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6月19日質問事項11

11高齢者移住・医療構想
○毎日新聞:知事、済みません、話が少し変わりますけども、地方創生の関連です。前回の記者会見のときにも話題になりましたけれども、高齢者の地方移住の関係ですね。日本創成会議が出された高齢者の地方移住に関するのなんですけれども、その後、国のほうが、政府がまち・ひと・しごと創生会議の中で示した地方創生基本方針の中でも、高齢者の地方移住というものが入っていたと思います。で、中では、日本版のCCRCの推進であるとか、CCRCの、高齢者の方が元気なときから介護が必要になるところまで、一貫して同じところで住めるようなコミュニティーをつくろうというようなものですけれども、そういうような部分についての推進であるとか入っていたと思うんですけれども、そのあたりについて知事、改めてどういうふうな見解をお持ちかというところをお願いします。
○溝口知事:それは、地域医療構想とも関連をするような話ですけども、あの提言を出された創成会議は政府の機関として提言を出したわけではありません。大都市でどんどん高齢化が進むと高齢者の方はやっぱり入院だとか、病気にかかられるというようなことが多くなりますからね。そこで、地方でお住みになるようなことはできないかというのが創成会議の提言ですけども、地方のほうは、例えば病床のほうは減らしていこうというようなことだと受け入れも難しいですよね。介護でやろうかとなると、今度は地方のほうで負担をするというのが原則になりますからね。そういうものに対する負担の増加というのは、やはり国が手当てをするようなことがなきゃいかんので、だから医療、介護を日本全体としてどう対応するかというのがないと話は完結しないわけです。
それはやっぱり日本全体の問題であって、高齢者が大都市のほうで非常にふえていくということになると、医療費でありますとか介護の費用がかかるわけでしてね。そのためにじゃあ負担をふやすかということもなかなか難しいということになると、違う工夫をしなきゃいかんということになりますが、そういうことをどういうふうにして調整できるのかという議論は、まだなされてませんね。これからの話だと思いますね。だけど、そういうものがないと、大都市の高齢者あるいは高齢になる前の方々が移住をするといっても解決にはならないですね。問題を解決するためには、じゃあふえるところはどうするのかと。その財源は、じゃあどうやって確保するのかと。財源を確保しないというなら、医療費を削るということになりますけども、それでいいのかというような、要するに国全体としてそういう問題をどう考えるかということがないと、話は進まないと思いますね。
 

○中国新聞:知事、関連で、その件で厚労省のほうが、各県の病床数の削減数の目標を出しましたが、島根県は30.4%という、結構苛酷な条件を出されてきたと思うんですよ。この30.4%、この10年間でぜひこういうふうにしなさいというふうなことを国は言っているんですが、実際問題、島根県というのは独居老人も多いですし、はい、そうですかとベッドをカットするわけにはいかないかなと僕は個人的に思うんですが、知事として、この30パーの10年間の削減というのは可能であるとは思われますか。
○溝口知事:あれは、削減という言葉を使うからやや問題がわかりにくくなるんですけどもね。一般病床というのがあるわけですね。一般病床、これは割と技術的でわかりにくいんですけども、島根ですと、一般病床で今6,900床ぐらいあるわけですね。そして、2025年にどういうふうな形で病床が要るのかという計算を一定の前提でやると、そうなるということなんですね。それは、2013年のレセプトをお医者さんにかかった、どういう治療をした、どういう薬をもらったというのを分析をすると、点数の多い患者さんは、点数でいうと3,000点以上、これはそれだけの治療が必要だということでありますね。それから、急性期の患者さんの場合600点以上ですね。それから、回復期の方は175点以上と。それで、175点以下の方は、点数から見れば医療行為をそんなにしていないわけです。次に、2025年の島根の人口、あるいは各市町村の人口を男女別、年齢別に推計するわけです。それはできているわけです。その推計に2013年の割合を当てはめると、人口が減りますから、自然に病床が要らなくなるというのと、175点以下のところはそんなに医療行為を毎日毎日やっているわけではないんで、それは在宅医療で診てもらうようにしましょうということです。在宅医療は、在宅でやる場合もありますし、あるいは介護施設でやる場合もありますし、いろんなのがあるんですね。その部分は在宅にするという前提で必要となる病床が減るという計算なんです。
だから、そこもさっきの移住の話と同じで、じゃあ在宅になった場合に、そうした医療を診るような場所があるのか、お医者さんがいるのか、あるいは介護の施設を使うということになると、介護の負担なんかに影響しますよね。そういう問題をどうするかということがまだ手当てがついてないわけです。だから、病床数がなくて困るという話ではなくて、そこがうまくいけば、それはそれで医療費も下がり、その負担を上げなくても済むということになるんですけども、そこのところがまだ結論が出てないわけですね。あと、療養病床というのが別のカテゴリーでありますけども、だから何か必要なものが削られるというよりも、人口が減っていくから、こういう分類で医療行為をやっていって、病院の治療を受ける頻度が少ない方の場合は在宅でという考えでやるとこうなりますということなんですね。
だから、我々のほうでは、それで、はい、そうですかというぐあいにはいかないわけです。じゃあ、そういう介護とかは一体どうするんですか、そこら辺がまだ何も詰まってませんからね。それで、他方で、大都市のほうは今度は人口がまだふえていますからね。島根県などは削減率が大きいのは、今の医療点数175点未満の人たちというのは高齢の方が多いわけですよ。高齢の方々の人口は、むしろ、もうそんなには減らないんです。そういうようなことが影響してまして、それからあと技術的な点ですけども、患者さんを自分の住んでいるところでのベースで診るのか、あるいはかかっている病院で診るのか、それによって違いが出てくるようですね。したがいまして、まだまだ未解決な問題がありますから、そういうものをどういうふうにして解決していくのか、そういう話もしながら地域医療の構想の策定作業を、いろいろな意見を聞きながらやっていかなければいけないと、こういう状況ですね。
これもやはり日本全体の話を政府がしませんとね、個別の問題だけで理解することはなかなか難しいですね。例えば、大都市でどんどん高齢者がふえて病床が必要になる。じゃあ、そのために負担を上げてやっていくのかどうするのかとかね。あるいは、地方では少なくなるから、お医者さんはいなくていいのかというと、そうはいかないでしょう。だから、まだまだそういうことを具体的に問題点をよく検討して、どうするかということを考えなきゃいかんということです。
我々が言っていますのは、そういう日本全体の話をね、政府が国民に対してよくしませんと、何が起ころうとしているのかよくわからないということを申し上げています。

○日本経済新聞:ちょっと大ざっぱで申しわけないんですが、歴史的に見てですが、どう捉えるかということでいうと、知事御自身は、今の東京に集中して高齢者がふえているから、地方に移住を求めるというのは必然的な流れというか、防げない。というのは、戦後の高度成長期に団塊世代500万人ぐらい東京に集まって、それで工業化をして生活の質も高まりましたけども、明らかにこれは国土全体から見ると集中し過ぎでしたけども、その揺り戻しというか、結局そこは老いてきたら我々が抵抗するしないにかかわらず、やっぱり地方が受けざるを得ないというか、そういうふうに考えていらっしゃるのか。あるいは、それはそうではなくて……。
○溝口知事:その一つの考えだけじゃないでしょうね、いろんな要素があるでしょうね。
○日本経済新聞:というのが、その移住というのは、国が強制するかどうかは別にして、本人たちが希望すれば移住しますので、このまま東京に住みづらかったら自発的に島根に来たりとか、そういうことも考えられますから、それを考えると、ある程度そういう見通しがあるんであれば準備をしなければいけないし、そうじゃなくて東京圏、大阪圏で50年ぐらいやっていけるんだったら、それはそれでいいのかなという気もしますけれども、そこら辺は知事としてどういうふうに。ちょっと大ざっぱで申しわけないんですけど。
○溝口知事:自然になる分については、そういうことはあるかもしれませんが。
○日本経済新聞:自然になるというのは、自然にこうIターンみたいにしてくるということですか。
○溝口知事:自然に移住が進むのはなかなか難しいでしょうけどもね。しかし、インセンティブを与えるとか、政策的に何かをするとなると、やはり介護などの負担が移住してきたところにふえるということになりますからね。
○日本経済新聞:そうですね。
○溝口知事:だから、そういうものを一体どういうふうにして手当てをするのかとか、そういう問題が解決していかないと進まないでしょうね。
○日本経済新聞:ただ、私はちょっとその前の段階で、直観として……。
○溝口知事:他方で、首都圏などで高齢者がふえてね、病院が必要だと、お医者さんも必要だということになると、それが今度地方から出ていくと、地方で不足しますからね。
○日本経済新聞:まあそうですね。
○溝口知事:だから、日本全体像としてどういうふうに考えるかというところがよくわからないわけですよ、多分政府も難しいんじゃないかと思いますけども、そういうことがないと。国民的なこの医療の問題、地方創生の問題、いろんな問題を考えるときに、それが結局日本の中でどういう医療負担をするのか、あるいは介護の負担をするのか、そういう問題を一体どう考えるかということがその背後にあるわけでしてね。現状ではそういう、かつては高福祉高負担というようなヨーロッパ型にするのか、日本なんか低福祉低負担的な要素があったんですけど、だんだん負担が上がってきておりますけれどもね。国民全体でそういうものをどう考えるかということをしないと、なかなか簡単には解決策がぱっと出るということじゃないですね。提言したら何かそれで話が進むというような話では全然ないです。

 


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