3月9日質問事項2
2島根原発(廃炉・避難計画)・東日本大震災から5年
○朝日新聞:知事、済みません。3月18日に中電が1号機の廃炉を決めて1年になりますけど、島根以外の敦賀、美浜、玄海、既に廃止措置計画出ていて、島根だけ一歩おくれた形になっているかと思うんですけれど、そのことで、もし受けとめやお考えがあれば。
○溝口知事:それぞれ廃炉計画は電力会社がどう考えていくかということでありまして、福井県における廃炉の話は、関電だけじゃなくて、敦賀原発もありますし、そこでは廃炉計画をつくって、それを規制委員会に審査してもらうということをやられたということで、中電も今やっていますから、いずれ出てくると思います。
○朝日新聞:基本的に県民としては、数十年かかるものですけど、少しでも早く出してほしいというのが、廃炉を始めてほしいというのが県民の思いだと思うんですけど、知事としては。
○溝口知事:それはできるだけ早いほうがいいでしょうが、こうでなきゃいかんというのはないですね。
○朝日新聞:今まで打診みたいなものはあったんですか。
○溝口知事:それはいつも情報はもらってますけど。
○朝日新聞:廃止措置計画を。
○溝口知事:ええ。だけど、廃止措置計画で先のことまで決めるんじゃなくて、大ざっぱな計画を出して、進捗に応じてまた新たに出していくというようなことになるんじゃないですか。だから、一回出したらおしまいということじゃなくて、状況の変化もあるでしょうし、それから先のことは今決められないということもあるでしょう。早く出したら早く進むとか、そういう性格のものじゃなくて、今ある材料でどういう計画をつくるかということじゃないですか。
○朝日新聞:松江市の松浦市長なんかは、放射性廃棄物について、敷地外にとか県外にみたいなことをおっしゃってますけど、知事として、改めて。
○溝口知事:そういう低レベルの廃棄物につきましても、国がどういう考えでやられるのか、そういう中で事業者、電力会社がどうするのかということになってるわけでありまして、電力会社の動向を我々もよく聞いたりしておりますけれども、その上で適切な対応ができるようにするということです。
○朝日新聞:今、電力会社の動向を聞いてると言いましたけど、今のところどういう。
○溝口知事:まだいつになるかというのは決まってませんね。
○朝日新聞:その放射性廃棄物の処理先みたいなものについては、話は。
○溝口知事:まだでしょう、それは。
○朝日新聞:現時点では、そこまで強くは求めみたいなことは。
○溝口知事:今の時点でそこまで、どこまでできるのかですね、長いプロセスですから、具体的なことが決まれば、その都度また規制委員会に提出をしたり、訂正をしたりしていくというプロセスですからね、長いプロセスが始まるわけでしてね。だから、今のところ、そこら辺がまだ中電からこうするということは聞いていませんし、中電もできるだけのことをやろうとして努力はしていると思いますけどもね、そんな状況です。
○朝日新聞:中電に対してこうしてほしいということは求めてるんですか。
○溝口知事:私どもが今どうこう言う話じゃありませんね。
○朝日新聞:ちょっと戻っちゃいますけど、島根にいる記者としては、敦賀、美浜、玄海の計画が出て、でも島根だけ出ないっていうのはちょっと意外な感じも受けたんですけれど。
○溝口知事:あんまりそうあれしませんね。やろうという意思があるわけですから。
○朝日新聞:意思は、もうずっと打診も受けて、してるわけですよね。
○溝口知事:よそはどうだということじゃないと思いますね。
○朝日新聞:とにかく慎重を期すというか、中電に求めたいものは、計画に関して。
○溝口知事:それはやはり、いろんな面で安全面に配慮するということがあるでしょうね。
○朝日新聞:安全面に力を入れるなら、多少遅くなってもいいということですか。
○溝口知事:そこら辺は今考えてません。それは中電がしっかり対応するということですね。
○山陰中央新報:知事、最初の廃止措置計画っていうのは、大体大ざっぱな内容、先行した事例もそうですけれども、知事として、その中で、ここはこうしてほしいというのは特段はないわけですか。
