島根の自然からエネルギーが生まれる再生可能エネルギーで地域活性化
平成23年の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故以降、エネルギー全体に対する関心が高まっています。特に石油などの化石燃料と違い、資源が枯渇する恐れがほとんどなく、環境への負荷が少ない再生可能エネルギーへの関心が高まっています。
地域の活性化に向けて
県では平成11年に「島根県地域新エネルギー導入促進計画」を策定して、太陽光や風力、木質バイオマスなど再生可能エネルギーの導入に取り組んできました。平成27年2月に「島根県再生可能エネルギーの導入の推進に関する条例」を制定。同年9月には「再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に関する基本計画」を策定し、取り組みを推進しています。
今、県内では人口減少や少子高齢化、若者の流出が進み、地域の活力の低下が危惧されています。そのため、この基本計画では、単に再生可能エネルギーの導入量を増やすことだけではなく、「島根の地域資源を活用して、地域振興や産業振興などを図り、地域の活性化につなげる」ことを目指しています。
木質バイオマス発電
木質バイオマス発電は、森林を伐採して製材・合板用などの木材を運び出した後に残る、枝葉や曲がった材などの未利用木材等をチップに加工して燃料に使い、発電します。
木質チップを燃やしても、樹木の成長過程で吸収した二酸化炭素を放出するだけなので、長い期間で見れば大気中の濃度は増えないと考えられています。また、未利用木材が利益を生むことで林業の活性化につながります。
県内では現在、松江市と江津市で木質バイオマス発電所が稼働しています。江津市の発電所へ供給している木質チップ製造の播磨屋(はりまや)林業株式会社〔江津市桜江町〕は、県西部から伐り出した木材をチップに加工し、供給しています。同社の尾前豊(おまえゆたか)社長は「今後、さらにチップの供給量を増やすとともに、作業員を増やしていきたい」と述べ、現場作業員の数を約30人から約60人へと倍増したいと考えています。
木質バイオマス発電所(江津市)
県西部から集められた未利用の木材
木材を細かく破砕したチップ
太陽光発電
雲南市大東町幡屋(はたや)地区の住民でつくる幡屋地区振興会は県のモデル事業を活用して太陽光発電に取り組んでいます。
社会福祉法人あおぞら福祉会と連携し、同法人が地区内で運営する障がい者支援センター「幡屋あおぞら」の屋根に太陽光パネル68枚を設置して、平成27年3月から発電を開始しました。
収入は主に、毎年11月に開催する文化祭の運営費用に充てることにしています。文化祭は地区最大のイベントで、住民同士の交流はもとより、幡屋あおぞらの利用者の作品展示や模擬店の出店もあり、住民と施設利用者の交流、障がいへの理解を深める場にもなっています。
同振興会主事の苅田好雄(かりたよしお)さんは「太陽光発電の収入で住民の交流促進、地域福祉の向上に役立てたい」と話します。
幡屋あおぞらの屋根に設置した太陽光パネル
マイクロ水力発電
マイクロ水力発電とは小さな川や農業用水路などで使う小規模な水力発電のことです。水量の豊富な農業用水路が多い県内の中山間地域は、発電した電気を鳥獣被害防止用の電気柵や街灯に活用するなどエネルギーの地産地消が実現できる可能性を秘めています。
県中山間地域研究センターでは平成24年度から、農業用水路での使用を想定した、安価で手軽に設置できるマイクロ水力発電機の開発を進めています。
最新の試作機は、持ち運びが容易で、用水路に置くだけで発電できます。導入費用は20万円以内が目標で、さらなるコスト削減を目指しています。同センター資源環境科の帯刀一美(たてわきかずみ)科長は「高低差のある用水路の多い中山間地域はマイクロ水力発電の適地なので、今後実証研究を進めながら、県内各地への普及に努めたい」と話しています。
マイクロ水力発電の試作機
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