隠岐世界ジオパークの魅力を生かす
昨年9月に世界ジオパークに認定された隠岐諸島では、
ジオパークを教育や学習、地域振興などに活用する取り組みが活発化しています。
日本ジオパークの認定機関「日本ジオパーク委員会」の尾池和夫委員長と
島根県の溝口善兵衛知事が隠岐世界ジオパークの魅力、今後の活用について語り合いました。
隠岐世界ジオパークの魅力を語る溝口善兵衛知事と尾池和夫委員長
溝口善兵衛知事
尾池和夫委員長
尾池和夫(おいけ・かずお)
昭和15年、東京都生まれ。京都大学理学部地球物理学科卒業後、助教授を経て昭和63年に同大学理学部教授。
副学長を経て平成15年から平成20年まで同大学総長。
平成25年から京都造形芸術大学学長。平成20年から日本ジオパーク委員会の委員長を務める。
主な著書に「新版活動期に入った地震列島」(岩波科学ライブラリー)、
「変動帯の文化」(京都大学学術出版会)、「日本のジオパーク」(ナカニシヤ出版)など。
世界認定を喜ぶ隠岐ジオパークの関係者
知事おかげさまで隠岐諸島は昨年9月に韓国・済州島で開催された「アジア太平洋ジオパークチェジュ会議」で世界ジオパークに認定されました。尾池現在、世界ジオパークに認定された地域は世界で100地域、日本で6地域しかありません。
世界遺産より少ない世界ジオパークのひとつに選ばれたことを、島根県民のみなさんには誇りにしていただきたいと思います。知事認定を機に、隠岐が持つ特異性が世界に誇るべきものだという認識が、県民の間にだんだんと広がってきました。
世界に評価された効果は大きいですね。尾池初めてジオパーク関係で隠岐を訪れたとき、隠岐4島でジオパークに対する関心に温度差がありました。
しかし、認定に向けた活動が進むにつれて4島が連携し、結束しましたね。ジオパークは隠岐をひとつにしました。
世界で最も若い海に浮かぶ島
隠岐の島町で見つかった巨大ワニの脊椎骨の化石
知事尾池委員長は日本海を「世界で最も若い海」と呼んでいますね。尾池日本海は約1600万年前に、地殻変動によってユーラシア大陸から日本列島が分離してできました。現在、完成している海の中で最も歴史の新しい海です。
その日本海に浮かぶ隠岐は地形や地質、植生など、日本海や日本列島の形成の過程を学ぶための材料が全てそろっています。知事昨年7月に県立三瓶自然館の学芸員が、隠岐の島町の海岸の約2千万年前の地層から、東アジアでは最古で最大級となる巨大ワニの脊椎骨(せきついこつ)化石を発見しました。
約2千万年前は日本海が形成される直前の時期にあたり、当時の生態系を知る手がかりになるとされています。
文化の薫り高い島
隠岐国分寺蓮華会舞
知事隠岐では離島ならではの独自の文化が生まれ、住民が大切に守り受け継いでいます。この独自の文化も隠岐の魅力のひとつですね。尾池隠岐は、後鳥羽上皇と後醍醐天皇が配流されたこともあり、文化の薫り高い島だと感じています。
後鳥羽上皇を慰めるために始まったとされる牛突きや、映画「渾身」で全国に知られた隠岐古典相撲の1勝1敗の引き分けで終える風習も、大変興味深いです。
これら人を引きつける文化は隠岐の大きな財産でしょう。知事島根県は神楽が盛んな土地で出雲神楽、石見神楽が知られていますが、隠岐にも隠岐神楽があります。
また、国の重要無形民俗文化財・隠岐国分寺蓮華会舞(れんげえまい)は、まるで異国のような雰囲気を漂わせる仮面や衣装も独特ですね。
見る・食べる・学ぶ
活用の基本は楽しむことでしょうか。
ジオパークを楽しむためのキーワードは何でしょう。尾池キーワードは「見る・食べる・学ぶ」です。
特に「食べる」は隠岐では重要なポイントになるでしょう。
隠岐には、肉や魚、海藻などおいしくて栄養価の高い魅力的な食材が豊富です。
また、珍しい食べ物もありますね。隠岐ではアメフラシを「ベコ」と呼んで食べますが、とてもおいしいです。
海藻から取った塩「藻塩(もしお)」も大好きで愛用しています。
藻塩をもっとPRすべきでしょう。
「食べる」に重点を置くと観光客の滞在時間が延びて経済効果も高まります。知事観光関係者を集めて知恵を出し合い、ジオパークが楽しめる観光プランをつくって売り込もうと考えています。
ジオパークの交流、連携
全国のジオパーク関係者が集まった日本ジオパーク隠岐大会
尾池隠岐と同じ日本海に面している世界ジオパークに、糸魚川(いといがわ)世界ジオパーク(新潟県)と山陰海岸ジオパーク(京都府、兵庫県、鳥取県)があります。
この2つの世界ジオパークと連携して日本海連合を組んでみてはいかがでしょうか。
連携すれば大きな力になります。
ぜひ他の世界ジオパークに呼びかけてください。知事昨年10月に隠岐の島町で日本ジオパーク隠岐大会が開かれ、全国のジオパーク関係者が交流しました。
島根県内は中国横断自動車道尾道松江線など高速道路の整備が進み、山陽地方や四国地方とつながります。
日本海から太平洋を結んだ南北軸のジオパーク連携も面白いかもしれませんね。
ジオパークで隠岐の発展を
3年後の再審査では、どれだけ世界ジオパークの運動推進に貢献したかもチェックされます。
自分たちの地域だけではなく、100地域ある世界ジオパークの一員として意識して活動してください。知事他のジオパークと交流、連携しながら隠岐世界ジオパークを発展させるとともに、世界ジオパークの運動を推進していきたいと思います。
また、隠岐4町村と協力、連携して隠岐の豊かな自然や歴史、文化を国内外へPRし、隠岐を訪れる人を増やし、隠岐の観光振興、活性化につなげていきたいと考えています。
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