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メード・イン・しまねの底力

Vol.1人工乳房(中村ブレイス)

 

中村ブレイスの人工乳房の写真
中村ブレイスの人工乳房

 

 

人工乳房を製作する女性社員の写真
人工乳房を製作する女性社員

 

米国で開発を決意


世界遺産・石見銀山遺跡で知られる大田市大森町の義肢装具会社・中村ブレイス(中村俊郎(なかむらとしろう)社長)。
同社が開発した人工乳房は平成4年の誕生以来、これまでに約7千人の女性を支えてきた。
中村社長が人工乳房に出会ったのは昭和47年、米国で義肢装具製作を研修していたときだった。
初めて人工乳房を見て「これは日本の女性にも喜ばれる」と確信。
日本人女性向けの人工乳房の開発を胸に秘めながら帰国し、昭和49年、壊れた納屋を社屋に同社を設立した。
シリコーンゴム製の靴の中敷きを開発してヒットさせると平成3年末、念願の人工乳房の開発に着手した。
試行錯誤の末、平成4年に、第1号の商品が完成した。
しかし、形は本物の乳房に似ているものの、乳首がなく、白っぽい肌の人工乳房は、患者が心から喜べる自身の体の一部にはならなかった。


改良重ね、代表商品へ

 

その後、製作する社員を男性から女性に変え、患者の本音をくみ取りながら改良を重ねた。
最新の商品では、乳房の表面に薄く透ける静脈や肌のムラ、ホクロまでも再現している。
人工乳房は、多い年で年間700人の注文を受ける社を代表する商品になったが、経営的には赤字部門だ。
主に手作業で製作し、オーダーメード品では完成まで1カ月かかるにもかかわらず、
多くの人に届けようと価格を抑えたためだ。
しかし、中村社長は「人工乳房のおかげで社の知名度、技術力は上がった。損はしていない」と語る。
人工乳房で培った技術が手や指などの人工補正具の開発に生かされている。
同社はことし12月で創立40周年を迎える。
中村社長は「人に喜ばれるものづくりに、ひたむきに戦し続ける」と意欲を燃やす。
銀のまちの世界企業は、ますます輝きを増していく。

 

 

中村ブレイス株式会社の写真

 

 

中村ブレイス株式会社
本社/大田市大森町ハ132TEL/0854・89・0231http://www.nakamura-brace.co.jp/(外部サイト)

 

 


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