Rubyで輝く島根のIT産業
新春知事対談
島根県知事溝口善兵衛
Rubyアソシエーション理事長まつもとゆきひろ
Rubyと島根のIT産業振興について語り合うまつもとゆきひろ理事長(右)と溝口善兵衛知事
島根県は、松江発のプログラミング言語「Ruby(ルビー)」を軸に、ソフトウエア系のIT(情報通信)産業の振興に力を入れています。
Rubyの普及とともに、Rubyの聖地・島根県への注目度も高まり、IT企業の県内進出が相次いでいます。
Rubyの開発者で「Rubyアソシエーション」のまつもとゆきひろ理事長と島根県の溝口善兵衛知事が、Rubyや島根のIT産業について語り合いました。
まつもとゆきひろ理事長
まつもとゆきひろ
米子市出身。筑波大卒。平成5年からRubyの開発を始め、平成7年に公開した。
平成9年にネットワーク応用通信研究所(松江市)のフェローとなり、松江市に転居。
現在は一般財団法人「Rubyアソシエーション」理事長や内閣総理大臣を本部長とするIT総合戦略本部の本部員、楽天技術研究所フェローなどを務める。
平成21年に松江市名誉市民。
溝口善兵衛知事
知事
Rubyは平成7年に公開されてことしで20年を迎えます。
Rubyは国際規格にも承認されて、年々、活用の幅が広がっていますね。
まつもと
Webサービスでの活用例が圧倒的に多いですね。
身近な例では、料理レシピサイト「クックパッド」や、グルメサイト「食べログ」などがあります。
最近ではコンピュータのデータを管理するデータセンターの保守プログラムにも使われ、大学ではデータ
解析などに使われています。
数年後には、自動販売機や家電製品にもRubyが組み込まれているかもしれません。
知事
県でもRubyを活用しています。
県のホームページは、Rubyで開発されたシステムで管理しています。
県立しまね海洋館アクアスでは、水槽のまわりに設置した魚の生態が検索できる端末などにRubyで開
発したシステムが使われています。
Rubyで開発されたシステムで管理する県のホームページ
IT産業振興を重点施策に
知事
県では、平成19年からRubyを軸に、IT産業の振興に力を入れています。
進出企業に対しては、事務所の賃貸料や出張にともなう航空運賃を助成するなど、手厚い支援策を行っています。
まつもと
IT業界において、島根県に対するイメージが大きく変わりました。
島根県や松江市のように、トップの判断でRubyの活用に力を入れている自治体は極めて珍しいです
ね。
溝口知事には、知事就任当初からRubyを評価し、支援していただきました。
県の支援の積み重ねが、今の県内のIT産業の勢いにつながっていると思います。
知事
昨年、東京の企業がRubyを使ったシステムの開発拠点を松江市内に開設しました。
Rubyの情報や人材が島根に集まっていることが進出の決め手でした。
島根にまつもとさんがいて、そして、Rubyがあることは、他地域にはない島根の大きなアピールポイントです。
次世代の技術者育成に注力
中高生対象のRuby体験教室
知事
県内のIT業界では技術者不足が課題です。
県では平成20年度以降、中高生を対象にRubyのプログラミングを体験する「Ruby体験教室」や、大学や高専、高校の学生が合宿形式でRubyを学ぶ「学生Ruby合宿」を定期的に開催して次世代の技術者育成に努めています。
まつもと
私は中学生のとき、父親がポケットコンピュータを買ったのをきっかけにプログラミングを始めました。
プログラムに少しでも興味のある若者に、プログラムに触れるチャンスを与えてください。
優秀な人材の発掘につながったり、人材の育成の幅を広げたりすることにつながります。
知事
実践的な教育で即戦力となる人材を育成して、県内のIT企業に送り出したいと思います。
若いころからITを学んだ子どもは、島根の大きな財産になるでしょう。
島根はITの適地
まつもと
私は都会の人混みや通勤の満員電車が苦手で島根に移住しました。
自分の経験からも心にゆとりがなければ、新しい技術は生まれません。
仕事と生活の調和が取れた働き方ができる島根は、技術者にとって最高の場所ですね。
知事
県では平成24年度から、首都圏在住のIT技術者を対象にした県内IT企業との交流会を開催して、UIターン就職を促しています。
また、首都圏や中京圏のIT企業の経営者らを招いて、県内に進出した企業を視察してもらうツアーも行っています。
IT技術者と企業担当者の交流会
Rubyで島根から世界へ
まつもと
Rubyを呼び水に島根に進出する企業が増えていますが、現時点では都市部の仕事を、島根に持ってきて行う事例がほとんどです。
IT産業は本来、地域に縛られないものです。今後は島根から全国、世界へと事業展開できるようなステップを目指したいと思います。
知事
IT産業は、今後も拡大していくと期待しています。
仕事や生活の調和を取ることができる島根の恵まれた環境と、手厚い支援策をPRして、さらなるIT産業の誘致、集積を図ります。
引き続き、Rubyを軸にしたIT産業を振興して、島根の活性化につなげます。
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