しまねの郷(さと)づくりカルテ
県土の86%を占める中山間地域は、高齢化や人口減少が進み、地域の担い手不足や、生活に必要なサービスの低下が進んでいます。
地域の現状や課題、潜在力などを知り、地域づくり活動のヒントになるのが「しまねの郷づくりカルテ」です。
近年、個々の集落だけでは地域を運営することが困難になってきていることから、県では公民館等の範囲を地域運営の基本単位(地区)として、県内を227地区に分け、
地区単位での地域づくりを進めています。効果的な対策を進めるには、まず地域の現状や課題、住民ニーズの把握が重要です。
それを知る手法のひとつとして「しまねの郷づくりカルテ」を作成しました。
カルテは地区ごとの人口、高齢化率などの人口状況、商業・福祉・教育施設の数、医療機関までの到達時間などの生活環境を分析し、地区の状況を客観的データにより分析しています。
今後30年間で人口がどう推移するかを示したグラフや、地域に新たに人が入ったり、残ったりすることで人口の状況がどのように変わるかを予測した「人口増加シミュレーション」もあり、
地域づくり活動の目標設定に役立ちます。
しまねの中山間地域
飯南町谷地区
山あり、谷あり、笑いありの飯南町谷地区
県の中山間地域対策プロジェクトチームでは現在、県内17地区を「現場支援地区」に選び、カルテによる地域分析や、地域づくり計画の立案などを支援しています。
現場支援地区のひとつである飯南町谷地区の取り組みを紹介します。
谷地区は美郷町と広島県三次市に隣接し、人口は88世帯245人(平成25年4月現在)、高齢化率は43.7%です。
人口は昭和10年代の4分の1に減りました。高齢化と人口減少を課題に抱える谷地区ですが、住民全戸でつくる「谷自治振興会」の独創的な活動が、
地域づくりの優良事例として総務大臣賞を受賞するなど高く評価されています。
住民運ぶせせらぎ号
同振興会の特徴的な活動の一つが、住民が住民を運ぶ輸送活動です。
平成21年3月に町営バスの路線が見直され、一部の集落が公共交通機関の空白地になり、移動手段を持たない住民には不便になりました。
そこで同振興会は同年8月に、飯南町から無償貸与されたワゴン車「せせらぎ号」で、輸送活動を開始。
住民は、利用時に燃料代相当の会員券を、運転手に手渡します。
利用者は平成24年度が延べ684人と、高齢者にとって重要な交通機関としての役割を果たしており、住民同士の「助けあい」で生活を守っています。
雪かきおまかせスノーレンジャー
谷地区は県内有数の豪雪地です。同振興会は平成21年に、除雪を代行する「スノーレンジャー」を結成しました。
民家への進入路や庭などの除雪を行います。
地域の課題を「助けあい」で克服しています。
年間5000人集う谷笑楽校
同振興会は平成22年に、廃校になった旧谷小学校を改修して交流拠点「谷笑楽校(しょうがっこう)」を開設しました。
昭和3年築の木造2階建て校舎は、子育てサロンや石見神楽の衣装展示室などに使用。
谷笑楽校の年間来訪者数は住民の20倍以上の延べ約5千人で「にぎわい」「生きがい」が生まれています。
つながれば、新たな力
谷地区では平成24年に、特産のユズの加工品を製造販売する「ゆず舟亭」や、ヤマメの養殖などに取り組む「清流クラブ」、
生活の知恵や地区の魅力の継承に励む「みんなの笑顔プロジェクト」の3つのグループが結成されました。
地域資源を活用した「なりわい」づくりが活発化しています。
杤木博文(とちぎひろふみ)会長の声
住民が地域の現状を認識し、目標を共有することが地域づくりの出発点。
実施している活動は、住民同士の世間話から生まれたものがほとんどです。
住民のつながりがさまざまなアイデアを生みます。
しまねの郷づくり応援サイト
しまねの郷づくりカルテや、谷地区をはじめとした県内各地の地域づくりの活動事例はインターネットの「しまねの郷づくり応援サイト」で紹介しています。
同じ規模、同じ課題を抱える他の地域がどんな活動をしているのかがわかる同サイトを、地域づくり活動の参考にぜひ活用してみてください。
しまねの郷づくりカルテ
お問い合わせ先
しまね暮らし推進課TEL0852・22・5065
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島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp