10月18日質問事項1
1.合区
○山陰中央新報:済みません、先般、さきの参議院議員選挙の一票の格差をめぐって各地で今、高裁支部で判決が出ていますけども、1回目が岡山支部で出まして、内容を見ますと、このたび島根もでしたが、合区を導入したにもかかわらず、まだそれでも違憲状態という結果が出まして、それに対してどういった所感を受けとめられたか、お願いします。
○溝口知事:そこは、国と申しますか、この訴訟自身は国の立法にかかわる訴訟でありまして、そこで御指摘の広島高裁岡山支部の判決は違憲状態判決ということでありますが、そういう国の立法にかかわる訴訟でありますので、私どもとしてコメントは差し控えたいというふうに思います。
最終的にどうなるかわかりませんが、いろんな考え方があります。知事会などでもいろんな考え方はありますし、私自身もいろんな考えを持っているわけでございまして、知事会としましては、7月に福岡で全国知事会があった際にいろいろ議論をしまして、そのときには、国において公職選挙法を改正したときの附則の規定で、平成31年に行われる参議院選挙の通常選挙へ向けて選挙制度の抜本的見直しを行い、必ず結論を得るものとするということで、合憲になるような考え方の整理をしたり、仕組みをつくっていこうということでありますから、やはり私ども知事会としての意見は、考え方は、一部反対のお方も、県もありましたけども、全体としてはこの附則の規定に基づいて適切な対応を政府に要望しておるという状況でございます。
それから、ちなみに、最近の新聞に出ておりますけれども、知事会の憲法と地方自治研究会の最終報告案がまとまっておりますが、これは専門家の方々に対してどういう対応があり得るのか検討してくださいということで依頼をし、その研究会としての合区解消に向けてのいろんな方法についておまとめになったということでございまして、これは知事会として、このとおりやるとか、いろんな案がありますから、議論はすることになりますが、これからの議論だろうというふうに思います。
知事会としては、繰り返しになりますけども、7月の福岡の知事会でまとめた考え方が知事会の現在の、現時点での考えだということです。
○山陰中央新報:前段で、国の立法にかかわることなのでということで、中身について、確かに知事がこれがいけないとかこれがいいとかっていうのは、ちょっとコメントしづらいところは確かにあると思います。
後段で、ただこういった判決が一方である中で、最終的にやっぱり知事会として結論を出した、知事は基本的に公選法の改正というのが自身のお考えですけども、それも含めて最終的に19年の参議院議員選挙までには解消されるということは改めて、こういった判決が出てますけども、もう一回求めていきたいというのが御自身としてあると。
○溝口知事:そうですね。
○山陰中央新報:ただ、そういう中で今回の判決が出ると、中をちょっと私も要旨を見ると、合区を4県にとどめるのは適切ではないと、これを裁判官に意図を聞くわけにはいきませんが、見方によってはもっと進めないといけないという考えもありますし、そもそも合区という方策をとること自体が緊急対応だったわけですから、もう抜本的にやめなさいというメッセージなのか、どちらかわかりませんけども、そうすると、基本的に今、合区解消を求める動きを知事会でされているわけですけども、その議論に影響が出るということは優に想像できるんですが、そのあたりはいかがですか。
○溝口知事:この辺はあまり、推測で言うのはいけないでしょうね。
○山陰中央新報:知事、それで、知事会のほうは、最終報告案でいうと都道府県ごとの代表制を明記する憲法改正というのが柱になってますけども、このことについてはどうお考えですか。
○溝口知事:それはまだ議論してませんから、いかがかと思いますね、私は個人的には。
憲法改正の前に、やはり最高裁のこれまでの考え方をよく精査もして、私はどうもよくわからないところがあるもんですから、そういう整理もしなきゃいかんのじゃないかというふうな気がしますね。一番最高と最低を比較するという考え方ですよね、あるいは最低に近い部分と。
○山陰中央新報:その最終報告の中でも、なかなか憲法改正には時間がかかるだろうということで、公選法の改正とか国会法の改正とかっていうのも一応併記でうたってるんですけども、知事としては、今まで言ってこられた公選法というところが一番可能性が高いと見てらっしゃって。
○溝口知事:可能性としてはね、要するに考え方の問題ですけど、こういう場で言うのもちょっとあれですけども、例えば2人区の一番多いのが新潟県ですよね。それで4人区になるのは京都ですよ、たしか。その京都と新潟の差はないんですね。ところが、京都が4人区になると物すごく較差が出てくるわけですね。そこら辺は一体どう考えているのかというようなことがなかなかはっきりしないなあというような疑問もありましてね。選挙制度というものをどういうふうに考えたらいいのか、そういうこともよく勉強する必要があるんじゃないかと、これは個人的な意見ですけれども、そういうこともありますね。
○山陰中央新報:知事、今、先ほどおっしゃったことはこれまでも知事会とかにも……。
○溝口知事:言っております。
○山陰中央新報:おっしゃってて、今度11月に全国知事会議があると思うんですけど、またそのときは、どういうようなことを、今回の最終報告案も踏まえて、その合区の対象になった知事として。
○溝口知事:それはこれからいろいろ議論しなきゃいけませんね。
○山陰中央新報:なかなかそれ、憲法改正は時間がかかるんじゃないかと。
○溝口知事:基本的にですね、基本的には。
○山陰中央新報:で、公選法のほうでということを。
○溝口知事:まず公選法でできることをやるべきではないかという考え方ですね。それは憲法改正を行うということも一つの道だろうと思いますよ。しかし、憲法改正となるといろんな問題が絡んでもきますから、我々としては、島根県などや、合区ということでいろいろ問題があるということを主張しておりますから、合区の問題を早く解決するということが大事じゃないかというのが私の個人的な立場ですね。そういう意味で、公選法の考えをよく整理をしてみるということを言っているわけです。