○溝口知事:それは、計画が出て、それをよく専門家にも、安全顧問とか、お聞きをしたりして、必要な対応をするということじゃないかと思いますね。それから、先進事例もありますから、そういう先進事例でどういうふうにしているかということも、我々のほうでも情報をもらったり、中電も当然そういうことをやっていると思いますね。我々も、我々の立場でやる必要があるというふうに考えています。
○山陰中央新報:県としての立場として、ここは確保してほしいというところ、例えば低レベル、使用済みの扱いとか。
○溝口知事:そこら辺は、考え方を聞いてからですね。いずれにしても、我々自身で十分できるわけじゃありませんから、いろんな情報を集めたり、聞いたり、あるいはやっぱり専門家の意見を聞き、その上で規制委員会にちゃんとやってもらうということだろうと思いますね。
○朝日新聞:今まで打診があって、中電がまだ申請してないということは、何か自治体のほうで納得いかないことがあったから。
○溝口知事:いや、そんなことはありません。
○朝日新聞:でも、何回か、いつごろからあったかわかんないですけど、ずっと打診があってでもまだ出してないということは、知事のほうで何かしら納得いってないのかなと。
○溝口知事:私のほうの関係じゃありませんね。中電自身の話だと思います。
○朝日新聞:中電自身の。どういうことですか、例えば。
○溝口知事:いや、知りませんけども。
○朝日新聞:何か……。
○溝口知事:廃炉についてどういう対応をしたらいいのか、それはいろいろ研究しなきゃいかんこともたくさんあるんだろうと思いますよ。
○朝日新聞:とにかく現時点で知事は全然納得してないってことですよね。
○溝口知事:いや、納得じゃなくて、まだ出てきてないということだけですね。
○朝日新聞:今まで全く打診もなかったんですか。
○溝口知事:ないですよね。
○朝日新聞:この計画を出したいっていう。
○溝口知事:いつか出したいっていうことは聞いてますよ。
○朝日新聞:でも、具体的な内容について、まだ。
○溝口知事:聞いてませんね。ただ、詳細までは書けないだろうという、今の段階ではできないだろうというのは我々も承知していますけれどもね。
○朝日新聞:その詳細までは……。
○溝口知事:いずれにしても、我々、中電との関係では、そういうものは出しても、その後、新たな計画が出たときにもまた事前了解をするとか、審査をしていただくことについて、そういうプロセスが続くわけですから。
○朝日新聞:それは12月の議会のときにされましたよね、安全協定。
○溝口知事:だから、それはいいわけですよ。
○山陰中央新報:知事、済みません、東日本大震災と福島第一原発の事故から約5年がたつわけですけれども、それを受けて、島根県も原発事故の広域避難計画を12年に策定されましたが、その後、これまでの段階で避難の実効性確保ということの進捗状況について、知事として今、どのように考えてますでしょうか。
○溝口知事:まだまだ十分な体制ができているとは言えませんので、万が一の事態を想定し、さらに必要な対策を講じて、万が一の場合でも安全が確保できるように、引き続き努力をしていくと。国にも要請をしますし、我々のほうでも立地自治体、周辺自治体とも協調しながら進めていくという方針です。
○山陰中央新報:まだ十分ではないということなんですけど、具体的にはどういったところがまだ足りない部分というふうに考えますか。
○溝口知事:やはり大勢の方が移動しなければいけませんからね、それが円滑にできるかというのは、どういう事態を想定するかということにもよりますし、それは明確にはなかなか、こうだというわけにいきませんしね。それから、やり方でもいろいろ改善しなきゃいかんこともあるでしょうしね。
それから、原発の万が一の状況というのも、いろんな形態があるでしょうしね、いろいろ違うと思いますよ。
○山陰中央新報:避難車両の問題であったり、例えば要援護者を避難するための人員の確保とか、そういったこと、まだ進んでない部分とかありますけれども。
○溝口知事:まだまだやらなきゃいかんと思いますね。
○山陰中央新報:一方で……。
○溝口知事:そのためには、やはりコストもかかりますから、国に対してそういうコスト負担をお願いしなきゃいけませんし。
