7月8日質問事項2
2合区
○山陰中央新報:済みません、知事、ちょっと話が変わりますが、きょう、参議院の選挙制度改革をめぐって、知事も連盟の中に入っていらっしゃって、都道府県単位の代表が国政に参加する仕組みを維持するようにということで、かねて知事もそういったお考えで代表を維持するようにということをおっしゃってますが、今ちょっと与野党でも、そうはならないかなというような合区の流れに傾きつつありますが、今の状況を踏まえて、もう一度知事の考えと、要請等があれば意見をお願いします。
○溝口知事:これは、自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワークという会合があって、知事が参加してるわけですけども、その中で福井県の西川知事から提案がありまして、メンバーに聞きまして、賛同するところが一緒に加わっておると、こういうことですね。
やはり都道府県制というものがありまして、国のいろんな施策の展開などは都道府県単位で行われておりますから、そうすると、そういうものについて国に意見を言っていくとか、国会議員の方々なんかを通じて言っていく、あるいは参議院の場でそういうことを言っていただくというようなことになると、意見が違った場合なんかに困りますね。だから、そういう現実を踏まえた対応が必要だということは前から申し上げておるわけでして、国会内でいろんな議論もありますけども、地方からもある意味できちっとした形でお伝えをしておくということは必要なことだということでして、こういうことをしますということは、県議会、あるいは国会議員の方々にもお伝えをしておりますが、これは私の一貫した考えで、ずっと前から言っております。
○山陰中央新報:ただ、今回、鳥取県との合区というのが自民党内からも容認する、一部流れが出てきてまして、仮にそうなった場合、県代表というのが失われる可能性がありまして、そういった場合の処遇というか、一つには比例代表で、ただちょっと制度上難しい面もありますが、比例代表で処遇するとかいろいろありますが、合区になった場合、どう処置したほうがいいかっていう。
○溝口知事:それは今、私が言うことじゃありませんね。
○山陰中央新報:今のところはとにかく合区に反対するというのを引き続き一貫していると。
○溝口知事:そうですね、原則論はやっぱり言っとかなきゃいかんと。現実にどうするというのは、それはその後の話でしょう。
○山陰中央新報:わかりました。
○読売新聞:それで、もし実際その決着をしてしまって、特にもうその可能性は濃厚と言われていますが、いわゆる10増10減案でそのまま行ってしまった場合というのは、知事として改めてアクションを起こされたりとか、今回のような形で訴えかけられたりとか、そういった行動はまた考えておられるんでしょうか。
○溝口知事:今具体的には考えてませんけども、また新しい事態になれば、その事態に対応した対応というのを考えなきゃいかんでしょうね。今具体的にどうするということはありません。
○読売新聞:決まった場合は、もう受け入れざるを得ないというようなお心持ちではいらっしゃるわけですか。
○溝口知事:何で決まったのかというのがわかりませんね。
○山陰中央新報:公職選挙法の改正を出されて、国会で議決された場合、もう決まってしまうんですが、それをひっくり返すというのはちょっと難しいですが、そういった場合は。
○溝口知事:そういうことですか。それは、国会がどうするというのを決める場ですからね。
○山陰中央テレビ:知事、先ほどの選挙制度について改めてお伺いするんですけど、先ほど緊急提言が福井の西川知事から出されたということで、改めてなんですけれども、やはり今の選挙制度の改革については、率直にどういうふうに思われますか。
○溝口知事:ここはかなり個人的な意見になりますけれどもね、最高裁の判決がずっと以前からあって、一番高いところと低いところの差で不平等かどうかという議論が一回決まって、その後はそれで進んでおるわけであります。しかし、よくよく考えると、先ほどの都道府県制なんかを考慮しますと、一県一人はやっぱりいるのが必要だという前提に立って、今はたしか一人区で一番人口が多いのは、岐阜県ぐらいでしたかな、二百数十万のところまでが一人区になってますよ。下は70万を切るところまでになってるわけですけれども、その中では非常に不平等だというような話じゃないですね。そうすると、例えば230万が最高ですと、2人目は、その230万を足した、例えば460万以下は2人にするとかやっていくことによって、そういうやり方も平等を確保する一つの考えじゃないかと思いますね。だけど、そういう根本的な論議が国民の間では必ずしもなされてなくて、最高と最低の比較で倍率だけ見てるというのは、何となく議論がもう少しあってもいいんじゃないかなあという気持ちは持ってますけどね。
○山陰中央テレビ:合区に関しては、やはり姿勢というのは今までと変わらずだと思うんですが、改めて反対というか、姿勢としてはどういうスタンスなんですか。
○溝口知事:適当でないということですね、県行政を担当する知事としてはですね。
○山陰中央テレビ:現在、国会のほうではかなり加速してこの議論が進んではいるんですけど、この国会のこういった、かなり速いテンポでの動き……。
○溝口知事:国会のほうはそれは国会の立場がありますから、やっぱり今まで一番高いところと低いところの格差を指標にして適当かどうかという論議をずっとやってますから、その論議の中でおやりになるというのは、それは一つの考えでしょうが、それを外して、違う観点から見た論議も国民の中であってもいいんではないかと。それは都道府県制というものがありますから、物によっては都道府県で考え方が違うようなケースというのはあり得るわけですね。だから、その議論はやはり都道府県というのがある以上、1県1人を確保するという前提に立って公平なやり方を考えるといったような論議が国民の中であってもいいだろうというようなことは言っております。しかし、そこは国会の政党間でやられておりますから、関係の方々なんかにはちょっと、こういうことはどうですかというようなお話はしてますけども、なかなかそういう論議になりませんね。それはやはり最高裁の一番低いとこと高いとこを比較するという論議でずうっとやってきてますから、それに対応するように。それで、それは国会の中の論議で決まるわけですね。それで最高裁で違憲判決というようなことが出ると混乱も起こりますから、それはそれで国会の中では対応されてると。もう少し広い視野で国民的な論議があってもいいんではないかというのは、県庁の中全体で議論してるわけじゃなくて、資料なんかはつくったりはしてますけども、個人的な考えとしてはそういうものは持っております。
○山陰中央テレビ:国会では非常に審議が進んでるんですが、やはり地方の声がなかなか届きにくいような形で議論が進んでいるのかなというところもあるんですが、そんなふうには感じられますか。
○溝口知事:地方というよりも、この問題、国民全体がどう考えるかという論議が余りなされてなくて、それはある意味でしようがないんですね、最高、最低の倍率で調整をしていくという経緯があるわけですから。
○山陰中央テレビ:知事、もう最後なんですけど、やはり一番、今回のこの改革について課題というか、問題なのはどこが問題だというふうに思われますか。
○溝口知事:課題というのは、今申し上げたように、都道府県制というのがあって、都道府県によって、例えばいろんな国の施策の展開だとかも違うことがあり得るわけですね。そうすると、施策の展開をこうしてほしいというのは各県によって違うことがあるわけでしょう。そうした場合には、やはり各県一人代表が参議院において、あるいは衆議院においても必要だろうと、こういう考えです。
○朝日新聞:知事、済みません、選挙制度に関係してお聞きしたいんですけども、今、国会では選挙制度と同時に安保関連法案などの審議もされているんですけども、そういった国全体で議論しないといけない話のときに、1人1票と0.5票などの格差があった場合、極端な話を言えば、3割の人が賛成してるのに国会では過半数になってしまうとか、そういうことも生じ得ると思うんですけども、そういった国全体で話し合わないといけない議論の際に、一票の格差が今2倍、衆議院ではもっと4倍以上あるっていう現状については、知事、個人的な御意見でいいですけども、どうお考えでしょうか。
○溝口知事:いや、それは最高と最低だけの比較じゃなくて、さっき申し上げたように、1県は1人確保するというような考え方があってもいいんじゃないかということを言ってるだけです。
○朝日新聞:じゃあ、今の格差は。
○溝口知事:それを前提にして、公平な議席の配分がなされるというやり方もあるんではないかということを申し上げているんです。
○朝日新聞:両立するということですか。
○溝口知事:あなたの考えとちょっと違うわけです、何を基準にして考えるかということが。都道府県でいろんな行政をやっていて、それは県によって違うことがありますから、そういうものを前提にすると、各県最低1人というのがあってもいいんじゃないかと、選挙制度の中で。だから選挙制度を変えるという話になるわけですけども、その上で公平な配分を、例えば230万人以下の場合は一人区、それを超えるときにはその倍のところで二人区にし、さらに3倍というようなやり方もあるんじゃないですかと。それも一つの公平のとり方じゃないかと。今言ってるのは、くどいようですが、一番最低と最高だけ比較して何倍だと、じゃあそれに合うようにすると合区みたいなことが必要になってくるわけですね。そうすると、その合区を考える際に、今私が申し上げたような点を余り議論ができないわけです、既にそのやり方で長年来てるわけですから。というのは、ちょっと素人考えですけれどもね、そういう考え方は持っていると。
○朝日新聞:1県1票を確保した上で、その上で格差を減らしていくという。
○溝口知事:うん。選挙制度、世界でもいろいろあると思いますけどもね。
○山陰中央新報:もう一度、参議院の選挙制度改革の問題に返るんですけども、今の国会審議の流れから判断しますと、合区の決定はもう時間の問題というふうに見られて、早ければ来年の参議院から導入ということも想定されるんですが、この時点で仮に合区が決まった場合に、合区の対象となった島根県、鳥取県も含めて、そういった合区対象の地方に向けて、合区に関して国民的理解が十分なんだという、今、知事の御認識ですね、現時点で合区が決定した場合に、国民的理解はそれに対して十分進んでるのかという個人的な認識で結構ですから、お考えをお聞きしたいというのが1点と、それからもう1点は、先ほど知事は最高裁の判断の問題を示されましたけども、最高裁の判断というのは、要するに一票の価値と、いわば個人主義というか、普遍主義という立場ですね、あくまで一票の価値という、個人主義的な立場に立つんですが、その一方で、知事がおっしゃるように都道府県という国の施策の単位になる、例えば行政単位ですとか施策を打つ単位がありますね。そういった施策を打つ単位も平等性の必要があると。一方で、個人という普遍主義的な平等の価値と、都道府県という行政単位の施策に関して発言する権利、代表制の問題もありますね。だから一つは個人、一つは自治体という平等のベクトルがあるわけですね。それをどうバランスをとるかという問題に尽きると思うんですけども、知事のお考えは、個人を中心とする普遍主義なのか、行政を持つ自治体という、いわば集合意思を重視すべきかと、どちらを重視すればと思われますか。
○溝口知事:そういうふうに割り切ることはできませんね。あれが普遍主義かどうかというのはね。それから集合ということじゃなくて、現実から見るとということですよ。現実から見たときに、都道府県制というのがあって、それによって都道府県ごとに国の包括的な計画の指示なんかがあったり、いろんな制度をつくるときに、都道府県ごとに決めておって、都道府県で意見が違うということになると、そうすると、その一人の代表にそういうことをすることによって、そういう点の問題が余り議論されてないじゃないですかということを申し上げてるんですね。しかし、国政の場でお決めになる話ですから、我々としては先ほどの知事会の関係の知事のそれぞれの意見ですけども、そういうことで問題提起をしておるということですね。しかし、参議院制度、国の制度をどうするかというのは、やはり国会の場で決めるということですから、そこをどう動かすかということは、訴えるとか、そういう形なんだろうというふうに思います。普遍主義かどうかということじゃなくて、やり方がもうそれで決まっちゃってるわけですね。
○山陰中央新報:仮に合区が決定して、仮に島根、鳥取県が一つにまとまってしまうと、島根県単体としての発言権はやっぱり相対的に低下しますよね。そうなった場合に、やっぱり地方間の格差ですね、合区が決まっちゃうと、地方間の格差が拡大するという懸念はないんですか。これまでは国土の均衡ある発展ということで来たんですが、合区が決定されますと、東京、地方のそういった格差が拡大する懸念はないのか。
○溝口知事:それは直接あるかどうかはわかりませんが、私がずっと申し上げているのは、そういう面も配慮した仕組みづくりというものが必要だろうと。それはやはり国会議員の方々の、選挙制度は国会の場でやはり決める権限を、最高権限があるわけですから、そこの議論を尊重せざるを得ないと思いますけども、審議の過程ではそういうことにも配慮してもらいたいということですね。
○山陰中央新報:それから、合区に対する国民的な合意というか、地方の理解が十分進んでるというふうにお考えですか。
○溝口知事:難しいですけども、最高裁は当初から一番低いところと高いところで憲法違反があり得るという論議でずっとしてますから、それ以外のことが余り考慮されてないということですよね。しかし、そこもそういう長い歴史がありますからね、その歴史の重みということもあるでしょうから。
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