○山陰中央新報:合区解消をめぐっては、島根県の全議会と鳥取の全議会も反対の、解消してくださいという意見書を可決して、政府に提出するという動きが、これが広がって、今9月議会になったんですが、このことについてはどう受けとめてるんですか。
○溝口知事:それは、整合的な動きだと思いますね。
○山陰中央新報:今、これを全国に広げていきたいというような思いもあるみたいなんですけども。
○溝口知事:ええ、それはやっていいことじゃないでしょうか。
○山陰中央新報:知事会とかでもそういう、全国にそういう声が広がっていくというのは意味があると思うんですけど、知事として何かそういう動きというのはされていくお考え、知事会を通じてとかっていうようなお考えはあるんでしょうか。
○溝口知事:知事会は知事会としての、もう考えを出していますから、それは当座の考えで、それから先をどうするかというのは議論の中で決まってくるということじゃないですか。
○中国新聞:知事、済みません、知事は、個人的なお考え方でも結構なんですけど、参議院議員というのは地域を代表する存在、あるいはそういう性質を持ってる存在だというふうにお考えですか。
○溝口知事:どういう意味ですか。
○中国新聞:要は、参議院議員というのは御承知のとおり選挙制度も都道府県単位で、一部合区されてるとこはありますけど、そういう選出の仕方をされてるんですけど、問題になってる判決。
○溝口知事:全国区もありますしね、全国区というようなことになると、職域を代表するというふうな要素が入ってきますね。そこを例えば地方区だけにするとか、そういう考え方じゃないですかね。そういうふうにしたらいいじゃないかという考え方で、それは一つの意見でしょう。参議院でどういう役割を担うかというね。
○中国新聞:済みません、じゃあちょっとより正確に言って、現状の参議院の制度で、選挙区で選ばれてる議員さん、これは選挙区単位が都道府県、一部ちょっと今は違いますけど、選ばれてる以上は、その代表してる性質を持ってるというふうに考えますか。
○溝口知事:代表する性質を持ってるとは。
○中国新聞:その地域の意見を国政に届ける性質というのは持っているんでしょうか。
○溝口知事:それはそうでしょうね。地域の方々の支持を受けて選挙で当選をするわけですから。
○中国新聞:高裁岡山支部の判決なんかを見てみると、地域代表としての性質を参議院議員の選挙区の人は持ってるけど、それは憲法で保障されてる投票価値の不平等を上回る理由にはならないと言ってるわけですけど。
○溝口知事:今おっしゃったように、ホリスティックな難しい話ですから、ちょっとここで簡単に答えるわけにはいきませんけども。
そういうふうに決めたらいいという考え方はありますよ、そういうふうにね。しかし、そういうやっぱり全国区で職域を代表したような仕組みが必要だという意見もあるでしょうね。例えば一定の産業などでね、やっぱり産業の利益が都道府県を越えていろんな力を結集しないとなかなか国政に意見ができないというような考え方も、それはあり得るわけでしょう。
○中国新聞:一方で、選挙区としてやっぱり県境を越えることには問題があるというふうなお考えなわけですよね。
○溝口知事:それはなぜかというと、要するに地方行政というのは都道府県制という仕組みがもう明治以来と言っていいんですか、続いてきて、そこが一つの固まりになってるわけですね。あるいは地方行政は戦後においても都道府県にいろんな仕事がおりてきて、市町村がもちろんやるのがありますけれども、それで、その地域の行政を行うということですから、そのもとは国の法律でこんなことをやります、こんなことをやりますというときに、地域でやはり意見を言っていかないと、まとまった意見が言えないわけでしょう。ということでありますね。だから、そのときに、人数で代表の比率が違うという考え方もそれは一つありますけども、非常に日本の場合は東京のような1,000万人のところと、六、七十万人といった島根のようなとこが一つの都道府県になってるから、そこは非常に難しい問題を起こすんだろうと思いますね。
ただ、どの国でも憲法の規定なんかはいろいろ違いますけども、やはり投票権の平等というのは大事な課題でありますね。それで、アメリカなどでは州ごとに決めるわけですね、上院でしたか。そういう考えもありますし、いろんな考え方があるんだろうと思いますね、何が平等かというときに。それで、そのときの条件がどうであるのかとかね。
○中国新聞:わかりました。
○溝口知事:アメリカの場合は、州が合体してできますから、そういう州単位で物を考えるというものがあるでしょうし、日本などでいいますと、やはり都道府県制という制度がずうっと長く続いておると。その中で選挙が行われているということでしょう。そういう長い歴史ですね。それで、そこについて、一部の人はそれは違憲だという訴訟を起こして、それが最高裁ではそういう考え方になっているということじゃないでしょうか。
○山陰中央新報:済みません、先ほど公選法の話があったんですが、結局知事会等で議論していて、一方で並行で司法のこうした判断が出ている中で、公選法でやったところで、最終的に司法で違憲状態とか違憲って出ると、この議論もやっぱりこちらも見ながらやらざるを得ないというのがあると思うんですけども、今、高裁でいろいろ出てますが、結局来春以降のところで最高裁が統一の判断を示すと。知事も先ほどおっしゃったように、最高裁の考え方をもうちょっと整理して聞く必要があるということがあるんですが、そういうスケジュールはあるんですけど、とにかく知事としては、手段は、御自身は公選法がベターだと思いますけども、目的としては合区を解消する、最終ゴールとしては、できれば憲法改正だろうが公選法だろうが、とにかくそれを全うするために知事会としても発言されたり活動していかれるということでよろしいんですよね。
○溝口知事:それはそうですね。ただ、現実としては、まず公選法でやれるとこまでやったらいいんじゃないかということですね。
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