松江城山のモダニズム/島根県立図書館建築50周年
島根県立図書館は今年10月、建築50周年を迎えます。日本を代表する建築家の故・菊竹清訓氏(1928~2011)の設計で昭和43年に誕生。モダンな外観と合理的な図書館機能を兼ね備え、現在も多くの方に利用されています。
明治6年に開設され、国内で最も古い公立図書館の一つである松江書籍縦覧所。これを前身とする県立図書館は、昭和43年に松江城山公園内から、旧松江藩の薬草園跡地だった現地へ移転新築されました。
設計者の菊竹氏は、自邸「スカイハウス」や大阪万博のエキスポタワーのほか、県内でも県立武道館や県立美術館、田部美術館などを手掛けたことで知られています。県立図書館の設計に際しては、利用者の調べ物を手伝うレファレンスサービスがこれからの図書館で重要になることを見越し、資料室をL字型にして要の部分に司書を配置する基本形を考案するなど、先進的な設計を採用。L字型の資料室が松江城の堀川に沿って連なる雁行型の外観は、桂離宮書院のような伝統建築をイメージさせ、緑豊かな松江城山との調和が図られています。
昭和58年には図書館北側に地下書庫のある新館が増築され、50年前に約10万4千冊だった蔵書は現在約80万2千冊に増えました。ウェブ予約システムや遠隔地利用者図書貸し出しサービスの導入、学校図書館と連携した図書館活用教育の推進なども行い、より一層の機能充実に取り組んでいます。
県立図書館今昔
玄関ホール
50年前
現在
大屋根の骨組みがあらわになった吹き抜けのロビーは、県立図書館の中心的空間です。建築当初から新聞閲覧や展示コーナーとして活用され、現在は中高生向けの図書なども置かれています。2階へ通じるメーン階段は、薄く無駄が徹底的にそぎ落とされた段床が鉄筋コンクリートらしからぬ軽やかな印象を与え、階段裏の抽象彫刻のような造形とともに必見です。
ブラウジングコーナー
50年前
現在
2階中央カウンター前は、来館者が休憩したり雑誌を閲覧したりするくつろぎのスペースとして造られ、幾何学的に区切られた採光窓がモダンな印象を与えます。現在は写真右のエリアに新館が増築され、一般資料室の一部になっています。
建築50周年記念事業
- 建築50周年記念講演会「島根県立図書館と私~建築50周年にあたって~」(仮)
- 夜間の怪談朗読会「松江の現代の怪談」
- 建築50周年建物見学&バックヤードツアー
- こどものつどい特別版「科学であそぼう!図書館わくわく実験室~TOY POP科学イベント」
- リレー文化講座(拡大版)
- 企画展示「50周年回顧展」
●問い合わせ先
県立図書館(TEL:0852・22・5733)
お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp