7月9日質問事項1
1集団的自衛権
○山陰中央新報:集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされましたけど、知事の受けとめを教えてください。
○溝口知事:これは、5月の初めぐらいでしたかね、中ぐらいでしたか、総理がそうした検討をしていくと言ったことから、与党内、そして国会内でもいろいろ議論をされて、先般、閣議決定をされたということであります。政府としては、それを実行に移すためには法改正が必要ですから、そうしたものを国会の中で議論されていくということであります。
私は、前にもコメントもしましたが、新聞等によります世論調査によりましても、設問の仕方などによって賛成、反対、あるいはよく研究してといいますか、いろんな回答がまだばらついておりますから、そういう意味で国民にもよくわかるように政府として説明をしていくことが大事ですし、それから、こうした日本の安全保障、あるいは防衛をどうするかというのは国政の大きな任務でありますね。したがいまして、国会内で議論を尽くして、そして国民にもよく説明をされて、この問題に取り組まれるということが必要だというふうに申し上げているところであります。
○山陰中央新報:知事としては行使容認への賛否はいかがなんでしょうか。
○溝口知事:私自身は、個人的な意見として申し上げるには、まだまだいろんな論議をよく聞かないといけないというふうに思います。そうしたことが国政の場において、あるいは政府の説明の中で、さらに整理をされていく、そういうことを期待をしております。
○山陰中央新報:閣議決定ではなくて、衆院を解散して国民の信を問うなり憲法を改正するなり、そういう手続が必要だったんじゃないかという声は根強くあるわけですが、その辺いかがでしょうか。
○溝口知事:それもありますが、やはり国政の場でやっぱりそういう議論をする必要があるということじゃないでしょうか。それがやはり国の防衛、安全保障といったことが国民の生活を守る、あるいは国土を守るといった点でも、国会が果たすべき大きな役割でありますから、まずやはり国会内で論議を尽くすということが大事だというふうに思います。
○毎日新聞:今回のケースでいうと、閣議決定によって憲法解釈を変える、解釈改憲をするというような捉え方もできると思うんですけども、今の知事のお答えだと、個人的意見を申し上げるにはいろんな議論をよく聞かないといけないということは、知事にとっても、まだ判断ができないというような状況で政府は憲法解釈を変えているというふうに言われているんでしょうか。
○溝口知事:憲法解釈を変えているかどうかという点についても議論の対象になっているわけですね。
○毎日新聞:つまり憲法解釈を変えていないというふうに考えてらっしゃるんですか。
○溝口知事:変えるという定義をどういうふうに考えるかということにもよるんじゃないでしょうか。だからそういう点を含めて、国会の中で、国政の場で議論を尽くしていく必要があるというふうに思います。
○毎日新聞:済みません、変えるという定義をどう捉えるかという部分がわかりにくいんですけども、知事からその辺、もう少し。
○溝口知事:例えば、何といいますか、いろんな状況が変化したときに、そういう状況に対応するということについて、一つの考え方を出すということもあるでしょうし、それが従来の政府の考えと違うかどうかというのは、それはやはり国政の場できちっと議論をしませんと、この問題についてもいろんな見解があるわけですから、それが一つにまとまってないということじゃないでしょうか。
○毎日新聞:いや、だから、従来の憲法解釈を変える、これまで政府も、さらに言うと、先日、記述が変わったらしいですが、防衛省のホームページにも集団的自衛権は憲法上できないというふうに書いてあったというようなことがあるらしいんですが、その憲法上できませんよと言っていたものを政府がやるようになる、これっていうのは憲法の解釈を変えるというふうにしか捉えられないと思うんですが。
○溝口知事:そういう主張もありますけども、そうでない主張もありますから、よくそうした点を議論を尽くすべきだというのが私の立場です。
○毎日新聞:そうでない主張というのがわかりにくいんで、そこをもうちょっと教えていただければ。
○溝口知事:いや、それ以上のことはありませんけども。それは、政府自身が憲法を守るという大きな任務があるわけですから。
○中国新聞:今回の集団的自衛権、行使容認を閣議決定したんですが、今回に限って、国会内でよく議論と言われましたが、その閣議決定については国会内で、その集団的自衛権行使容認については議論はされずに政府のほうが閣議決定をしたという経緯があるんですが、それについてはどうですか。
○溝口知事:閣議決定と申しますか、実行するためには法改正も必要なわけでしょう。それは国会の場できちっと議論をしないとできませんね。
○中国新聞:ただ、普通は、まずそういった法律を、法改正をしてから閣議決定するというのが正しいやり方じゃないかとは思うんですが。
○溝口知事:閣議決定というのは政府の一つの方針でしょう。しかし、それをオーソライズするかどうかというのは、法律事項でしなきゃいかん手続があるわけですね。それはやはり国会内で議論をするということじゃないですか。
○中国新聞:だったら、その大前提になるこの閣議決定が今回、解釈憲法と言われるぐらい重要なことなんで、やっぱりここはやはり、先ほども言われましたように、国民によく説明して、なおかつ国会で議論してから決めるようなものじゃないでしょうか。
○溝口知事:説明をしても、非常に毎日、新聞に出てますけれども、いろんな論議があって、それを全部フォローしていくというのは一般の人にはなかなか難しいことですよ。我々にとっても難しいことですよ。だから、そこは政府が必要な説明をわかりやすくしなきゃいけませんし、わかりにくい方々にも、それがわかるような努力をしなきゃいかんですね。そしてまた、その議論は政府の中だけの議論じゃなくて、国政の場で与野党いろんな議論があるわけでしょう。それをやはりちゃんと尽くすということじゃないですか。
○中国新聞:ということは、知事からしてみれば、今回の政府の閣議決定をやって、これから法改正を議論するというやり方は問題ないと、また、正しいと。
○溝口知事:問題ないとかっていうようなことじゃなくて、それは政府の考え方としておやりになってるわけですから、そういう手続でいいのかを含め、やはり国政の場で議論していく、まさにそのために国会があるわけですよ。
○中国新聞:ただ、今の現時点では、知事としては今回の政府のやり方は容認できるということですか。
○溝口知事:容認できるとかっていうのは、それは知事としてということじゃ、なかなかできませんよね。私がそういうことを、かなり詳細にまで全部フォローして、政府の考え方はこうですといって言う、私が説明する立場にはないわけですから。私もそれはいろいろ見てますけども、しかし、世論調査でも違いますし、あるいはきょうの報道、朝日新聞でしたかね、出てましたけども、新聞によってもいろいろ、若干の違いがあるわけですね。だから、事はそんなにこれでこうだというふうに決め切れない部分が残ってるということでしょう。だから、そこはそういう議論を国政の場でやっぱり尽くす必要があるということじゃないですか。
○中国新聞:議論というのは、今回の、政府が集団的自衛権容認の閣議決定をして、後からこういった法改正の議論をするという方法を含めて議論しましょうということですか。
○溝口知事:いずれにしても、まさにそういう国の防衛だとか、あるいは国民の安全をそういう中でどういうふうに守っていくかとか、それをやはり議論を尽くすのが国政の場じゃないかと思いますよ。それは政治論としてそういう主張をすることもあるでしょう。それは国会の議論はなくても憲法改正、憲法改正だっていろんな手続が要ると思いますよ。それも多分、詳細は私もよく知ってるわけじゃありませんけども、多分国会の関与が必要なんじゃないですか。
○毎日新聞:済みません、もう一度ちょっと聞きたいんですけれども、先ほどの知事の御説明だと、集団的自衛権の憲法解釈について、憲法解釈を変えたという議論と、憲法解釈を変えていないという議論があるんだというふうに知事おっしゃったと思うんですけれども、憲法解釈を変えていない、従来の憲法の解釈で集団的自衛権というものは認められていて、行使もできるんだというような議論というのは、例えばどういう、済みません、不勉強で恐縮です、どういう方が言ってらっしゃるのかというのは。
○溝口知事:政府のほうは、解釈として政府はこういう考えでいこうということを閣議決定されてるわけでしょう。それに対して、それは憲法改正しないとできないことじゃないかという議論があるわけでしょう。両方の議論があるということじゃないですか。
○毎日新聞:いや、だから、先ほどの知事のお話を聞いていると、そもそも従来、集団的自衛権というものは日本国憲法で認められていて、それで集団的自衛権を行使するということは日本に認められた行為なんだという議論があるんだというふうに私はとったんですが。
○溝口知事:いやいや、それはちょっと正確には覚えてませんけども、報道等を見ましてもね、憲法の解釈の問題であるのか、あるいは憲法そのものを変えないといけない問題なのかというのは両論があるということじゃないですか。
○毎日新聞:いや、そこの部分はその部分でいいと思うんですけども。
○溝口知事:だから、そこを、そういう厳密なことを申し上げる立場にはないんで。
○毎日新聞:いや、厳密な部分じゃなくて……。
○溝口知事:この場でですね。それは大変大事なことでありますから、そういう問題が日本の国内にあるわけでありまして、そういうことに対して政府は一定の方針をお決めになったわけですから、それについて、やはり国政の場で、それでいいのかという議論をする必要があるということを申し上げております。
○毎日新聞:その部分はわかりました。知事が、御自身がおっしゃった言葉のところについて、補足でお伺いしたいということです。それは集団的自衛権について、従来から集団的自衛権を日本が保持していて、それを行使することが可能であったというような立場の意見があるんだというふうに知事はおっしゃったというふうに私は理解したんですけれども、そうではないんですか。
○溝口知事:いや、そうではなくて、今の憲法の条文はそのままであっても、政府のような考えは、政府としては言っておられるわけでしょう。そのことを言ってるだけですよ。それ以外のことはありません。
○山陰中央新報:竹島が集団的自衛権を発動する範囲に入ってくるようなケースっていうのは。
○溝口知事:そういう具体的な話を私が答える立場にはありませんね。それはまさに国政の場でそういうことを議論しなきゃならんですよ。そのために相当の論議もし、研究もし、いろんなことをしないと答えられる問題じゃないです。
○中国新聞:知事、閣議決定というのは、政府にとって方針を決めるとさっきおっしゃいましたけど、かなり重たい意味を持つと思うんですけども、そこを今後国会で、国会でというのは、それはそうなんでしょうけど、その国会の審議が十分でない中で閣議決定をしたということについては、どうなんですかね。
○溝口知事:それはいろんな論議があるけれども、政府はそういう方針であって、今の政権を担っておられる連立与党の中でそういう方針を決められたわけでしょう。そういうことを言ってるだけですよ。だから、それについて、まだ……。
○中国新聞:いや、そうなんですけど、その決め方については……。
○溝口知事:いや、それについて、政府もそれはいろんな意見を聞いてると思いますけれども、政府はそういう決定をされたわけです。しかし、いろんな意見もありますし、そういう問題はやはり国政の場できちっと議論をする必要があるということでしょう。
○中国新聞:今の知事の言い方だと、決めたわけですということは、もう決めたということは、今回の決めるプロセスも含めて、適切だったとまでは言わないですけど、まあ問題はなかったというふうなふうにしか受け取れないですけど、そういうことでよろしいんですか。
○溝口知事:いやいや、どういう問題があるかどうかというのは、それは私がお答えする能力を有していませんけども、政府は政府としての考えで、この政府の中の手続をとってこられているということでしょう。もちろんそれに対して反対の意見もあるわけですから、だったら、その意見が違ってるわけですから、そういうことを調整するのが国政の場ですよ。いわゆる国政の場で決定されたことが問題であるといえば、それはまた別の手続を踏んでいくほかないでしょう。
○中国新聞:だから、国政の場は置いといて、今回の閣議決定ということについては、やはり容認ということでよろしいんですか。
○溝口知事:容認とか言ってるわけじゃなくて、政府はそういう考えでおられるということですね。それについて私が容認するとかしないとかっていう立場にはないですよ。
○中国新聞:だから、コメントはできないということですね、要は。それの是非については。
○溝口知事:そういうコメントをしているということです。
○中国新聞:その決められたというのは皆さんもわかってることなんで、その手法とか、その過程の問題……。
○溝口知事:政府は国民の支持を得て政権を担っているわけでしょう。その上で政府としてできる権能を果たしているわけでしょう。それについていろんな意見が違うことがあり得る。しかし、それについては、今回の場合の話ですと、法改正が必要なわけですね、実際にそういうものを実行しようとするとなると。したがいまして、国政の場で議論をされる必要があるわけです。そこで議論を尽くすということは大事だということを申し上げている。
○中国新聞:その際に、どういうふうな……。
○溝口知事:そこで、国政の場でどういうふうな展開になるかということにもよるでしょうね。いわば国の行政なり司法なり、あるいは国会なりの役割というのが憲法の中で決められているわけでしょう。その手続に沿ってやっていくということでしょう。
例えばそういう政府の行為が憲法違反であるというふうなことであれば、訴訟が起こるでしょうね。それで、それは司法の場で、いろんな問題もそうなっておりますね。だから政治的な主張として、それはいろんな主張をするということは、僕は可能だと思いますよ。そこを否定しているわけじゃない。
○中国新聞:誰が主張していることに対してですか。
○溝口知事:国民の方々、あるいはいろんな方がしておられますでしょう。だから、そういういろんな意見があるのをどう調整するかというのが憲法の中でも国会の役割とか、あるいは憲法改正の手続だとかが決められているわけです。というふうに理解しているんですけれどもね。
だから、それはいろんな人の意見であったりしますように、政府が決定の前に憲法改正という手続をとってやるべきじゃないかという意見も当然あると思いますよ。しかし、政府はそういう方針をとらなかったけども、そのこと自体がそこで決まるわけじゃないですし、国政の場で議論もされるということでしょう。
○毎日新聞:先ほどの話の反対の意見があれば次の動きもあるんではないかというところでいきますと、地方自治体の首長さんの中にも、三重県の松阪市長さんなんかが違憲確認を求めて国を提訴することも視野に入れて動くというような形で、地方自治体の首長さんの中にも、そういうような動きをする人があらわれているわけですけれども、これまでの知事の御発言からいうと、こういうようなお話を振ると、それはその方のお考えでしょうというふうに言うことが一番多いと思いますが、あえてお伺いしますけれども、こういう動きに対してはどう思われますか。
○溝口知事:例えば地方自治体を代表して何かをするとなると、やはりその中での一定の手続は必要でしょうね。しかし、政治家個人として意見を言うということはできるでしょう。それは個人の信条、信念に基づいてやるということも当然あり得ると思いますが、私はこの問題はいろんな要素があるわけですし、いろんな主張があるわけですから、私自身としてそういうことについて個人的な意見を申し上げる状況にはないと、こういうことです。
それで、私自身が申し上げるのは、こうした問題についていろんな意見の違いもあって、あるいは国民の中でも意見が分かれているわけですから、そういう問題をどう処理していくかというのを、やはり国政の場できちっとした議論をし、国民にも政府はよく説明をしていくということが大事だということを申し上げております。
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