○毎日新聞:知事、済みません、関連で、東日本大震災の関連ですが、まず改めて11日で丸5年になりますけれども、その受けとめを教えてください。
○溝口知事:まだ何十万と人が避難をされておられますし、それから福島県の浪江町ですか、そういうところではまだ放射性物質が相当残っているわけですね。初めてああいう事故が起こったわけでありますけども、いろんな対応が十分でなかったり、あるいは予測できなかったり、いろんな問題があったわけでありまして、それを念頭に、我々としては国におかれても、原発の安全性確保に全力を挙げてもらいたいと思いますし、それから今の避難者の方々への配慮をしていただかなきゃなりませんし、それからほかの地でも万が一の場合の対応がきちっととれるように、国としていろんな対応をしてもらいたいと。県、立地自治体、周辺自治体も同じ立場だと思いますから、協力しながらそうした対策を講じていきたいと、いかなければならないというふうに考えています。
○毎日新聞:復興庁のホームページを見ますと、全国の避難者の数というのが毎月発表されているんですけども、最新の数字見ますと、島根県内に避難してらっしゃる方の数が91人いらっしゃるということで、5年たってもまだ91人の方が、被災された方が、福島県のホームページにある資料を見ますと、大半は福島の方のようなんですけれども、島根県内にいるという状況があるんですけれども、今後、5年たちましたが、県として何かこの90人を超す避難者の方に、何か支援はやっていくというものがあるのかどうかというのを知りたいんですが。
○溝口知事:まだそういう方々がどういう状況にあるかということは、具体的に私も聞いておりませんから、どういう状況になってるか聞いてみようと思います。
○毎日新聞:あと、90人、間もなく5年というこの時期に90人いるという状況、この状況というのは、5年前に知事は想定されてらっしゃったでしょうか、それとも多いと見るか少ないと見るか、その辺はいかがでしょうか。
○溝口知事:そういう人数のところまで、あるいは島根にどうなのかというところまでは予想といいますか、想像はできませんでしたけども、あの福島の状況を見ますと、相当時間がかかるだろうなという印象はずっと持ってましたね。私も一度、福島の原発を見に行きましたからね。2年前でしたかね。その場合は、浪江町を抜けて、南から北へ走っていくことはできましたけれどもね。放射能を検出する機械の数値がぴぴっとこう上がりますわね。だから、まだ相当かかるんだろうなという一般的な印象は持っておりましたね。
○毎日新聞:5年たってまだ帰れない、自分の住んでいたところに帰れない人たちがいるという状況、つまり福島でああいう事故が起きて、万が一の場合、島根でも島根原発が大規模な事故が起きた場合に、同じように5年たっても帰れないというような地域ができるかもしれないというふうな見方もできると思うんですけれども、この辺、知事はいかがでしょうか。
○溝口知事:そのために、やはり原発の安全性をきちっとやるということですね。そのために規制委員会ができて、いろんな対応をしているわけですね。福島原発につきましては、津波対策ということが十分できていなかったわけでありますけれども、そういういろんな弱点とか、そういうものをなくすような努力も進められようとしていますしね。しかし、予想もつかないことも起こり得るわけでありますから、万が一の対応というのはしていかなければいけないと。それから、万が一のそういう避難対策も引き続きやっていく必要があるというふうに考えております。
○毎日新聞:今お話しになった万が一の避難対策の部分なんですけれども、現状、知事も従来から避難対策に終わりはないので、常に見直し見直しをしていくんだというふうにおっしゃっているのは承知しているんですけれども、万が一の避難対策、現状でいうと福島で5年たってもまだ避難している人たちがいる。場合によって、島根で万が一何か起きた場合に、5年たってまだ避難してる人たちがいる。すると、そういう人たちに向けた支援というのも当然考えていかないといけないということになると思うんですが、現状でいうと、島根県は逃げるときの対策というのはいろいろ考えてらっしゃると思うんですが、逃げた後の対策、逃げた後、長期的にどうするのかという対策というのは余りとっていないような印象があるんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○溝口知事:避難した後の対策。どういうことですか。
○毎日新聞:避難して長期化すれば、それによっていろいろとまたさらに支援していかなきゃ、県として何か対応していかなければならないものというのも当然出てきますよね。その辺の部分について、当然、まずは事故があったら周辺から外に出るというところを最優先で考えてらっしゃるというのはわかるんですけれども、じゃあ逃げたら逃げっ放しでいいわけじゃなくて、逃げたら逃げた先での生活があったり、逃げた先での暮らしがあったりというようなことになると思うんですね。そこの逃げた先でどうするかという部分について、県として何か考えていることはないんでしょうかという質問なんですが。
○溝口知事:そういう仮定の話に言うことは難しいですけども、福島原発におけるいろんな事態がこの5年間起こってます。先行きを見ても、いろんな問題があるわけですから、そういうものを念頭に入れて、今あなたがおっしゃったような対策についても、やはり国自身が考えていかなければいけませんし、そういう中で県として必要なことも考えていくということだろうと思いますね。
○毎日新聞:すると、今のお話、国自身が考えないといけないということは、県としては、まず原発の近くから遠くに離れるというところまでで、そこから先というのは、県として独自に考えておく必要はないというふうにお考えですか。
○溝口知事:ないとは言いません。いろいろあると思いますが、ただ、そういう支援をどうするかというのは国家的な話になるでしょうということを申し上げているんです。
○毎日新聞:ただ、でも、起きてからでは遅いわけですよね。
○溝口知事:それは起きてからもあれですが、今までの蓄積もよく配慮して、そういう対策も考えなきゃいかんと思いますね。
○毎日新聞:あと、避難の想定というのはしてらっしゃると思うんですが、毎年、事故を想定した訓練というのはしてらっしゃると思うんですけども、じゃあその事故の規模であるとか、何らかの事故が起きたときに、どのくらいの被害が想定されるのか、例えば経済的な損害がどのくらい出るのかみたいなところというのの試算とかもしてらっしゃらないと思うんですが、そのあたりについて、今後される御予定はないんでしょうか。
○溝口知事:そういうものは仮定の問題ですからね、どういう仮定を置くかという問題になると思いますよ。
○毎日新聞:仮定の問題なので、される御予定はないということですか。
○溝口知事:それはいろんな仮定がありますし、国家的なあれですよね、今の福島のような状況になりますと。だから、散発的に、部分的にやるわけにはいかないでしょうということを申し上げております。
○毎日新聞:いや、島根の場合、全国で唯一県庁所在地にある原発であるというところが非常に特徴的なところであって、さらに島根県でいうと、島根県の経済の中心地は松江市であることは多くの県民の方がやはりそういう認識持ってらっしゃると思うんですが、その松江市に原発がある。すると、原発がもし何かが起きたときに、じゃあ島根県として、経済として、この島根県がこれからもやっていくことができるのか、その辺のポイントにもなると思うんですが、そういうデータっていうのは。
○溝口知事:ちょっとおっしゃることがわかりません。
○山陰中央新報:知事、済みません、先ほど避難対策を行っていくということだったんですけれども、今、一方で島根の2号機も審査が進んでるわけで、いずれ再稼働の判断というところもあろうかと思うんですが、この避難計画について、知事の中で、じゃあどの水準まで上げていかれ、最低でも、今まだ十分じゃないということなんですけれども、どこまで引き上げないといけない、今の段階で再稼働の判断を迫られたら、まだ避難計画十分じゃない中で、よしとは言えないということですか。
○溝口知事:そういう仮定にお答えするのは難しいですね。
○山陰中央新報:知事としては。
○溝口知事:避難計画は避難計画で、さらに強化をしていくということです。
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