新しい仕事を生み出せるエンジニアを目指しています。提案資料や収支計画書などを作成しながら、頭に浮かんだアイデアを形に表し、人に伝えていくスキルが身についたことが大きな収穫になりました。
●問い合わせ先
産業振興課(TEL:0852・22・6220)
お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp